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“盆栽パフォーマンス”の平尾成志さんが語る盆栽との出会い  (2019/07/13 放送)

今週は、盆栽師の平尾成志(ひらお・まさし)さんをお迎えしました。

音楽などとコラボレートした華やかな盆栽パフォーマンスでも注目を集める平尾さん。見た目の印象から、よく「サーファーっぽい」「盆栽とは無縁のようだ」と言われるとか。1981年、徳島県生まれで、現在はさいたま市西区に3年前にオープンした盆栽園・成勝園(せいしょうえん)の園主です。

まずは平尾さんに“盆栽”という言葉の定義について伺いました。

「諸説あるというか、いろんな捉え方があるんですけれども、僕が思う定義とは『観賞用の鉢(はち)に入った木または植物』。“観賞用”っていうのが結構大事で、これが観賞用の鉢じゃないと何になるのかっていうと、“鉢植え”になるんですよね」

「盆栽って持ち運びができるので、室内にも展示できるように作っていく…基本、盆栽は外なんですよ。なので、外で管理をしている時は園芸の盆栽で、室内に飾った時に芸術の盆栽に変わるというふうに言われています」

盆栽の管理はまず毎日の水やりが基本なんだそうです。

「1日1日やることっていうのは、まずはお水やりですので、一般の方でも盆栽を持つ時に、剪定は?植え替えは?って聞いてこられるんですけど、いやいや、まずはお水やりですから…と。毎日お水をあげて、ご自身の生活のリズムを整えて頂いて、それに木が答えてくれるようになるので、と。で、伸びた時はまた言ってください、切り方を教えますので、って」

盆栽は日常生活を整える物差しでもあるそうで、平尾さんもかつて悩み事がある時や失恋した時などに何本か調子の悪い木が出たことがあったとか。

「もちろん生き物なので、そういうのが伝わるのかなと」


学生時代は陸上の選手で、盆栽に出会うまで盆栽のことはまったく知らなかったという平尾さん。盆栽の世界に足を踏み入れる最初のきっかけは、京都産業大学の学生だった頃、お祖母さまと一緒に京都の東福寺を訪れたことだったとか。

「そこの重森三玲という作庭家が作った方丈庭園。そちらに行って足を踏み入れた瞬間に、不安だとか雑念とかがフッとなくなるような…今で言う“浄化”とかっていう言葉になるんだと思うんですけれども…そういうものがすべてなくなって無になるというか、凄いクリアな状態でそれを見ることができて」「あまりスピリチャルなところまでは行きたくないんですけれども、時間ってなんなんだろう?っていうぐらいスーッとクリアになって…」

「昭和初期に作られた庭園で、当時の写真とかもパンフレットに載ってるんですけど、ぜんぜん形が変わってないんですよね。植物とかも。誰かが継承してそれをずっと管理しているから今のこの美しい姿が残ってるんだな、って。それで、何でもいいから日本の文化を継承したい、っていうふうに感じたのが一番最初のきっかけですね」

そして、就職について考えていた頃に、今度は盆栽との出会いがあったそうです。

「就職をどうするかって話になった時に、そういう方向に行きたいと。で、ご紹介頂いた方が庭師の方やったんですけど、庭師はやめとけ、って言われたんですよね。食べていかれへん、みたいな」

「で、これ困ったな…と思っている時に、その庭師の方を紹介してくださったのが、実は盆栽界の重鎮の方で。その方と食事に行く、けど、まだちょっと早いから時間を潰してくれ、って言われた所が、(東京の)上野の不忍池のほとりにある『上野グリーンクラブ』という盆栽会館。そこで初めて盆栽を見て。もう一瞬でしたね。盆栽を見た瞬間に、これだ!って。その日のうちに盆栽の弟子入りすることも決断しました」

「その後の食事の席で、盆栽業界の重鎮の方に、興味ありそうやな、っていうふうに言われたので、あ、これやります!って。どこかええとこ紹介してくださいと」


大学卒業後に埼玉県の盆栽町にある加藤蔓青園(まんせいえん)に弟子入りした平尾さん。日本一厳しいという京都産業大学の陸上部出身ということもあって、盆栽の世界でも厳しい修行を覚悟していたそうですが…

「いろんなことを想像しながら入っていったんですけど…この1年間はたぶん盆栽なんか絶対にさわれないとか…でも、初日からとてつもない木をさわらせて頂けて、え、これさわっていいの?っていうぐらい。入園初日の人間でもわかるような、これ絶対に高いでしょ!っていうのを、芽摘みっていう作業してみろ、って言われて、えーって。何もわからないのに見よう見まねでやりだして…」

「あと、一番拍子抜けしたのが、弟子のみなさんが8時-5時で帰っちゃうんですよね。どちらかというと、この蔓青園という盆栽園は自由というか、僕が入った当初はそんな雰囲気でした」

ただ、修行中はお小遣い程度のお金しか貰えず、経済的にはかなり苦しい状況だったそうです。

「アルバイトも禁止だったんですよ。なので、両親には、無理を言うて大学まで出して頂いたのに、もう少しだけお願いします…って」


盆栽師の弟子の仕事で一番多いのは、車の運転だったとか。

「実は、盆栽って送ることがあまりないというか、送れないんですよ。車で持っていくんですよ。北海道でも沖縄でも」

「自分が教わりたいとかそういうところじゃなくて、この盆栽園のために何ができるんだろう?って。貢献っていうことを考えていたので、やっぱり一番できることって車の運転」「凄い高価な盆栽も載ってるので、急ブレーキ、急発進はできないし。あとはその前の積み込み方法で、事故に繋がることもありますし…」

「持つ前にこれって高いんですか?とか。で、木だけじゃなくて…鉢があるんですよ。鉢も古いものだと江戸時代に中国から伝わった鉢とかがあって。で、そういうものって、たまに“直し”って言って1回割れたけど直してるものとかがあって、そういうものは凄い慎重になりながら…」

平尾さんは加藤蔓青園で5年間を弟子として過ごしたそうです。

「でも、あっという間でしたよ。僕からすると、大学の4年間の方が3倍ぐらい長く感じましたし。ただ、5年やったからって、そのまま一人前になれるということもなく…」「一応、日本盆栽協会というところから、研修期間終了しましたよ、っていう賞状はもらえるんですけれども」

「僕の場合は、5年目には修行していた盆栽園のすべての木の管理をしてたので、そのままもう1年残ってお手伝いさせて頂いてから海外の方に出てきましたね」


平尾さんは7月19日(金)から始まる『瀬戸内国際芸術祭 夏会期』に参加。7月21日(日)の午後3時から行われる『盆栽・パフォーマンス 平尾成志×切腹ピストルズ』で、切腹ピストルズの演奏と共に自作のオブジェに盆栽を植え込んでいくパフォーマンスを行います。

来週も引き続き、平尾成志さんをお迎えします!
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