大沢たかおさんが語る映画『AI崩壊』とイギリスでの挑戦(2020/01/25 放送)
今週は、俳優の大沢たかおさんをお迎えしました。
いよいよ来週1月31日(金)に主演映画『AI崩壊』が公開となる大沢さん。この映画は10年後の日本を舞台にした作品で、医療AIがある日突然、人間の生きる価値を選別して殺戮を始める…というストーリー。大沢さんはそのAIを開発した天才科学者を演じています。
「開発したのは実は妻の病気のためだったんですけども、残念ながらそれ(国の認可)が間に合わず、妻を亡くして…。で、そのAI『のぞみ』は認められていって、のちのち日本全国のライフラインになるほどの大きなシステムになっていくんですけど、彼はもうそこで身を退いて、シンガポールに子供と移住しちゃうんですね」
「で、そのAIが国に認められて、内閣総理大臣賞みたいなものをとることになって、製作者である彼が呼ばれたら、突然、AI『のぞみ』が誤作動を起こして、日本中パニックになって…。当然、僕が帰ってきたタイミングで起きたので、僕が犯人、テロリストだということで…。つまり、妻も亡くしてるし、国に恨みもあるわけですよね」
「それで、子供と離れ離れになってる時にそれが起きちゃうんで、そこからなんとか子供を救いたくて逃げるんですよね。その逃亡劇から映画が始まるんですけども、追いかけてくるのもAIなんで、普通に走っても全部わかっちゃうんですね」
大沢さんは映画『AI崩壊』に関わる前からAIに興味があり、いろいろと調べていた時期があったそうです。
「その時にある専門家の方に聞いたのが、みなさんインターネットが革命だって言うと。でも、AIのことと比較したらインターネットは全然革命じゃないと。AIがもしホントに来たらそれこそホントの革命が始まる、って言ったんですよね。それで僕、興味を持っていろいろ読みだした時にこの話を頂いたんで、そこからAIって何なのかな?って改めて考えたら、ちょっとインターネットとはぜんぜん次元が違う…頭脳というか」
「ただ、それを扱うのはまだ今のところ人間なんで、人間さえ間違った使い方をしなければ、おそらくインターネットと同じように、人によっては凄い幸せなツールになるし、使い方を間違えちゃうと、とんでもない武器になってしまうというか、恐ろしいものになってしまうと思うんですよね」
ただ、今回の映画の撮影自体はアナログだったとか。
「『AI崩壊』ってタイトルだったんで、けっこうCGも多くて比較的スタジオでグリーンバックで楽にできるのかな?と思ったら、監督(の入江悠さん)がこだわる人で。全部リアルでロケでやりたい、みたいになって」
「機械の上で走ってればきっと景色が後で…と思ったら、日本中走ってましたね」「この通りは千葉で、じゃ、その次は群馬に行くって新幹線に乗って…走るシーンだけで1ヶ月ぐらいやってました」
また、大沢さんは『AI崩壊』関連してこんなこともおっしゃっていました。
「みなさんやっぱりこういうテーマに興味があって来てるんで。また監修の方とかも見に来るんで、みんなが質問するんですよね。(AIが発達したら)俳優って仕事残るんですか?とか(笑)」
「ま、俳優はある程度残ると思うんですけどね。ただ、難しいのが、その人のデータを入れると今はホログラムができるんで、その人の声とか性格をやると勝手に台詞まではできるらしいんですよ。いなくても喋らせられるらしいんですよね」
チャレンジと言えば、2018年にロンドンのウエストエンドでミュージカル『王様と私』に出演した大沢さん。この作品は渡辺謙さんがトニー賞にノミネートされたことでも知られる名作ですが、大沢さんに出演のきっかけをくれたのは他ならぬ渡辺謙さんだったとか。
「渡辺謙さんの舞台をニューヨークに観に行って。それで、兼さんが裏で、ちょうど演出家いるから紹介するよ、って軽い雰囲気で言って、紹介だけして自分はどんどんどっかに行っちゃうわけですよ。」
「で、演出家と2人になって、何やってんの?いや、俳優やってまして…みたいな。で、とりあえず明日来てくれない?ってなって、次の日からオーディションだったんですよね」
「おそらく渡辺謙という存在が信頼されてたんでしょうね。ニューヨークで」
自分でもよく状況がわからないまま『王様と私』のオーディションを受けることになったという大沢さん。その時は大河ドラマの仕事があったので出演には至らなかったそうですが…
「数年後に今度はイギリスでやると。急に連絡が来て。兼さんがキングをやると。でも、兼さんは全日は厳しいということで、僕がキングを後半やって欲しいと。ただ、同時にもう1つの役もやって欲しいと。クララホムという首相の役。だから、首相をやりながらキングもやれと。その2つでよければって」
それまでは日本でも2つの役を同時にやった経験はなかったという大沢さんですが、トライしたかったのでそのオファーを受けることにしたんだとか。
「とにかく厳しいところに行きたかったんですよね。もっともっと厳しい環境を探してたんで…それでイギリスに行ったらホントに厳しかったっていう(笑)」
「ちょっと調子に乗ってたんですかね(笑)。登れるんじゃないかな?ぐらいの。やっぱり僕、日本で甘いところにいたんですね。みんなにチヤホヤされてきたんで」「無知の強さですよ(笑)。大変な場所だって、行って知りましたから」「なんとかなるかな…と思ったんですよね」
そして、大沢さんはミュージカル『王様と私』の練習と本番をこう振り返ってくれました。
「とにかくすべて英語なんですよね。もちろん演出も英語だし、仲間内の会話もぜんぶ英語だし。できて当たり前な連中なんですよね。で、僕の代役が現場に2人待機してるんですよね。何かあった時のために」
「英語もたどたどしい中で、キングの準備もしなきゃいけないんだけど、もう1個の役もやらなきゃいけないんで、暗記だけでは間に合わないんですよ。練習もしなきゃいけないんで」
「そうなると、ほぼ朝から夕方まで…自分で電話してスタジオを借りて。スタジオでキングの練習をした後、現場に行ってクララホムをやって。もう1回、深夜からジムに行ってトレーニングして。で、寝て、また朝からスタジオ行って…っていうのを4ヶ月ずっとやってたら、もう頭がちょっとおかしくなってきちゃって。でも、そうしないと平均点に行けなかったんですよね」
「日本はホントに優しいし、恵まれてる環境だし、ホントに助け合うし。すごい良い環境だなと思ったんですね。でも向こうは、そういう意味では助けてくれないし。ある程度自分がビデオでも撮って兼さんの動きを暗記して、勝手にスタジオで練習して、勝手にダンスもできなきゃいけないし、練習に付き合ってくれないんですよね」
「それで、僕はキングをぶっつけ本番でやったんですよ。リハーサルやってくれないんですよ。でも最終的に、見ててあまりにも悲しく思った連中が数人手伝ってくれたんですけど…。でも結局、トニー・オハラっていうトニー賞取った主演の女優とも、現場で、本番で初めてすり合わせたんですよ」
「控室でGood Luck!とか、みんなが来るのがあんなに腹がたったことがなくて(笑)。もう怖くて出たくないんですよね。僕、人生でそんなことなかったんですけど」
「3時間セリフを通して舞台の上でやったことのない役なんで。それも2000人のローカルのイギリス人相手に。で、踊りもちゃんと踊ったことがなかったんで。それはやっぱり良い意味での試練だし、ホントの挑戦でしたよね。一か八かの」
そんなロンドンでの経験を経て「ホントに強くなりましたね」と大沢さん。それ以降は人に優しくなったとか。
「向こうであんまりにもキツかったんで、強くなったら人に強くあってもしょうがないかなと思っちゃったんですよね」
「あまりにもみんなのレベルが高いのと生存競争で生き残ってる連中を見てきたら、自分のレベルの低さにもうヤんなっちゃったんですよね。力のなさというか、世界のトップの連中と自分の差がこの歳でこんなにあることに気付かされちゃったことのショックと、今まで30年なにやってたんだろ?って」
「僕、うちのスタッフからよく言われるんですよね。またオファーが来たらどうするんですか?って。考えたくもない、って言いますね。もう怖くて。でも、初見ではないんで、2度目なんで、また1回目のハードルよりも低くなってるはずなんで…。ただ、それだと挑戦になんないから、もっと激しいことがいいかな、と思ったりもするんですよね。好きなんですよね」
「でも僕、本来Sのはずなんですよ(笑)」「Mなのかなぁ…?」
↓大沢さんの主演映画『AI崩壊』は来週1月31日(金)公開です。
いよいよ来週1月31日(金)に主演映画『AI崩壊』が公開となる大沢さん。この映画は10年後の日本を舞台にした作品で、医療AIがある日突然、人間の生きる価値を選別して殺戮を始める…というストーリー。大沢さんはそのAIを開発した天才科学者を演じています。
「開発したのは実は妻の病気のためだったんですけども、残念ながらそれ(国の認可)が間に合わず、妻を亡くして…。で、そのAI『のぞみ』は認められていって、のちのち日本全国のライフラインになるほどの大きなシステムになっていくんですけど、彼はもうそこで身を退いて、シンガポールに子供と移住しちゃうんですね」
「で、そのAIが国に認められて、内閣総理大臣賞みたいなものをとることになって、製作者である彼が呼ばれたら、突然、AI『のぞみ』が誤作動を起こして、日本中パニックになって…。当然、僕が帰ってきたタイミングで起きたので、僕が犯人、テロリストだということで…。つまり、妻も亡くしてるし、国に恨みもあるわけですよね」
「それで、子供と離れ離れになってる時にそれが起きちゃうんで、そこからなんとか子供を救いたくて逃げるんですよね。その逃亡劇から映画が始まるんですけども、追いかけてくるのもAIなんで、普通に走っても全部わかっちゃうんですね」
大沢さんは映画『AI崩壊』に関わる前からAIに興味があり、いろいろと調べていた時期があったそうです。
「その時にある専門家の方に聞いたのが、みなさんインターネットが革命だって言うと。でも、AIのことと比較したらインターネットは全然革命じゃないと。AIがもしホントに来たらそれこそホントの革命が始まる、って言ったんですよね。それで僕、興味を持っていろいろ読みだした時にこの話を頂いたんで、そこからAIって何なのかな?って改めて考えたら、ちょっとインターネットとはぜんぜん次元が違う…頭脳というか」
「ただ、それを扱うのはまだ今のところ人間なんで、人間さえ間違った使い方をしなければ、おそらくインターネットと同じように、人によっては凄い幸せなツールになるし、使い方を間違えちゃうと、とんでもない武器になってしまうというか、恐ろしいものになってしまうと思うんですよね」
ただ、今回の映画の撮影自体はアナログだったとか。
「『AI崩壊』ってタイトルだったんで、けっこうCGも多くて比較的スタジオでグリーンバックで楽にできるのかな?と思ったら、監督(の入江悠さん)がこだわる人で。全部リアルでロケでやりたい、みたいになって」
「機械の上で走ってればきっと景色が後で…と思ったら、日本中走ってましたね」「この通りは千葉で、じゃ、その次は群馬に行くって新幹線に乗って…走るシーンだけで1ヶ月ぐらいやってました」
また、大沢さんは『AI崩壊』関連してこんなこともおっしゃっていました。
「みなさんやっぱりこういうテーマに興味があって来てるんで。また監修の方とかも見に来るんで、みんなが質問するんですよね。(AIが発達したら)俳優って仕事残るんですか?とか(笑)」
「ま、俳優はある程度残ると思うんですけどね。ただ、難しいのが、その人のデータを入れると今はホログラムができるんで、その人の声とか性格をやると勝手に台詞まではできるらしいんですよ。いなくても喋らせられるらしいんですよね」
チャレンジと言えば、2018年にロンドンのウエストエンドでミュージカル『王様と私』に出演した大沢さん。この作品は渡辺謙さんがトニー賞にノミネートされたことでも知られる名作ですが、大沢さんに出演のきっかけをくれたのは他ならぬ渡辺謙さんだったとか。
「渡辺謙さんの舞台をニューヨークに観に行って。それで、兼さんが裏で、ちょうど演出家いるから紹介するよ、って軽い雰囲気で言って、紹介だけして自分はどんどんどっかに行っちゃうわけですよ。」
「で、演出家と2人になって、何やってんの?いや、俳優やってまして…みたいな。で、とりあえず明日来てくれない?ってなって、次の日からオーディションだったんですよね」
「おそらく渡辺謙という存在が信頼されてたんでしょうね。ニューヨークで」
自分でもよく状況がわからないまま『王様と私』のオーディションを受けることになったという大沢さん。その時は大河ドラマの仕事があったので出演には至らなかったそうですが…
「数年後に今度はイギリスでやると。急に連絡が来て。兼さんがキングをやると。でも、兼さんは全日は厳しいということで、僕がキングを後半やって欲しいと。ただ、同時にもう1つの役もやって欲しいと。クララホムという首相の役。だから、首相をやりながらキングもやれと。その2つでよければって」
それまでは日本でも2つの役を同時にやった経験はなかったという大沢さんですが、トライしたかったのでそのオファーを受けることにしたんだとか。
「とにかく厳しいところに行きたかったんですよね。もっともっと厳しい環境を探してたんで…それでイギリスに行ったらホントに厳しかったっていう(笑)」
「ちょっと調子に乗ってたんですかね(笑)。登れるんじゃないかな?ぐらいの。やっぱり僕、日本で甘いところにいたんですね。みんなにチヤホヤされてきたんで」「無知の強さですよ(笑)。大変な場所だって、行って知りましたから」「なんとかなるかな…と思ったんですよね」
そして、大沢さんはミュージカル『王様と私』の練習と本番をこう振り返ってくれました。
「とにかくすべて英語なんですよね。もちろん演出も英語だし、仲間内の会話もぜんぶ英語だし。できて当たり前な連中なんですよね。で、僕の代役が現場に2人待機してるんですよね。何かあった時のために」
「英語もたどたどしい中で、キングの準備もしなきゃいけないんだけど、もう1個の役もやらなきゃいけないんで、暗記だけでは間に合わないんですよ。練習もしなきゃいけないんで」
「そうなると、ほぼ朝から夕方まで…自分で電話してスタジオを借りて。スタジオでキングの練習をした後、現場に行ってクララホムをやって。もう1回、深夜からジムに行ってトレーニングして。で、寝て、また朝からスタジオ行って…っていうのを4ヶ月ずっとやってたら、もう頭がちょっとおかしくなってきちゃって。でも、そうしないと平均点に行けなかったんですよね」
「日本はホントに優しいし、恵まれてる環境だし、ホントに助け合うし。すごい良い環境だなと思ったんですね。でも向こうは、そういう意味では助けてくれないし。ある程度自分がビデオでも撮って兼さんの動きを暗記して、勝手にスタジオで練習して、勝手にダンスもできなきゃいけないし、練習に付き合ってくれないんですよね」
「それで、僕はキングをぶっつけ本番でやったんですよ。リハーサルやってくれないんですよ。でも最終的に、見ててあまりにも悲しく思った連中が数人手伝ってくれたんですけど…。でも結局、トニー・オハラっていうトニー賞取った主演の女優とも、現場で、本番で初めてすり合わせたんですよ」
「控室でGood Luck!とか、みんなが来るのがあんなに腹がたったことがなくて(笑)。もう怖くて出たくないんですよね。僕、人生でそんなことなかったんですけど」
「3時間セリフを通して舞台の上でやったことのない役なんで。それも2000人のローカルのイギリス人相手に。で、踊りもちゃんと踊ったことがなかったんで。それはやっぱり良い意味での試練だし、ホントの挑戦でしたよね。一か八かの」
そんなロンドンでの経験を経て「ホントに強くなりましたね」と大沢さん。それ以降は人に優しくなったとか。
「向こうであんまりにもキツかったんで、強くなったら人に強くあってもしょうがないかなと思っちゃったんですよね」
「あまりにもみんなのレベルが高いのと生存競争で生き残ってる連中を見てきたら、自分のレベルの低さにもうヤんなっちゃったんですよね。力のなさというか、世界のトップの連中と自分の差がこの歳でこんなにあることに気付かされちゃったことのショックと、今まで30年なにやってたんだろ?って」
「僕、うちのスタッフからよく言われるんですよね。またオファーが来たらどうするんですか?って。考えたくもない、って言いますね。もう怖くて。でも、初見ではないんで、2度目なんで、また1回目のハードルよりも低くなってるはずなんで…。ただ、それだと挑戦になんないから、もっと激しいことがいいかな、と思ったりもするんですよね。好きなんですよね」
「でも僕、本来Sのはずなんですよ(笑)」「Mなのかなぁ…?」
↓大沢さんの主演映画『AI崩壊』は来週1月31日(金)公開です。