為末大さんが陸上100メートル競走の日本人選手を語る(2020/02/29 放送)
先週に引き続き、今週も為末 大さんをお迎えしました。
陸上の400メートルハードルで活躍し、2000年のシドニー、2004年のアテネ、2008年の北京と3大会連続でオリンピックに出場した為末さん。いよいよこの夏に開催される東京オリンピックについてこう話してくれました。
「去年急に、何か自分に貢献できることはないか?っていう気分になって。でも、そんな急にないんですよ(笑)。言葉が好きで、競技経験もあるんで、それをずっとブログに、週に1個ずつ、自分は何をすればよかったか、何をして失敗したと思ってるかってことを書いていったんですね」
「失敗談ってあんまり聞かないんですよね。でも、一通り終わってみたらけっこう自慢話とかも混ざってたり(笑)…そういうのを書いたりしたんで、まぁとにかく選手に一生懸命、悔いなくやってほしいのが一番ですかね。それだけですね」
陸上の場合、6月ごろにオリンピック代表が決まる競技も多いとか。
「陸上のイメージは…冬の間に、刀で言うとカンカンカン叩いて厚みと硬さを作るんですね。たくさん量をして筋肉を厚くして強くするんですね。2月の終盤から3月にかけては、これを徐々に徐々に尖らせていって研いでいって。で、4月ぐらいからシーズンインをしていって。6月ぐらいになったらかなり切れ味を鋭くして、最後にギリッギリのところまで研いでいくっていう。で、最後の切れ味が出るかどうかが、この11、12、1、2月ぐらいまでのトレーニングの厚さで決まるんです」
「(オリンピック代表が)いつ決まるのがいいのか?っていうのは永遠のテーマで、早く決まった選手はどうやって気持ちを維持していいかわからない、とかもありますし。僕は一発(勝負)の方が好きでしたけどね」
昔、ドクター中松さんの“ジャンピングシューズ”を買って試してみたこともあるという為末さん。現在、陸上長距離界に革命を起こしているナイキの厚底シューズについてはこんなことをおっしゃっていました。
「助力行為は靴でやっちゃいけないよ、っていう文言があるんです。要するに、靴は守るものであって走りを助けちゃいけない、ってことなんですね。でも、吸収した後、エネルギーって返ってくるんで、反発もあって、微妙なラインだねとは言ってたんですけど」
「ただ、靴ってもうだいたい限界まで来てて、別にそこを細かく詰めなくていいんじゃないの?ってのが今までの空気だったんです。そこに対して、いやメッチャ速いの作れるんですけど…って出してきた功績は凄く大きいと思います。あれに刺激されて他のメーカーも、まだやれるんじゃないか?ってなってるので」
「ただ、一方で、どんどんどんどんあのまま発展していくと…わかりやすいのでいくと、ゴールした瞬間に、カメラがパッと選手の顔じゃなくて靴、何の靴を履いてるのか?って行くのが一番イヤがってるところで…。本来はこれ以上発展しないってわかってたんであんまり議論もなかったんですけど、技術がこれだけ出てきたので、議論が今始まってるところっていう感じですね」
「靴の議論でいくとですね、パラリンピックで義足があるんですけど、あれ、長さに規定があるんですね。でも、それはパラリンピック協会がやっているだけで、各国では別に自由に履いて走っていいんですよ」
「で、アメリカのパラリンピアンで1人、凄い長い義足を履いている選手がいるんですけど、この選手はもうすぐ健常者にも勝ってしまいそうで、世界記録が出そうなんですね。実は厚底も足を長くしているのとおんなじ意味があるんじゃないか?って言ってる方もいます」
東京オリンピックでも大きな注目を集める陸上競技の花形と言えば、男子の100メートル競走。日本人選手がこの競技で東京オリンピックの決勝に残る可能性について伺うと、為末さんはこう答えてくれました。
「一人残る可能性はあると思いますね。で、100メートルの決勝に残ったら、他の競技のメダルよりも難易度が高いんで、それはもうホントに凄いですね。でもあると思いますね。(決勝に残れたら)歴史的ですね」
「私が思うに(一番可能性があるのは)サニブラウンでしょうね。将来的に金メダルみたいな世界に行っちゃうかもしれない選手なので。だからここでポーンと爆発するかもしれないですね。いきなり3番とかになって世界に名乗りを上げる可能性はあるぐらいの選手ですね」
「で、着実に結果を出すだろうなというのは、やっぱり小池選手でしょうね。これも最高速度を取ると桐生なんですよ。全員を比べて最も高いのが桐生で、それは凄く100メートルに対して重要な数字なんですよ。だから、100メートルの一番速いタイムを出せるかもしれないのはやっぱり桐生なんですね。ただ、桐生は揺れ幅も大きくて、特にキレイに加速しない場合にタイムが出にくいっていうタイプでもあるので」
「一番揺らぎが大きいのがサニブラウンで、その次が桐生で、安定度が高いのが小池で。で、山縣(やまがた)が復活してくると小池と山縣が競う、みたいな。そういう構図だと思います」
現在は、スポーツとテクノロジーに関するプロジェクトを行う会社の代表を務めている為末さん。ご本人が今チャレンジしていることについてこう話してくれました。
「今は、“挑戦者の伴走者”っていう…ちょっとラップみたいですけど(笑)。そういうのを会社としてもやろうとしていて、アジアの選手たちに指導することと、あとはスポーツ領域の起業をしている若者にオフィスを貸してサポートする、っていうのをやっています」
「あとはパラリンピック選手に義足を作っている会社のサポートとか。とにかく、チャレンジしている人のサポートをするっていうのが今の僕のやっていることですね」
そして最後に為末さんはご自身にとっての挑戦についてこう語ってくれました。
「自分の人生で言うとですね、やっぱり風景が変わるんですよね。挑戦前と後で。だから、自分を変えていくことなのかなって。自分から見えている景色が変わるっていうか…あそこまで行くと何が見えるんだろう?みたいな感じですかね。それの繰り返し」
「だから、僕が今回のオリンピックで一番楽しみなのは…選手たちがオリンピックが終わって1ヶ月後ぐらいに喋ることとかに凄い興味があって。自分の例でいくと、たぶんちょっと冷静になってきて、どういう風景だったのかを話すのは凄い面白いだろうなと思いますね」
番組では、そんな為末さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「為末大さんの色紙希望」と書いてご応募ください!
陸上の400メートルハードルで活躍し、2000年のシドニー、2004年のアテネ、2008年の北京と3大会連続でオリンピックに出場した為末さん。いよいよこの夏に開催される東京オリンピックについてこう話してくれました。
「去年急に、何か自分に貢献できることはないか?っていう気分になって。でも、そんな急にないんですよ(笑)。言葉が好きで、競技経験もあるんで、それをずっとブログに、週に1個ずつ、自分は何をすればよかったか、何をして失敗したと思ってるかってことを書いていったんですね」
「失敗談ってあんまり聞かないんですよね。でも、一通り終わってみたらけっこう自慢話とかも混ざってたり(笑)…そういうのを書いたりしたんで、まぁとにかく選手に一生懸命、悔いなくやってほしいのが一番ですかね。それだけですね」
陸上の場合、6月ごろにオリンピック代表が決まる競技も多いとか。
「陸上のイメージは…冬の間に、刀で言うとカンカンカン叩いて厚みと硬さを作るんですね。たくさん量をして筋肉を厚くして強くするんですね。2月の終盤から3月にかけては、これを徐々に徐々に尖らせていって研いでいって。で、4月ぐらいからシーズンインをしていって。6月ぐらいになったらかなり切れ味を鋭くして、最後にギリッギリのところまで研いでいくっていう。で、最後の切れ味が出るかどうかが、この11、12、1、2月ぐらいまでのトレーニングの厚さで決まるんです」
「(オリンピック代表が)いつ決まるのがいいのか?っていうのは永遠のテーマで、早く決まった選手はどうやって気持ちを維持していいかわからない、とかもありますし。僕は一発(勝負)の方が好きでしたけどね」
昔、ドクター中松さんの“ジャンピングシューズ”を買って試してみたこともあるという為末さん。現在、陸上長距離界に革命を起こしているナイキの厚底シューズについてはこんなことをおっしゃっていました。
「助力行為は靴でやっちゃいけないよ、っていう文言があるんです。要するに、靴は守るものであって走りを助けちゃいけない、ってことなんですね。でも、吸収した後、エネルギーって返ってくるんで、反発もあって、微妙なラインだねとは言ってたんですけど」
「ただ、靴ってもうだいたい限界まで来てて、別にそこを細かく詰めなくていいんじゃないの?ってのが今までの空気だったんです。そこに対して、いやメッチャ速いの作れるんですけど…って出してきた功績は凄く大きいと思います。あれに刺激されて他のメーカーも、まだやれるんじゃないか?ってなってるので」
「ただ、一方で、どんどんどんどんあのまま発展していくと…わかりやすいのでいくと、ゴールした瞬間に、カメラがパッと選手の顔じゃなくて靴、何の靴を履いてるのか?って行くのが一番イヤがってるところで…。本来はこれ以上発展しないってわかってたんであんまり議論もなかったんですけど、技術がこれだけ出てきたので、議論が今始まってるところっていう感じですね」
「靴の議論でいくとですね、パラリンピックで義足があるんですけど、あれ、長さに規定があるんですね。でも、それはパラリンピック協会がやっているだけで、各国では別に自由に履いて走っていいんですよ」
「で、アメリカのパラリンピアンで1人、凄い長い義足を履いている選手がいるんですけど、この選手はもうすぐ健常者にも勝ってしまいそうで、世界記録が出そうなんですね。実は厚底も足を長くしているのとおんなじ意味があるんじゃないか?って言ってる方もいます」
東京オリンピックでも大きな注目を集める陸上競技の花形と言えば、男子の100メートル競走。日本人選手がこの競技で東京オリンピックの決勝に残る可能性について伺うと、為末さんはこう答えてくれました。
「一人残る可能性はあると思いますね。で、100メートルの決勝に残ったら、他の競技のメダルよりも難易度が高いんで、それはもうホントに凄いですね。でもあると思いますね。(決勝に残れたら)歴史的ですね」
「私が思うに(一番可能性があるのは)サニブラウンでしょうね。将来的に金メダルみたいな世界に行っちゃうかもしれない選手なので。だからここでポーンと爆発するかもしれないですね。いきなり3番とかになって世界に名乗りを上げる可能性はあるぐらいの選手ですね」
「で、着実に結果を出すだろうなというのは、やっぱり小池選手でしょうね。これも最高速度を取ると桐生なんですよ。全員を比べて最も高いのが桐生で、それは凄く100メートルに対して重要な数字なんですよ。だから、100メートルの一番速いタイムを出せるかもしれないのはやっぱり桐生なんですね。ただ、桐生は揺れ幅も大きくて、特にキレイに加速しない場合にタイムが出にくいっていうタイプでもあるので」
「一番揺らぎが大きいのがサニブラウンで、その次が桐生で、安定度が高いのが小池で。で、山縣(やまがた)が復活してくると小池と山縣が競う、みたいな。そういう構図だと思います」
現在は、スポーツとテクノロジーに関するプロジェクトを行う会社の代表を務めている為末さん。ご本人が今チャレンジしていることについてこう話してくれました。
「今は、“挑戦者の伴走者”っていう…ちょっとラップみたいですけど(笑)。そういうのを会社としてもやろうとしていて、アジアの選手たちに指導することと、あとはスポーツ領域の起業をしている若者にオフィスを貸してサポートする、っていうのをやっています」
「あとはパラリンピック選手に義足を作っている会社のサポートとか。とにかく、チャレンジしている人のサポートをするっていうのが今の僕のやっていることですね」
そして最後に為末さんはご自身にとっての挑戦についてこう語ってくれました。
「自分の人生で言うとですね、やっぱり風景が変わるんですよね。挑戦前と後で。だから、自分を変えていくことなのかなって。自分から見えている景色が変わるっていうか…あそこまで行くと何が見えるんだろう?みたいな感じですかね。それの繰り返し」
「だから、僕が今回のオリンピックで一番楽しみなのは…選手たちがオリンピックが終わって1ヶ月後ぐらいに喋ることとかに凄い興味があって。自分の例でいくと、たぶんちょっと冷静になってきて、どういう風景だったのかを話すのは凄い面白いだろうなと思いますね」
番組では、そんな為末さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「為末大さんの色紙希望」と書いてご応募ください!