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浅田政志さんが被災地での写真洗浄ボランティアを語る  (2021/05/22 放送)

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先週に引き続き、今週も写真家の浅田政志さんをお迎えしました。

2008年に出版したご自身の家族の写真集『浅田家』で、写真界の芥川賞といわれる『木村伊兵衛写真賞』を受賞した浅田さん。その後、浅田家以外の家族を撮影して写真をプレゼントする“みんな家族”という活動を始めました。

「写真集を出した時ぐらいから、家族写真ってなんですか?とか家族写真とはなんだと思いますか?って聞かれることも多くなっていって。で、自分の家族だけを撮るよりも人のご家族の写真を撮ることによって、家族写真っていうものがもう少し立体的に捉えられないかなぁと思って、自分の写真集の巻末に、撮りに行きますよって」

“みんな家族”に応募してきた方々は、浅田さんの予想とは違っていたとか。

「『浅田家』の写真集を見て応募してくださるご家族って、うちはこんなに楽しい家族なんで撮って下さい!とか、うちの家族だったらもっとこんな凄いことができますよ!ってノリのいい方が多いと思ってたら、実はそうじゃなくって。壁にぶち当たってると言いますか…例えば、ご家族の中で誰かが病気になって、少し未来が見えない中で写真を残したいとか、結婚して離れるから今のうちに残したいとか」

「平穏な時には、家族写真を残そうってそこまで強いことは思わないけど、やっぱり家族を考えるタイミングだったりとか、感じてる時に今残したいって思うんだなって」

そして、浅田さんは“みんな家族”の活動を通じて見た家族の形についてこう話してくれました。

「ホントに様々だなと思いますね。同じようなご家族って全然いないんですよね。いわゆる血縁じゃなくても家族だなって思うこともたくさんありますし。飼ってるペットというか、ワンちゃんネコちゃんのことを家族だって思ってらっしゃる方もいますし。婚姻届出してなくても家族の方もいらっしゃいましたし」

「最近は、お一人で撮ることもあってですね。家族のことを、今までの記憶とかを持ちながら家族写真を撮らせてもらったりして。家族って言ってもこんなに違うイメージがあるんだな、っていうことは撮りながら思っていきましたね」


浅田さんは2011年の東日本大震災の後、津波で流されて汚れた写真を綺麗にして返却する写真洗浄ボランティアに参加。その様子は『アルバムのちから』という本になり、昨年公開された二宮和也さん主演の映画『浅田家』でも描かれました。

「一番最初は、岩手県の野田村っていうところに入って、てくてく歩いている時に偶然、写真を洗っている青年たちを見かけて声をかけさせてもらったんですね。それが野田村で写真洗浄を始めた小田くんっていう方だったんですけども、被害に遭った自分の家を掃除した時に写真がたくさん目についたんですって。その時に、知り合いが写っている写真を発見して、それを知り合いに届けたら凄く喜んでくれた経験があって。これだったら自分も何かできるかもしれない、と小田くんは思って」

「で、僕も何かお力になれるかもしれないので、ぜひ手伝わせていただきたい、ってことで、その次の日から野田村の写真洗浄のボランティアの一員として参加させてもらうことになりました」

浅田さんは、写真洗浄ボランティアに参加したことで、写真をプリントすることの大切さに気づいたそうです。

「今までの生活がガラッと変わってしまったような中で、写真を見たいって思う方がたくさんいらっしゃって。それ自体にも凄く驚いたんですけども、ほとんどがフィルム時代の写真で、データの写真っていうのは救う対象にならなかったんですよね」

「写真はプリントされてると100年前のプリントが今でも見れるんですよね。写真って撮って終わりじゃなくって、10年とか20年とか30年とかそういう単位で見返した時に、あの時はああだったな…とか思う、その時に写真の威力というか、写真の持ってる意味が見てる人に伝わると思うんですよね。そういう何十年っていうスパンで写真を見れなきゃ意味がないんですよね」

「1年間に何百枚も、たぶんみなさん撮られると思うんですけど、全部をプリントしろって言ってるわけじゃなくって、その中のベスト10といいますか、今年の一番いい10枚ぐらいをプリントすると僕はそれだけで十分だと思ってるんですよ」

「撮る楽しみは凄く(みなさんに)伝わってるんですけど…」「どうやって残すのか、とか、どうやって写真を味わうのか、っていうことはまだ伝わってなくって」「今はそういうことを広めていきたいなと思ってますね」


浅田さんは昨年、改めてご自身の家族を撮った2冊の写真集『浅田撮影局 せんねん』と『浅田撮影局 まんねん』を発表。“せんねん”の方は浅田さんのお父様が被写体で、テーマは“遺影写真”なんだそうです。

「遺影写真って縁起が悪いので、生前に撮ることってほとんどないんですよね。お亡くなりになられると祭壇の真ん中に飾られるように、凄く大切な写真でもあるんですけれども、急にお亡くなりになられた時に、この集合写真のこれだったら使えるかもっていうので、渡してスキャンしてもらって…で、あまりにも私服だったんで首から下が違う人の体に合成されて…なんかこうチグハグな写真が多かったりするんですよね」

「なので、うちの父親に協力してもらって。3年ぐらいかけて、毎回帰るたびに、今日もポートレート撮らせて、って言って撮った作品集になりますね」

「父とこんなに向き合って、正面で向き合って撮ることもなかったんで、撮れる時間そのものが、どんどんどんどん愛おしくなって、貴重なものなんだなと思ってきましたね」

一方の『浅田撮影局 まんねん』は、赤ちゃん写真をテーマに作ったという写真集で、主役は7年前に生まれた浅田さんのお子さん。誕生から4年間の写真が収められています。

「朝日っていう名前なんですけど、縁起のいいと思う人に抱っこしていただいたりとか、縁起の良さそうな場所に行って写真を撮ったりとか、そういうことをした写真集になりますね。表紙が101歳の方なんですけど、長寿もやっぱり縁起いいじゃないですか(笑)。うちの子を抱っこしてください!って言って、抱っこしてもらって撮ったりして」


浅田さんには今、家族写真『浅田家』の全国版にチャレンジしているそうです。

「いろんな都道府県に1年に1回行って、その都道府県らしい写真というか、自分たちがここで撮りたいなっていうのを撮って帰ってくる、っていうのをやってて。それがあと36都道府県残ってるんですよ(笑)。で、僕いま41歳なんで、77歳ぐらいになると全国制覇できるかもしれないって。家族に絶対ムリだムリだって言われながら、毎年1回頑張ろうと思ってやってるんですけど」

「それがもし完走できたら(その頃には)“まんねん”に写ってる僕の子供も(今の)僕より年上になりますし。そういう時間も含めた家族写真が最後作れるように頑張っていきたいなぁと思って、今それをチャレンジしてる真っ最中です」

最後に浅田さんはご自身にとっての挑戦についてこう話してくれました。

「楽しみながらやりたいなと思ってます。やっぱり家族みんなで楽しんでそれが挑戦になっていけば一番自分としてはいいなぁと思ってるんで、今後もそこを自分なりにチャレンジして、どんどん面白くしていけるように自分も楽しみながらやっていきたいなと思ってますね」

番組では、そんな浅田さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「浅田政志さんの色紙希望」と書いてご応募ください!
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