『君の名は。』のプロデューサー川村元気さんにとっての挑戦とは?(2017/01/14 放送)
先週に引き続き、今週も作家で映画プロデューサーの川村元気さんをお迎えしました。
昨年は3本のヒット映画を手がけ、ご自身の新作小説『四月になれば彼女は』を発表するなど、大忙しだったという川村さん。働き過ぎたので今年公開される映画は1本なんだそうです。
昨年は3本のヒット映画を手がけ、ご自身の新作小説『四月になれば彼女は』を発表するなど、大忙しだったという川村さん。働き過ぎたので今年公開される映画は1本なんだそうです。
「僕は自分のやりたいことしかやらないって決めてるんですよね。ホントわがままなんです。昔からそれはそうで。やっぱり自分が読みたいものを書くとか自分が観たい映画を作るってことじゃないと、なんかわかんなくなっちゃうんですよね。だから、たまにいるじゃないですか、こういうマーケティングに基いてこういう人たちに作れる人が。羨ましいというか。秋元康さんとかはたぶん世間の空気を完全にわかってると思いますね。僕もたまにお話しますけど、よく今の10代の子たちの気持ちわかるなぁって思います。けど、僕はあんまわかんないんですよね。だから、あくまで自分がお金払って観たい映画を作るっていう基準でやるしかないというか」
また、川村さんはご自身についてこんなこともおっしゃっていました。
「とにかく優柔不断な人間なんですよ。決めないってことを人生のモットーにしてて…。こういう夢があるとか、こういうことをやりたいってハッキリ言える人は嘘つきだなって思ってましたね。だってそんなの決められるはずないじゃないっていう。夢を持て、とかいうのが凄いニガテで、夢なんかなるべくギリギリまで決めない方がいいじゃん。だってどう変わるかわからないし、自分自身の気持ちだってころころ変わるじゃないですか」「僕は自分の作家性があるとしたら、いろんなことを決めないで疑ってるっていうのが作家性なんですよね。だから、決めないで疑って考えてるとそれ自体が物語になったりするっていうか」
海外旅行が趣味で、今でも一人でバックパックを背負って海外に行くという川村さん。海外へ行く理由についてはこう話してくれました。
「やっぱりそういう場所に行くと、いかに自分にやってることがどうでもいいことかっていうふうに思い知らされるというか。東京でそこそこ頑張って仕事をしているとなんかエライことをやってるとような勘違いをしちゃうんですよね。あと、似たような価値観の人で、アリ・ナシみたいなのあるじゃないですか。こういうのはアリだけどこういうのはナシだよね、みたいなセンスというか。なんかそこから一回関係ないところに行く作業みたいなのが、僕としては海外に行くことだったりもするんですよね」
川村さんが昨年プロデュースした映画3作のうち、特に『君の名は。』は日本映画として史上2番目の興行成績を収める大ヒット作になっていますが、それに関してはこんなふうに感じているそうです。
「いやぁもう他人事になっていきますよね、どんどんどんどん。10万とか100万人の規模だとなんとなくこういう人たちが観てるんじゃないかなって手触りがあるんですよ。感覚としてわかるんですけど、1500万人です、とか言われると、いったい誰が観ているんだろうか…っていうふうになっていくんですよね」
そして、川村さんの次なる挑戦とは?
「『君の名は。』がアメリカでLAの批評家賞をもらってて、リメイクのオファーとかも凄く多いんですよ。『世界から猫が消えたなら』(川村さんの小説)とかもアメリカから映画化のオファーが来てたりとか、『億男』(これも川村さんの小説)が中国で映画化になったりとか、ちょっと外国人と一緒に、ストーリーで乗り込んでいけばなんとかなるんじゃないかなって気がしてて。自分のストーリーを持って外国人の人と映画を作ったりしていきたいなっていうのは次のチャレンジかなと思ってますね」
最後に「川村さんにとっての挑戦とはなんですか?」と尋ねると、こう答えてくれました。
「僕にとって一番わかんないのは自分なんですよね。結局、外の世界って自分を知るための装置だって僕は思ってるから、すっごい僻地に行っても自分と向き合うんですよね。自分と向き合うために僻地に行ってるというか。結局、自分以上のことをできないんだとしたら、チャレンジって言葉があるとしたら試練って意味でもあるわけじゃないですか。ってことは自分自身の可能性がどこまであんのか?とか、自分がホントはどういう気持ちなんだってことを広げてく、ってことがチャレンジなのかな。そのために変なところに行ったり、いろんな人に会ったり、本を読んだりするのかな、って僕は思ってるので。自分の可能性を広げることがチャレンジですかね」