
阿漕浦海岸はかつては白砂青松の海岸として知られていました。しかし、昭和28年の台風13号で、堤防が決壊、松林はなぎ倒されました。続いて伊勢湾台風の襲来や宅地造成による伐採、ごみの増大などにより、阿漕が浦は見捨てられた海岸となってしまったのです。平成5年、雑草がはびこり、荒野になりつつあったこの海岸を、昔の白砂青松の海岸へと復元するため、近隣住民が集まり、清掃や除草、花壇づくりを始めたころから、「阿漕浦友の会」の活動が生れました。その後、月2回の定例行動日には、クロマツ、ハマボウ等を植樹し、絶滅しかけた植物も保護しました。また、ハマユウやイソギク、ハマナデシコなどを植え、春から晩秋まで海浜植物の絶えない浜辺となりました。近年では毎年中秋の名月にあわせて「伊勢の国、阿漕が浦。迎月(げいげつ)」の宴(うたげ)と題したイベントを開催しています。能の舞、琴の調べなどを浜辺で披露します。世阿弥の能「阿漕」は、先程の密猟伝説に由来したもので、原作の舞台となった現地で舞うというめずらしいものです。また、中秋の名月が水平線から昇る絶好の地の利を生かした舞台は、たいへんな評判となり、毎年県内のみならず、遠く関東地方からも約三千人が訪れます。

