
宇都宮市大谷(おおや)地区は、かつて良質な大谷石(おおやいし)が採れる場所として有名です。大谷石だけでなく、地下深くまで掘られたその採掘場跡地を様々な形で利用する試みが行われています。
今回ご紹介した、夏場の苺栽培実験もその一つ。6月から行われていました。
もしかして、栃木の未来を左右するかもしれない地味ながらも?壮大な実験です!!
私たちが知る「とちおとめ」は、12月頃からが出荷の最盛期。実は夏場の苺は9割が海外からの輸入に頼っているそうなんです。
日本では夏場は暑すぎて、涼しい山の上でしか栽培が難しいのだそう。
実験で使用しているビニールハウスは、通常のハウス同様、地上にあり、中はとても高温になっていました。そんなビニールハウスの裏手にあったのは、大谷石の採掘場跡地。
地上の暑さが嘘のように、地下20メートル程の、その大きな穴を覗くとひんやり冷たい空気が流れてきます。
そしてよく見ると、その地面にたっぷりの地下水が溜まってるのです。
通常の地下水でも平均15℃程ということですが、なんと、こちらの採掘場跡地の水は、年間を通して7℃ほどとかなり冷たい。
ハウスに延ばしたホースのようなモノを、水道水で満たし、そのホースごと、この冷たい水の中に浸します。すると、ホースの中の水が冷やされて、ポンプでハウスの中に運ばれます。
そして、そのホースは、ビニールハウスの中の一本一本の苗にピタッと沿うように這っていて、苗を直接冷やすことで、夏場の空気が暑くても、苺が元気に実を付ける事ができるのだそうです。
てっきり、冷たい空気を充満させる・・・とか、冷たい水を汲み上げて、水をあげている・・・のかと思っていたのですが、全く違った方法で、すごい成果を上げていました。
これを「クラウン冷却システム」というそうです。通常、この方法を行う時には、ホースを通す水を冷やす為の、エネルギーが必要になってきますが、この大谷の採掘場跡地の通年冷たい水があるお陰で、自然の力で冷やす事ができ、動力は汲み上げる小さなポンプだけ。
水も、新しいものは必要なく、ホースの中で、ずっと循環させているものなのだそうで最高の再生可能エネルギーです。
この実験では、「とちおとめ」の他に話題の新品種「なつおとめ」の栽培実験も行っていて、共に、猛暑に負けず次々と瑞々しく甘酸っぱい赤い実をつけていました。
栃木県宇都宮市の大谷地区が、夏の苺の名産地になる日も近いかもしれません。


