もうひとりのゲスト、原田郁子がリード・ボーカルを最初にとったのは「Weather Report」。
原田とフィッシュマンズと言えば、昨年5月3日に日比谷野外大音楽堂で開催した「A Piece Of Future」に、ハナレグミ、七尾旅人、やくしまるえつこ(相対性理論)らと共にゲスト・ボーカルとして出演し、彼女の歌声とフィッシュマンズとの相性の良さも実証済みだ。今回も、時には語りかけるように優しく歌い、サビの部分では伸びやかに透明感のある歌声を聴かせるなど、の子の "スリリングさ" とは対照的に "安心感" があった。
「Weather Report」の歌詞に "まるで魚になった気分だよ まるで水槽の中の魚" というフレーズがあるが、演奏されている10分以上もの間、会場の雰囲気と相まって、異空間へと連れていってもらった気持ちになった。
2度目のMCでは、の子が「楽しめばいいんだよ!一回きりだから、お前らの解放を見せてもらいたい。お前ら、もっと解放できるだろ?当たり前だろ?お前ら、ロックだろ?俺はロックなんか大嫌いだけど、そんなの関係ねぇんだよ!!」と観客を煽り、続いて演奏された「MELODY」の後半に、の子がステージから客席に飛び降り、会場を湧かせた。
茂木、の子、原田が持ち回りでボーカルを務めてきたが、ラストの「100ミリちょっとの」では3人でボーカルをとり、貴重なコラボレーションを観ることができた。
約70分のフィッシュマンズのステージが終わり、セットチェンジが行われた間に、大型ビジョンでメッセージなどが上映された。
その中に、 "魚" 繋がりでアナログフィッシュの佐々木健太郎、下岡晃、斉藤州一郎からのメッセージも流れた。
「今日はサカナクションとフィッシュマンズがそちらでライブをしているということですが、なぜ僕らが呼ばれてないのか?」と観客を和ませた後、震災後の地球環境問題で気になっていることや原発事故の問題などで手放しで明るい未来を想像できないが、ここ一年で復興を頑張っている人たちがいるので、一日も早い自然環境の復興を願っているという力強いメッセージを届けてくれた。
さらに "魚" 繋がりで映像に登場したのは、東京海洋大学客員准教授を務めるさかなクン。
岩手県と宮城県の海に潜った時のことを話し、「海はやっぱり濁っていました。でも、目を凝らしてみると水面近くではおひさまの光が届いていて、海藻の子供たちが育っていました。みんな、必死にがんばってるなってホントにうれしく思いました。音楽の感動、お魚の感動を共感させていただきたいと思っています!」というポジティブな言葉でみんなを元気づけてくれた。