2023年11月19日Flow 第二百七十七回目「拓哉キャプテン × 冨永愛」Part3
11月のマンスリーゲストは、2019年のドラマ「グランメゾン東京」で共演したモデルの冨永愛さんです。
冨永愛さんの人生の1曲も伺います。
木村:日本に帰ってきてからは、ラジオのパーソナリティに挑戦してみたりとか。2014年には、「お家の時間を優先したいんで、一時期モデル業とかは辞めます」という事で、モデル業は辞めるんだけど、お子さんのPTAの役員を務めてみたりとかはしてたんだね。
冨永:はい、してました。普通のお母さんとして過ごしてました。
木村:そして不思議なんだけど、その6年後の2020年にまたパリコレに復帰するんですよ。
冨永:はい(笑)。ちょうど10年ですね。
木村:これは、復帰のモチベーションというか、メンタリティはどういう感じだったんですか?
冨永:日本に2010年に帰ってきて日本でのキャリアを作っていった時に、テレビのメディアっていうのに重きを置いてお仕事をさせてもらってたんですよね。それがめちゃくちゃ忙しくなっちゃって、それでちょっと息子に寂しい思いをさせてたっていうのがあって“お休み”っていう決断をして、2017年に復帰したんですけど。その後に、ここからどういうふうに自分の仕事をしていこうかなって考えてたんですよね。で、2017年からはモデル1本でやり直しして、そうなったらもう1回パリコレに行って、自分の道を定めようと思ったんです。パリコレって、やっぱり本場のランウェイじゃないですか。
木村:本場っていうか、何て表現すればいいんだろう?俺は、そこに実際に観に行ったこともないし、あの空気を体感したことないから分からないけど、パリコレっていう音の響きが、何だ?その説得力…っていうような老舗感はありますよね。聖地というか。
冨永:そう、聖域。私たちの。聖地ですね。もう、ナンバーワンというか、そこありきな感じはするじゃないですか。そこの場所でもう1回トライをして、自分がランウェイを歩くことが出来るのか出来ないのかで、自分のこれから先の道が決まるだろうなって思ったんですよ。要は、そこで歩くことができたら、まだコレクションモデルとしてやっていけるだろうな、道はあるな。もし歩けなかったら、もうちょっと違う形でキャリアを作っていかなきゃなっていう選択肢が2つあって、それを見定めるために挑戦したんです。2020年。
木村:ちょうどグラメの後ぐらいですよね。
冨永:そうですね。そうそうそう。
木村:すげー大事な時期に俺…。
冨永:でも、グラメがあったからだと思います、私。これをやったのは。
木村:えっ!?
冨永:初めて私、グラメで俳優って面白いかもって思ったんですよ。
木村:マジっすか?
冨永:はい。俳優って面白いと思ったんです、初めて。
木村:へー。
冨永:それは、やっぱり木村さんを筆頭にキャストの皆さんも本当に素晴らしかったし、スタッフさんも含めて、あー、こういう作品の作り方があるんだなって、こういう世界にもう1歩踏み込んでみたいなって思ったんですよ。グラメをやって。それがあったから、じゃーモデルとしては…っていうふうになったんだと思うんですよね。私のマインド的に。
木村:あー、なるほど。へー。
冨永:迷いが生じたというか、スイッチですよね。
木村:え?俺、押しちゃった感じ?(笑)。
冨永:そうですね、押されましたね(笑)。絶対それはあると思います、私。
木村:でもそれは、すごく光栄ですよ。
冨永:ありがとうございます。ほんとに。
木村:あの作品に携わってくれて、あの現場を一緒に踏んでくれてそう感じてくれたのも嬉しいし、愛ちゃんの人生に、そういうふうに関われたのは光栄だなと思うし。実際に今、俳優として活躍されてますからね。
冨永:活躍はしてないんですけど。
木村:してますよ。
冨永:(笑)。
木村:してなかったらね、大奥とかやってないですよ。
冨永:あれはね~、すごかったですね~。
木村:すごかったって。待って、待って。大奥やってるけど、役柄的には、「ん…待てよ、これ徳川吉宗だよな」みたいな。すげーの受けたなっていう。馬乗ってんぞっていう。あれはビックリした。
冨永:ちょうどその時に木村さんは信長やってましたもんね。映画でね。
木村:やってた、やってた。あ、その時に一度LINEのやり取りさせてもらいましたよね。
冨永:はい。しました、しました。
木村:その時ね、完全にね、“吉宗から信長に対するLINE”みたいな感じで送ってくれて。
冨永:そんな感じでした?(笑)。
木村:たしか。えーと、「さすがお主の…」。
冨永:言ったかも。
木村:そうそう。書いてあって、完全に大奥の設定で送ってきてるなと思って。じゃー、こっちもこっちでちゃんとその設定で返さないとまずいなと思って、返したんですけど。
冨永:すいません(笑)。信長は、吉宗の前の時代ですけど。なんかすごいリンクしたんで、ちょっと遊びました。
木村:いやでも、いきなり時代劇やってみてどうでした?
冨永:いや~、楽しかった。でも、めちゃくちゃ大変だった。こんなに大変なんだと思って。
木村:でも、きっとあれなんだろうな。大変であれば大変であるほど、やった後に、「あー楽しかった」っていうタイプの人ですよね。
冨永:めちゃくちゃそういうタイプ(笑)。大変じゃないと、そういう達成感が得られないって自分で思ってしまうのは嫌なんですけど。大変なこと別にしたいわけじゃないし。なんだけど、でも、時代劇に関しては前からやりたくて。殺陣とかも練習してたんですけど。
木村:殺陣やったんだ(笑)。
冨永:殺陣やってた。全然オファー来てないのに殺陣やってました。乗馬も。
木村:でも馬は必要だったでしょ?
冨永:馬は、私が練習してたって言うのを知った演出家の人が差し込んでくれたんですよ。
木村:あ、それで入れてくれたんだ!
冨永:そう。元々なかったんですよ。で、吉宗の暴れん坊将軍の海辺のシーンが加わった。
木村:タータター…みたいなね。
冨永:そうそう。いや~楽しかったですね。木村さんは時代劇、楽しいですか?
木村:全部楽しいっす。特に時代劇ってなると、やっぱり時代の価値観とか、人との関係性だったりとか、所作も含めて。だから、現代劇をクリエイトしていくのとはまた違うルールが必要じゃないですか。
冨永:はい。
木村:そのルールを継承してくれてるプロフェッショナルが京都にいるんですけど、あの人たちとの作業は特に楽しいですね。
冨永:へー。
木村:太秦のみんなは、ほんとに。
冨永:あー、なるほど。うわー、行きてー、太秦。
木村:俳優という立場、表現が面白いっていうふうに感じてくれたのであれば、是非是非お勧めしたいなっていうか。一緒にそこで作業出来たら、もっと楽しいでしょうね。
冨永:是非!
木村:そして、俳優さんだけではなく、社会貢献活動もされてると。妊婦さんと女性の命と健康を守るための活動。国際協力NGOジョイセフの親善大使だったりとか、消費者庁っていうところからSDGsアンバサダー、これは自分っていうフィルターを通じて発信出来たらっていう事で始めたの?
冨永:そうですね。そんな感じ。
木村:そんな感じ?(笑)。SDGsは、何でそこに目が行ったの?
冨永:ファッション業界が、世界で2番目に環境に影響を与えている業界なんですよね。要は、大量生産・大量消費で、かなり洋服を無駄にしてると。で、環境も汚してるっていうのが世界で2番目なんですよ。それが分かった時に、自分の中ですごい矛盾を感じて。私はモデルとして洋服を見せる、販売を促進していく立場じゃないですか。それが背景にあって、でも地球から見たら大量生産・大量消費で、かなり地球を汚してるってなった時に、これ、どうしたらいいんだろうなって。
私は元々、相模原って自然が豊かな場所で自然とともに育ってきたみたいなところがあるんで、自然とかが大好きなんですよ。だから、自分がやってる事と自分が大切にしてることの矛盾を感じて、その矛盾を解消しなきゃなって思ったときに、ちょうどSDGsが2015年に設定されて、2030年までに達成する目標なんですけど、後片付けをちゃんとしなければいけない。物を作る時に環境に配慮してゴミをあんまり出さないとか、それを作って捨てるときの事まで考えて、これからファッション業界は生産していかなきゃいけないっていう事なんですよね。
木村:コレクションモデルをやっていた人が言うから、両方のメッセージがある。
今月はこんな素敵な冨永愛ちゃんとお送りしてきましたが、この番組ではゲストに来てくれた方に、「人生の1曲」というのを伺ってるんですけど、愛ちゃんの人生の1曲ってどんな曲になりますか?
冨永:人生を象徴するような曲っていうのは凄く難しかったんですけど、今私が好きな曲。
木村:はい。
冨永:トレイシー・チャップマンの「Give Me One Reason」
木村:何故、この曲を。
冨永:今、好き。
木村:そこも含めて愛ちゃんぽいよね。すごく現在進行形な人じゃないですか。
冨永:そうかもしれない。
木村:だから「え、人生の1曲~?う~ん、今好きなやつかな!」っていう、その選曲の仕方がめちゃくちゃ進行形っすね。
冨永:(笑)。そうですね。
木村:なるほど、了解です。
[OA曲]
M.Give Me One Reason/Tracy Chapman
[後TM]
M.One and Only/木村拓哉