「バラと葡萄の関係は?」
見渡す限りのこんもり円い丘の稜線までブドウ畑が続く、ピエモンテ州バローロ村からバルバレスコ村あたりは、いわずと知れた熟成型赤ワインの故郷。この辺りが、緑の葡萄葉に覆われた初夏、雪がうっすら積もる冬枯れのころも旅情を誘われるけど、なんと言っても葡萄の収穫が終わった静かな畑で、日に日に葡萄の葉が緑から、茜色に、黄色に紅葉してゆく10月がダイナミックで大好き。
あるときそんな葡萄畑の片隅で、健気に咲くバラの花を見つけて以来、南でも北でもイタリア中のブドウ畑でついついバラの花を探してしまう。
バラの花がその香りで蜂や害虫を引き寄せて被害を一手に引き受けてくれる説、畑に病気が発生したときバラのほうがデリケートなため葡萄に被害が及ぶ前に対処できる説、ただ葡萄畑の華として植えている説・・・どれももっともらしく真相は?
でも何はともあれ、さんさんと陽を浴びた元気なバラは初夏と秋の2回も花咲くだけになんだか華やかで葡萄だっていい気分のはず?葡萄の木が植えられた畝の一番端が、バラの指定席。
バラを植えているわけを聞くと、イタリアらしく有名な醸造家の意見もバラバラ・・・
……つづく