車内を居心地の良い空間にするべく装飾する、
運転を快適にするべくスマホホルダーを装着する…
オリジナルな空間を作るのは、クルマの楽しみでもありますが、
それが、ルール違反になっていませんか?
間違った装飾は、事故にも繋がりかねません。
車内の環境を、いちど見直してみましょう。
モータリングライター 藤田竜太さんによると
道路交通法第55条に車両の運転者は運転者の視野
もしくはハンドルその他の装置の操作を妨げて
バックミラーの効用を失わせ、車両の安定を害し
または外部から該当車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、
尾灯もしくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、
また積載をして車両を運転してはならない」と記されています。
これに反して、ドライバーのシェアを妨げるものを取り付けていると
乗車または積載方法違反となり、違反点数1点、
普通車で反則金6000円が科せられる可能性があります。
乗っているクルマを可愛く演出したい、カッコよくしたいということで、
何かの装飾を施している人は結構いますが、国土交通省は2005年に、
道路運送車両法の保安基準を改正して
フロントガラスへの装飾板の取付けを全面禁止にしました。
その2年前、神奈川県川崎市で、
大型トラックが道路横断中のベビーカーと母親を跳ね
幼児が亡くなり、母親が重傷を負う事故が発生しました。
現場は見通しが良い直線道路。
しかし、トラックのフロントガラス下部に、
高さ20cmの「装飾板」がつけられていたため、
ドライバーは道路を横断する親子に気づかず、
ベビーカーを引きずったまま6mほど走って、ようやく停止。
警察は、装飾板が至近距離の視界を悪化させたと判断しています。
当時は、特にトラックに装飾板をつけた車体も多かったため、
国土交通省は実態調査を行った結果、すべての車体は
前面ガラス及び側面ガラス(運転者席より後方の部分を除く)に
装飾板等を装着した状態は、基準不適合とする
(可視光線透過率が70%以上となるものは除く)と保安基準を改正したのです。
いまフロントガラスへの装着が認められているものは
車検の有効期限を示した検査標章のシール、バックミラー、
公共の電波を受信するために前面ガラスに貼り付けられるアンテナが主なもの。
また、吸盤式のドライブレコーダーも例外的に認められておりますが
これらの電子機器もフロントガラスの上部から20%以内の場所か
もしくはルームミラーの裏側に限って合法となっています。
それ以外の吸盤式の初心者マークや高齢者標識
吸盤式のお守りや吸盤式のスマートフォンホルダーなどは厳密に言うと、
保安基準不適合になりますので気をつけてください。
スマートフォンホルダーを取り付けるのなら、ダッシュボードの上か、
ドリンクホルダーまたはエアコンの吹出口にしっかりと固定するようにしましょう。
そしてダッシュボード上に固定する場合、
前方の視界を妨げないように気をつけるのがポイントです。
ダッシュボードの上にぬいぐるみやフィギュアを並べている人も結構見かけますが
ドライバーの視野を妨げると判断されると、乗車または積載方法違反として
取り締まりの対象になる可能性があります。
仮に法的に問題がなかったとしても、助手席側のダッシュボードには
エアバッグが格納されている車種もあるので、エアバッグが開いた時に
乗っていたぬいぐるみなどが吹き飛んで予期せぬ状況になる懸念もあるので
できるだけダッシュボード上には物を置かない方が安心。
さらに、ダッシュボードに物を置くと乱反射によって視界を悪化したり、
加速や減速、コーナリングなどで生じるGの影響で乗っていたものが落ちて
集中力が削がれたり、足元に落ちたものがペダル操作に悪影響を与えることも
あり得るので、ダッシュボード上は常にスッキリさせておくほうがいいでしょう。
藤田さんによると、運転席から見える範囲に何かを装飾するときの共通項は、
「視界を妨げないこと」と「しっかりとした固定」の2点。
まず、動くものや光るものは視界に入らないようにしておくのが基本です。
ルームミラーにお守りやアクセサリーの類をぶら下げるのは、
ドライバーのシェアを妨げる危険性があるので、安全のことを考えるなら避けた方が賢明。
メーターパネル前に物を置くのも、メーターの視認性を邪魔してしまいます。
ハンドルやウインカーレバー、ワイパーレバーなどへの装飾もやめましょう。
車内の装飾も事故に繋がる危険がないよう十分に注意して
カーライフを楽しんで下さい!