今週はGW。
日本モータージャーナリスト協会 副会長で
日本自動車連盟(JAF)の交通安全委員会 委員でもある
菰田潔さんの監修で安全トリビアをお送りしました。


1)タイヤの空気圧チェックは最低1ヶ月に1度

菰田さんのオススメは2週間に1度。
というのもパンクしたモノを発見できるというメリットが大きいから。
パンクしてしまったタイヤは数日間、気づかずにいることが多い。
GWに長距ドライブする方は出発前に空気圧をチェックして下さい。
空気圧が少ないとデメリットが非常に多いのです。
燃費が悪くなる、ブレーキを踏んだ時の効きが弱くなる、高速道路でふらつく。
ただ、空気圧をたくさん入れればいいというわけではなく、
自動車メーカーが決めた車両指定の空気圧に合わせいといけません。



2)日本の信号は進行方向の信号と、交差する道路の信号、ともに赤になる時間がある 

最近、このことを知った上での危険な運転が増えているそうです。
ヨーロッパでは交差点の手前に信号機があるので他の道の信号は見る事が出来ません。
日本では交差点の向こう側に信号が付いている。つまり他の通りの信号が見えます。
進行方向の信号が赤になっても、交差する信号が赤だということが見えるから、
意図的に交差点に進入するドライバーがいるそうです。
そもそも、これは赤信号で止まり切れなかった車がいたとしても、
横の車が出て来ないから事故を未然に防ぐという為にやっていること。
見越した危険運転は、その効果を無くすことになります。
赤では停止線を超えないよう努力をして下さい。
そして、交差点でいちばん前に止まっている時、
信号が赤から青に変わっても不用意に発車しない!
交差する道からクルマが来ないか確認!!



3) 車間距離の世界基準は2秒間

日本で目安とされる車間距離は、
60キロ以上で走行する時は、速度に相当する距離、
80キロで走っているなら80メートル、
60キロ以下で走行する時は、速度マイナス15の距離、
50キロで走っているなら35メートル・・・となっていますが、
時間で車間距離の目安を表す世界基準では「2秒間」。

100kmで100mは空けすぎだと感じて、
車間を詰めて20m、30mで走っている車は少なくありません。
100kmでの走行は1秒間に約28m走ります。2秒間ということは56m。
これは違和感を感じない距離でしょう。
自分が判断するのに1秒、それからスピードを落としたり避けるのに1秒、
少なくとも「2秒間」の車間距離を空けるように心がけましょう。



4)ヘッドライト(前照灯)の基本はハイビーム

ご存知でしたか?
道路交通法第52条、夜間は前照灯を付けなければいけないという法律があります。
ここでいう前照灯という意味は100m先の障害物が見えるハイビームが基本。
前に車が走っていたり、対向車が来る時は、眩しさで危険を及ぼすので、
ロービームにして減光するという考えです。
最近、夜に右から横断してくる歩行者をはねてしまう例が多いそうです。
それはクルマが左通行の日本では左の照射角度のほうが広い
つまり左右のライトの照射角度は違うのです。
左が広いのは歩行者や自転車を注意するため。
そして、右側が強いと対向車が眩しいから。
このことも覚えておいて下さい。


5)サンキューハザードはやらないほうがいい

マナーとしてサンキューハザードが浸透しています。
でも、ハザードは本来「停止します」の合図。
自分の前に入ってきたタクシーがハザードを出した時、
ドライバーはお礼だと思ったけれども
実はお客さんを乗せるために停車する合図だということがあるそうです。
同じようにパッシングも、お互いの「意図」が、噛み合っていないと危険となります。
このことも気をつけて下さい。


6)仮眠は15分 カフェインを摂取したあとで

車を運転していて眠くなった時は仮眠をとって下さい。
時間は15分程度。それ以上、寝てしまうとよけいに眠くなるそうです。
そして、寝る前にカフェインを摂取するとより効果的です。
カフェインは飲んでから30分後に効くそう。
眠りにくくなることはなく、起きた後にスッキリします。



車を運転する機会も多いゴールデンウィーク。
みなさん、安全運転で、楽しい連休を!!




「飛び出すな 車は 急に止まれない」「せまい日本 そんなに急いで どこへ行く」。多くの人には聞き覚えがある標語でしょう。これは「交通安全年間スローガン」に選ばれたものです。「飛び出すな 車は 急に止まれない」は昭和42年の内閣総理大臣賞 子供部門。「せまい日本 そんなに急いで どこへ行く」は昭和48年の内閣総理大臣賞 運転者向け部門。実は「交通安全年間スローガン」。最初の昭和41年から数えると平成27年は50回という節目の年。木曜日の追跡は「なるほど!交通安全」。今週は「交通安全年間スローガン」を追跡しました。

昭和40年は交通事故による死亡者が1万2千人。その対策をしなければという中で募集がスタートした「交通安全年間スローガン」。現在は全日本交通安全協会と毎日新聞社によって共催されています。いちばん最初の最優秀作品の3つを見てみると「世界の願い 交通安全」「もう一度 よく見て渡れ 手を上げて」「ブレーキは早目に スピードは控え目に」。それでは平成27年の最優秀3作品は一般部門A(運転者(同乗者を含む)へ呼びかけるもの)が
兵庫県丹波市 村岡 孝司さんの「早めから つけるライトで 消える事故」。
一般部門B(歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの)が高知県高知市濱渦 幸嗣さんの「外出は 明るい笑顔と 反射材」。こども部門(こども(中学生以下)へ交通安全を呼びかけるもの)は静岡県富士宮市立東小3年後藤 悠仁さんの「ルールむし しん号むしは わるいむし」。こう見ると50年という月日は今昔ではありますが交通安全の心というのは普遍的なものです。

交通事故による死亡者は昭和45年(1975年)には過去最悪のおよそ1万7千人に達し「交通安全年間スローガン」も含めた交通安全運動が実を結び、その後は減少に転じます。去年はピーク時の4分の1、4,113人。減っているとはいえ、いまだ1年に4千人以上の大切な命が交通事故によって失われている事実を受け止めてゼロに近づけていく努力をしていくべきでしょう。そのために交通安全のスローガンを読むことはもちろん、考えるという行為は交通安全の大切さを実感し、交通ルールを守る意識に繋がるはずです。来年、平成28年に向けた募集は6月後半から募集予定。特にお子さんがいる方は、一緒に作品をつくって応募してみてはいかがでしょうか?
今朝はクルマの運転を変えつつある装置ACC を追跡しました。
お話しを伺ったのは東京大学 生産技術研究所 
交通制御工学が専門の大口敬(おおぐち・たかし)教授。

ACCはAdaptive Cruise Control
(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の頭文字をとったもの。
日本語では「定速走行・車間距離制御装置」と言います。

ACC以前の技術はCC(クルーズ・コントロール)といいます。
CCを使うと車はドライバーが設定した速度で走行しますが、
車間距離を一定に保つにはドライバーがブレーキ操作をします。
CCの発展形であるACCは設定した速度で自動走行するのはもちろん
前方車との車間距離を一定に保つためのセンサーとCPUが車に搭載され、
車間距離を一定に保ちながら走ることが可能になりました。
さらに前方車との距離が設定距離より近づいた時のブレーキ操作も
車が自動で行ってくれるようになったのです。

このACCは特に高速道路で有効なシステム。
ドライバーにとって速い速度で前の車との距離を意識しながら運転することは
とても消耗することで長時間続けば注意力も減ってしまいます。
ということは’もしも’の事態に対応する力も落ちたしまうということ。
反対にACCを使うことによって余裕ある状態であれば
万が一の状況でもよりより判断と動作ができる可能性があるのです。

ACCによって車の流れがスムーズになると
渋滞が減ることが可能性として考えられます。
渋滞の最後尾では常に事故が起こりうるもの。
渋滞を避けられるのであれば事故の芽をつむことができるわけです。

ただACCには課題もあります。
急カーブがあると前のクルマが正面からずれるので、
センサーが前のクルマとの車間距離を計れなくなってしまいます。
大雨などでセンサーが効かないこともあります。
前のクルマが車線変更をしていってしまった時、
自分が車線変更をしたい時は前のクルマを追従することはできません。
また広くACCが普及すると、前の車との距離感ゆえに、
渋滞に繋がってしまう可能性もあるといいます。
この部分はデータを集めてさらに機能を改善する余地がありそうです。

そして、渋滞はクルマ1台で起こるものではなく、
何十台、何百台と集まった結果に起こるもの。
個々の設計・製造を考える自動車メーカーだけでは解決できません。

自動車メーカー、道路を管理・運営者、交通についての研究者、
3つの立場が共同して渋滞を減らして安全を目指す、
その取り組みがようやく始まったところだと
大口敬(おおぐち・たかし)教授はおっしゃっていました。

長い間、利用者は誰もが渋滞の多さにストレスを抱えていた首都高速道路ですが、
いま、渋滞をなくし、円滑な交通システムを実現すべく、新たな建設が進んでいます。

近い将来、首都圏の高速道路は、
内側から中央環状線、外環道路、圏央道の3つの環状道路が、
東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道と連絡します。
完成すれば渋滞は減って事故も少なくなることでしょう。

先月、中央環状線山手トンネル(高速湾岸線〜高速3号渋谷線)が開通。
湾岸線の大井JCT-大橋JCT間9.4キロが繋がって中央環状線が全線開通しました。
3つの環状道路のうち、最初のリングが、計画から半世紀経って実現したのです。

今回のコメンテーター モータージャーナリストで
高速道路研究家の清水草一さんによると
まだ数字的なデータはありませんが、中央環状線が全線開通を受けて、
都心部、特に南側の渋滞が緩和している模様。
渋滞の代名詞の1つ浜崎橋ジャンクションの渋滞は大幅に減っているようです。

しかし、一方で中央環状線には車が多く流入するようになり、
全体としては交通量が増加、午後5時から7時ぐらいにかけては渋滞します。

これは「混雑時間の料金を上げる」「前後の時間の料金を下げる」など、
何か施策を打たない限り変わらないだろうとのこと。
プロのドライバーではない場合、やはりこの時間に首都高速を使うのは、
できるだけ避けたほうがほうがいいかもしれません。
近い将来、ナンバーによる入車制限なども、検討されるべきでしょうか。

そして、先月8日には3つの環状道路のうち、
一番外側のリング、圏央道の寒川北IC – 海老名JCTが繋がりました。
関越自動車道方面から湘南方面に行くには便利になりました。
圏央道も間もなく開通する割合が8割に達しようとしています。

ただ、構造的に致命的な欠陥があると指摘されているのが海老名JCT。
利用したことがある方は、知っているかもしれません。
合流部分の距離が短すぎて、減速しなければならず、渋滞が起こるのです。
GWに初めてここを通ることになるドライバーは気をつけてください。

近い将来の完成に向けて、変わりゆく首都圏高速道路。
これからも部分的な開通は続きます。
運転に自信がない人や、サンデードライバー、
それからふだん利用しない高速道路を使う時には、
事前に最新情報を確認しておくことが、
事故を減らし、安全なクルマ社会をつくる第一歩です。
そのことをお忘れなく!
新年度。車の購入、買い替えを考えている方もいらっしゃるでしょう。古くなったので、そのもの自体を新調しようと思っている方もいらっしゃるかもしれません。1回目は進化するカーナビを特集しました。カーナビがなかった時代、同乗者なしに詳しくないところに行く時は地図を片手にハンドルを握ったもの。今では音声案内をしてもらえるわけですから、カーナビは安全運転に大きく貢献していると言えるでしょう。

今回、お話を伺ったのはカーAV評論家 会田肇さんです。会田さんによるとカーナビの登場は1981年。しかし、それは透過式のフィルムに目的地をペンで書き入れて進んでいく原始的なもの。広く普及しませんでした。1990年に地図のデータをCD−ROMに入れて、GPSを使い測位するという、現在に繋がるタイプが発売されたことによって、カーナビは多くのドライバーに利用されるようになっていきます。その後、CD−ROMはより情報量を多く入れることができるDVD、HD、メモリと進化してきました。

2015年の今、最新のカーナビは地図をリアルに表現し、地図上に立体的にイラストが描写されるようになっています。さらに視線をカーナビに落とさなくてすむように目の前に進路を示すようなヘッドアップディスプレイという機能を組み合わせて使えます。特に優秀なのは「渋滞考慮」と「音声認識」の性能。総務省・警察庁・国土交通省が提供している交通情報サービスを受けて目的地に最短で到着するナビゲーション、クラウドを使ってSIRIのおうにドライバーが話しかけた言葉を認識して情報提供する性能が格段に向上しています。

カーナビ購入にあたっては純正品か一般メーカー品か、製品も多く価格帯も広いのでどれを選ぶのか悩んでしまうところ。価格については当たり前ですが高額になるもの優れた機能が搭載されています。その上で自分のカーライフをイメージして、どんな目的でカーナビを使うのか、店頭で相談するのがいいでしょうというお話でした。純正品のメリットは保証期間が3年と長いこと。一般メーカーの製品は1年です。さらに自動車メーカーはテレマティクスという通信を使って交通に関するさまざまな情報を提供するサービスを行っています。この点で一歩先を行くのが他社はまだ有料のところを、無料サービスとして行っているのがホンダのインターナビです。今後、テレマティクスはさらに発展していくでしょう。

進化するカーナビは交通安全も考慮しています。道路の一時停止標識をつい見落としてしまうということがあるかもしれません。そんな時でもカーナビがこの先は一時停止だということを知らせてくれたり、逆走しそうになった時は注意してくれるカーナビも出てきました。また、標識を読み取って制限速度を表示するカーナビも出てきています。なぜカーナビにこうした機能が搭載されつつあるかというと、将来的にはクルマそのものと連動して、例えばスクールゾーンに来たらある一定の速度以上はスピードが出ないようにする、一時停止のところではクルマが強制的に停まるというシステムを構築していこうという自動車メーカーの姿勢の表れなのです。