実は車両事故のおよそ3割が起きているのは駐車場。
走行スピードが速くないぶん、大きな事故は少ないものの、
3割という数字は改善の余地があります。
今回はモータージャーナリスト 飯田裕子さんにお話を伺いつつ
駐車場での安全確保を「追跡」しました。

駐車場で起こっている事故の内訳を見てみると

⭐ 5割強がクルマ同士の衝突

⭐ 3割が壁・フェンスなど施設との衝突

まず、駐車場での事故の原因の1つが基本的な運転技術の未熟さ。
停車スペースから出ようと早くハンドルを切り過ぎて
自分の車の鼻先が外に出たつもりで後輪あたりを擦ってしまう、
停車のためのバック時にタイヤの向きが分からなくなり隣の車にぶつけてしまう、
運転が得意ではない人は自分の運転スキルをしっかり把握しましょう。
そして、焦る必要はありません。
ゆっくり、じっくり、という気持ちを心がけてください。

そして、平均的な運転技術がある方はその駐車場の状況確認が必要です。
輪留めがあると思ってバックをしたところ実際は無くて
フェンスにぶつけたり、壁にぶつけたりということがあります。
とにかく、自分が車を停めようと思ったところをきちんと見る。
何か障害物が無いか?どの位の広さなのか? 確認をして下さい。

さらに、その駐車場がどんなシステムなのか認識するようにしましょう。
駐車場は規則性がその駐車場の中だけということが少なくありません。
例えば、進行方向に進んでいて空きのパーキングスペース一がない時、
Uターンは出来ず、もう一周グルッと回ろうとして規則を見落として逆走してしまう。
そうすると走行する車同士の接触する可能性があり、
出ようとしている車との接触も考えられます。
また、対面でのすれ違いや右側通行の駐車場も存在していて
走行誘導や標識を見落としてしまう事による接触が考えられます。

駐車場の事故は人的要因、
ヒューマンエラーから起こることも少なくありません。
心当たりはありませんか?

駐車スペースに入る場合、探すことに夢中になってしまうと思うので、
目線が近くでなく、遠くを見ていることが多いのではないでしょうか?
そういう時に、影から人やカート、これから出ようとする車を見落として、
ぶつかりそうになって、ヒヤリハットしてしまうといった事があるかもしれません。
運転に慣れているという過信が不注意に繋がり、
アクシデントを引き起こしてしまう可能性が上がってしまうかもしれません。

駐車場で気をつけるポイントは、まず「徐行」。
そして「ライトの点灯」です。

駐車場の車の走行は人が歩くようなスピードで操作をするということ、
AT車の多くはDレンジやリバース・後退モードに入っていれば
ブレーキを離しただけで車がゆっくり進む走る。
これを上手に使って車を操作する方が良いでしょう。

ハンドル操作が忙しくなっているとすれはスピードが上がってしまっていので、
停めるのに忙しくなっているなと思ったら速度を落とす。
それからヘッドライトを点灯する。
周囲に自分の存在を示すという役割もあるので、
周りの不注意で接触されてしまうかもしれないという
リスクを下げるためにもヘッドライトを点けて下さい。

駐車場はともすれば慢心してしまうスペース。
利用する駐車場の状況とルールをしっかりと把握し、
駐車スペースを探すときも、そのことだけに気をとらわれない。
駐車場内の走行は人が歩くぐらいのスピードで。 
柱の影から子供が飛び出して来ないとも限りません
なるべくライトを点けて他の車の不注意に巻き込まれないための事故防衛
今日から駐車場内での「安全」に、今まで以上に注意しましょう。


一般道でも、高速道路でも、
クルマを運転していて明るい外の世界から、
わずかに電気が灯る仄暗い、あの空間に入ると、
どことなく「怖さ」を感じる人は多いのではないでしょうか。

仄暗い空間とは・・・「トンネル」。
クルマの運転は多くの危険が潜んでいますが、もちろんトンネルにも。 
今回は交通安全アドバイザー 藪下正三さんのお話をお聞きしつつ
トンネルでの安全運転を「追跡」しました。

まず、トンネルでの交通安全で気をつけるべきは、
明るい外の世界から暗いトンネルに入る前に、
安全な通行ができる状態なのか情報を集めること。

? 日中、サングラスをしていたらはずす

? ヘッドライトの早めの点灯

? 高速道路ならラジオの情報提供を受信 1620kHz

? 電光表示板や信号の確認

そして、しっかり情報を集めてトンネル内に入っても、
運転には充分注意しなければいけません。
トンネル内の「性質」も知っておきましょう。

トンネルというと真っ直ぐな道路という印象があるかもしれません。
しかし、近年のトンネルは直線が招くリスクを押さえるために
わざとカーブになっているトンネルが増えているそうです。
つまり、トンネル内は前方の見通しがあまりよくないということ。
また、トンネル内は水捌けを良くするため入口から中心に向かって上がり坂。
中心から出口に向かっては下り坂になっています。
つまり、下り坂ではスピードがオーバー気味になってしまう可能性があります。

また、ドライバーがトンネル内でとりやすい行動もあります。
車幅が狭く、側壁が迫る暗いトンネルの中に差し掛かると、
ドライバーは意識せずにスピードダウンする現象が見られます。
その原因の1つがトンネル外よりも速度を速く感じてしまうため。
多くの車両が無意識の内にアクセルペダルを緩めているのです。

多くのドライバーは無意識にスピードを落とすこと、
それ自体は交通安全にとってマイナス要素ではありません。
ただ、そのことを知らない上に自分はトンネルの“怖さ”を感じず、
スピードを出すドライバーがいるとなれば大いに危険な事態になります。

また、高速道路で起こりやすい現象がトンネル内では顕著に現れます。
それは大事故の要因になりかねません。

高速道路を走り始めて暫くの間は、
スピードへの恐怖心や周囲の景色が刺激となって緊張感を保てます。
しかし、運転に必要な情報が次々と視界に飛び込んでくるため、
時間の経過と共にストレスを感じるようになるのです。
このようなストレスを「流体刺激」と呼んでいます。

一部のドライバーたちは流体刺激から逃れようと、
無意識の内に前方を走る車両の後ろ姿を見て走るようになります。
そして、自分の車が100kmで走っていて、前方車両も100kmだと、
あたかも止まっているモノを見ているのと同じ感覚になります。
その結果、速度に応じた安全を確保するための車間ではなく、
流体刺激から逃れるための車間になっていくのです。

このようなドライバーが数十台ずつ一団となって、
等間隔で異常接近する「車郡現象」がトンネル走行時には多くなります。
多くのドライバーがヘッドライトをロービームにしていて、ロービームの照射距離は約40m。
この範囲以内に前方車両を捉えようとすると極端に車間距離を詰めることになります。
このような車郡現象が多重衝突事故の大きな要因となっています。

止まっているように感じることを「追従静止視界」と言います。
つられてスピードを出しすぎているかもしれないので
スピードメーターの確認を怠らないようにしましょう。
そして、適正な車間距離を保つようにしましょう。

安全な車間距離の取り方は、距離を時間に置き換える方法が効果的。
停止の際に必要となる「2秒」をあらかじめ確保しておきましょう。
走行中の目印となる目標物を前車が通過した時点から、
自分が同じポイントを通過するまでの時間をカウントしますす。
しかし、この2秒間は走行条件の良い時の車間距離。
走行条件が良くない場合、雨や夜間の運転は1秒追加します。
トンネル走行は夜間走行と同じなので前車との距離感が3秒必要です。

トンネルは出る時も要注意!
川端康成の雪国にある「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」ではないですが、
トンネルのあちらとこちらでは天候や道路状況がまったく違うこともあります。
トンネルの危険を認識して安全運転を心がけてください。


全体的に減少傾向にある交通事故。
しかし、細かくデータを見てみると、増加している部分もあります。

それは、中高年の二輪車による事故

その理由の1つが、若い頃にオートバイに乗っていて、いちどやめた人が、
中高年になったあとで、ふたたび乗りはじめる
「リターンライダー」が増えているからだとも言われています。

去年、平成27年の二輪の交通事故の数を見ると

全国で二輪車が関与した交通人身事故 8万 1千件 ⇨ 全体の15%

全国の二輪乗車中の死者数 677人 ⇨ 全体の 16.4%

決して少ない数字ではないので
ライダーには気をつけてほしいところ。
それでは中高年ライダーの事故が増えているという数字は、
どんなふうにデータに出ているかというと平成18年と平成27年の比較で・・・

40歳未満 
4万8.000件 ⇨ 2万件に減少
平成18年を100とすると平成27年は41.7


40歳〜60歳 
1万2,000件 ⇨ 1万3,000件に増加
平成18年を100とすると平成27年は108.3


交通事故全体が減っている中で見逃せない数字であり
この増加の原因にリターンライダーの存在が指摘されています。

最近ではライダーの平均年齢は50歳と言われています。
ある調査によると、その4人に1人が「リターンライダー」。
子育てが一段落して時間やお金のゆとりができて
もう1度、自分の趣味を持ちたくなった人が
またオートバイにまたがっているのでしょう。

今回、お話を聞いた警視庁 交通部 交通総務課長 
阿武孝雄(あんの・たかお)さんによると
リターンライダーに気をつけてほしいポイントは3つ。


?バイクが高性能になっていること

現在は300馬力にもなるバイクが市販されていて、
10年前を比べるとパワフルで運動性能が高い。
またアンチロックブレーキシステム(ABS)が装着されているようなバイクもあるので、
特製をしっかりと理解して乗ってほしい。
自身が購入したバイクの性能をしっかり確認する。
その性能に応じた運転が出来るようになるまで慎重に運転をしてほしい。


?長いブランクを認識すること

判断力や運転間隔が衰えていることを理解する。
危険を予測した運転も心がけほしい。
市街地だとナビを見たり、急に合図をせずに運転している自動車もいるので、
なるべく広い視野をもって安全運転を心がけてほしい。


?若い頃とは心身ともに違うと認識すること

体力と集中力が若い頃に比べて低下していることを認識してほしい。
ツーリングなどにでかける時には無理のない計画と小まめな休憩を。

中高年のライダーによる事故はどんなケースが多いのか。
過去5年間の東京都内の事故を見ると、
オートバイが交差点を直進している時に右折車両と衝突するような右左折時の事故が34.2%。
一時停止や安全確認を怠ったということによる出合い頭の事故が25.6%。
交差点内での交通事故が非常に多く発生しています。
また、速度超過によってカーブを曲がり切れずに衝突する単独事故が18.2%。
交差点では安全確認をして右折車の動きに注意する、
カーブの手前では減速して安全な速度で進行するということを心がけて下さい。

リターンライダーはもちろん、足車に乗り続けている中高年ライダーも、
「今」と「昔」は違うことを自覚するようにしましょう。
自分だけが例外ということはありません。過信・慢心は最大の敵です。

2016年になって1ヶ月。
日々、安全運転を心がけていますか?
新年すぐは「今年も交通安全!」と強く思いながら、
忙しい毎日が戻り、つい何気なく運転してしまっている人はいませんか。
そんなあなたに! 今週は平成28年の「交通安全年間スローガン」を追跡しました。

昭和40年に始まった「交通安全年間スローガン」。
平成28年作品の募集に全国から寄せられたのは約6万点にのぼりました。
その中から選ばれた平成28年の「交通安全年間スローガン」は計19点。
最優秀作の内閣総理大臣賞の3点をご紹介すると


【一般部門A(運転者(同乗者を含む)へ呼びかけるもの)】
こんばんは 早めのライトで ごあいさつ
山本 佐織(山口県山口市 会社員)


【一般部門B(歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの)】
シニアこそ ジュニアのお手本 交通安全
浦川 泰治(北海道札幌市 会社員)


【こども部門(こども(中学生以下)へ交通安全を呼びかけるもの)】
しんごうが あおでもよくみる みぎひだり
野口 瑠梨愛(静岡県静岡市立城北小1年)


そして、今回番組では優秀作、
内閣府特命担当大臣賞を受賞した3人に
どんな思いでスローガンをつくったのか聞きました。

【一般部門A(運転者(同乗者を含む)へ呼びかけるもの)】
その酒で 失う信頼 家族の未来
右田 善智(鹿児島県鹿児島市 小学校教諭)

飲酒運転を起こしてしまうともちろん処分される訳ですが、
それだけでは済まないぞと伝えたかったのです。
私達、教員は子供や保護者に信頼されて成り立つ職業。
それを失ってしまうということ。
それだけではなく、被害者の方の家族であるとか、
自分の家族の未来も失ってしまうのだという事を伝えたかたのです。
この作品を作るときに、最初「失う信用」と作っていました。
それを「信頼」に変えたのです。
あとで知ったのが「信用」を積み重ねて人間は「信頼」されるという言葉。
やはり、その信頼を裏切る飲酒運転は絶対にしてはいけないと伝えたいです。



【一般部門B(歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの)】
スマホ見ず しっかり前見て 踏むペダル
横尾 伸子(大阪府高槻市 無職)

ながらスマフォの危険性が社会問題になっていること。
自転車のルールが厳しくなったこと。
2つを絡めたモノを何か作りたいなと思ったのです。
あまりにも自転車をしながらスマホをしている人が多く、
実際に転んでいる人も見た事もあります。
交通ルールを一部の人だけが守っても絶対に事故は無くなりません。
必ず、みんなが守るというのが第一だと思うのです。
自転車を運転する時は運転に集中してもらってスマフォは電源をOFF。
そういう風に思ってもらえたらなと思います。


【こども部門(こども(中学生以下)へ交通安全を呼びかけるもの)】
気を付けよう 知らない道より 慣れた道
佐々木 慶人(静岡県掛川市立横須賀小6年)

僕は2年生の夏休みに交通事故を起こしてしまいました。
塾に行く、慣れた道だったので、大丈夫かと思い、交差点で飛び出してしまいました。
この失敗を二度としたくないので、慣れた道こそ気を付けなければいけないという思いで、
このスローガンを作りました。このスローガンを書いてからは、
しっかりと交差点は止まって、右左右と必ず確認するようになりました



こうした交通安全スローガンを聴いたり、
つくった人の気持ちを聞くとハンドルを持つ身が引き締まるもの。
全作品は全日本交通安全協会のWEBサイトに掲載されています。
ぜひ一度、ご覧になってください。


一般財団法人 全日本交通安全協会WEBサイト内
平成28年「交通安全年間スローガン」の紹介ページ。

http://www.jtsa.or.jp/topics/T-262.html