激しい雨が 狭い範囲で短時間に降る現象 いわゆる「ゲリラ豪雨」。
運転中に見舞われたら、充分な注意が必要です。
事前の備えもあったほうがいいでしょう。
今週は「ゲリラ豪雨の備えと対策」を追跡しました。  



実は「ゲリラ豪雨」という言葉は正式な気象用語ではありません。
気象庁は「集中豪雨」「局地的な大雨」といった表現をします。
しかし、1970年代からマスコミで使われはじめ、
2008年の「新語・流行語大賞」でトップ10入りしました。

正式な気象用語ではないので「ゲリラ豪雨」に明確な基準はありません。
ただ、過去を振り返ると1時間の降水量が50mm以上を記録した雨は

1976年 - 1986年 年平均160回
1987年 - 1997年 年平均177回
1998年 - 2008年 年平均239回

2009年の時点で10年前より35% 20年前より50%増えています。
ということは いわゆる「ゲリラ豪雨」も増えていると推測できます。
こうしたデータを見ると短時間の集中豪雨は増加していると言っていいでしょう。

独自の基準で「ゲリラ豪雨」の予測を発表しているウェザーニュースは
今年7月から9月の全国のゲリラ豪雨回数は
過去3年の平均と比べて3割増
7,043回発生するという予想を発表しています。

こうした雨の状況は車の走行にトラブルを起こします。
今月の北九州の豪雨に際してはJAFへの救援依頼が増えたといいます。
JAF東京支部 事業課交通環境係 金子力生さんによると
今年7月5日の0時から7月7日の15時45分までの統計は対昨年度比較1.5倍。
管水路を走行した事が原因と思われる事例とかもあったということで
やはり救援依頼の増加は雨の影響があることも推測されます。

金子さんが まず話していたのは
大雨や集中豪雨の時にはなるべく運転を控えること。 
視界が悪くて危険です。
川の氾濫や都市部は排水が降水量に追いつかずに
道路に水たまりができてクルマが水没したり、冠水する恐れがあります。

運転している途中にゲリラ豪雨が降ってた時は
水位が上がり身動きが取れなくなる可能性もあります。
安全を確保するために走行を続けたとしても
周囲より低いガード下やアンダーパスなど水が溜まりやすいところは避けましょう。
充分に速度を落として運転をするようにしてください。
また 冠水している道もなるべく避けましょう。

JAFは冠水した道路をクルマで走行した実験を行っています。

道 路 ▷ 長さ30m

水 深 ▷ 30cmと60cmと2通り

クルマ ▷ セダンタイプとSUVタイプの2種類

速 度 ▷ それぞれ時速10キロと時速30キロ


セダンタイプは水深30cmの場合は時速10キロ、時速30キロともに
何とか走り抜ける事は出来たそうです。
ただ 水深60cmになると かなり水に埋もれてしまう部分が多く
速度10キロでは走り切れずにエンジンが停止。
空気を吸う部分から水を吸ってしまいエンジン内に水が入った事が原因です。

SUVタイプは水深30cmの場合は時速10キロ、時速30キロともに走り抜ける事は出来ました。
しかし 水深60cmになると時速10キロでは何とか走り抜ける事は出来たのですが
時速30キロでは勢いがあって水しぶきがたくさん上がったため
水たまりに入ってすぐにエンジンが停止。
以上のテスト結果が出ています。

こうした冠水した道路を走る危険の1つが
水の影響でパワーウィンドウが作動しない ドアを開けられない、
最終的に車の中に閉じ込められてしまうこと。

そうした緊急事態のために
シートベルトカッターとガラスを割るハンマーが1つになったレスキュー道具を
車に備えておくことをおすすめします。


夏休み。
子供たちの行動パターンは学校がある時と異なります。
いつもと違う生活環境で交通事故に遭わないよう注意が必要だということ。

今週は公益財団法人 交通事故総合分析センター
研究部 主任研究員の山口朗さんにお話を伺い
特に小学校の児童向けの「夏休みの交通安全」を追跡しました。





学校がある期間と学校が休みの期間。
子供を交通事故から守るため 2つの大きな違いを認識しましょう。

1)登下校がない
2)日中いつでも街を歩き 自転車に乗れる

この2つは表と裏のような関係です。
ここ数年の小学1年生と小学2年生の月別死傷者数のグラフを見ると
いずれの年も12ヶ月のうち8月の人数が最小。
これは「登下校時」がないからだと推測されます。
反対に浮かび上がるのが ふだんなら学校にいる時間に街中にいる可能性。
そこに気をつけなければいけません。

例えば 登下校時ではない子供は
「交差点」ではない道路の直線区間「単路」に気をつけるべき。

歩行中の交通事故を全年齢で見てみると
半分が交差点で起こっていて交差点以外の「単路」では約1/3。
ところが 登下校中以外の小学1年生の歩行中の交通事故を見ると
半数が単路で起こっています。これは小学生全体にある程度 当てはまるでしょう。

では 単路で子供が遭遇する交通事故には どんな事故類型が高いのか。
横断歩道ではなく 横断歩道がない場所を横断をしている時の事故が多いのです。
単路の事故の60%が横断歩道が無い場所を横断中に発生しています。
お父さん お母さんは 子供に対して
横断歩道を渡るよう言い聞かせるようにしましょう。

交通事故に遭った歩行者にも 法令違反があったケースも少なくありません。
子供の場合は 法令違反別死傷者数のデータから1つの危険が浮かび上がります。
「飛び出し」です。

歩行者側の法令違反の割合を見ると 成人では7割位が法令違反が無い。
ところが小学生になると5割以上が 何らかの法令違反があります。
信号無視や斜め横断など 横断に関する違反は 小学生の成人も割合は同じようなもの。
違いが1番出ているのが「飛出し」。
大人の場合は 飛出しは1割 〜 2割ですが小学生の場合は3割。
低学年になるほど その割合は高くなります。

2015年度のデータでは 男の子の35%が飛出しが原因の事故。
男の子と女の子で比較をすると 男の子の方が割合が高いことが認められます。
女の子は27%。これは学年に寄らず1〜6年生まで同じ傾向があります。

これらのことから考えられるのは
子供は色んなところに注意を同時に向ける事が出来ないということ
さらに飛び出してきやすい性質を持っているということ。
ハンドルを握るなら 前方に小さな子供が歩いていたら
横断報道の有無に関わらず 横断してくる可能性を考えましょう。
いつでもアクセルペダルからブレーキペダルに足を移せるようにしておく。
止まれる準備をしておいたほうが良いと山口さんはおっしゃっていました。

お父さん お母さんは。
夏休み前に子供に交通安全についての話をしましょう。
ドライバーの皆さんは運転にはより一層、気を引き締めましょう。
2017年の夏休みの交通事故を1つでも減るように!
      



今週は先週に続く「子供同乗自転車の交通安全」の後編。
先週は子供を乗せた自転車運転について
認められていること 認められていないことを 法的根拠とともに紹介。
今週はもう少し実生活に即した情報をお伝えしました。

今回のコメントは自転車の安全利用促進委員会のメンバーで
自転車ジャーナリスト 遠藤まさ子さんでした。

まず 遠藤さんによると自転車が関わる交通事故数は減少しているものの
それ以上に交通事故の全体数が減っているため割合としては増えているそうです。
車の交通事故は警察に届けるのが当たり前という意識があります。
翻って自転車となると警察に届けないというケースが多いのが現実。

物損事故・人身事故なのに当事者間で「すいません」「大丈夫ですか?」で済ませる。
交通事故と認識してないというケースも多いのです。
遠藤さんは潜在化する事故を含めると
自転車交通事故の総数は非常に増えているのではないかと懸念しています。

そして 今回のテーマは自転車運転の中でも「子供を乗せた2人乗り、3人乗り」。
自転車に子供を乗せて自転車で走っている方も多いでしょう。
その時に道路のどの部分を走っているか? これはとても重要なこと。

自転車は基本的に車道の左側を走らなくてはいけません。
歩道の走行は「車道に危険なものがある」「車が停まっている」など
危険回避のため やむを得ず出来ることなのです。
そして 危険回避のために歩道を走るとしても徐行を定められています。

歩道での子供同乗自転車は 
運転手は自転車を降りて、押すことが理想です。
遠藤さんは この習慣づけを勧めていました。
歩道は歩行者が通行する道路で歩行者が最優先。
「子供を乗せている自転車だから」は免罪符にはなりません。
自転車はいつでも加害者になる存在だと認識して下さい。
法律上では「軽車両」=車両の1つなのです。

そして 遠藤さんがお父さんとお母さんに気をつけて話していたのが
抱っこ紐を使う時と自転車をどこかに駐輪する時。

「前抱っこ」で子供を乗せながら走っているお父さん・お母さんがもいます。
「前抱っこ」はペダルを漕ぐ足を妨げたり
転倒した時に子供が下敷きになってしまう可能性があるので避けましょう。
抱っこ紐を使う場合は必ずおんぶのスタイルでで乗せる習慣を身につけてください。

また 自転車は走る時だけではなく 
駐輪している時にも安全面に気を付けましょう。
子供をチャイルドシートに乗せたまま 
駐輪をして 何か用事を済ませている光景
目にしたことがある人は多いと思います。

これは目を離した隙に子供がバランスを崩して自転車ごと転倒して
大怪我をする可能性を高めてしまいます。
ちょっとの時間であっても面倒くさがらず 
子供を安全のために降ろして駐輪することを心がけましょう。

自転車は身近なものでありながら
交通事故に繋がる可能性のある交通手段だということを
いまいちど認識して 日常生活で使ってください。


時折 街中でみかける、
同じ自転車に子供を乗せてペダルを漕ぐ お父さん お母さんの姿。
2人乗りはバランスが崩れやすいもの。少し心配になります。
「何かの拍子に倒れたり、歩行者や車とぶつからなければいいな」と。

日本の法律では、基本的に禁止されている自転車の複数乗車。
どの範囲で例外として認められているのか?
法に則って複数乗りをする時は事故に遭わないよう何に注意すべきか?
今週と来週は2週にわたって「子供同乗自転車の交通安全」です。

前編の今回の監修とコメントは東京 麹町
みらい総合法律事務所の吉田太郎弁護士でした。

自転車の複数乗り。
法律上ではどんなふうに規定されているのか? 
吉田先生によると

自転車に何人乗れるかについては
道路交通法の57条2項に定められています。
公安委員会は道路における危険を防止し
交通の安全を図るために必要があると認める時は軽車両の乗車人員 
または積載重量等の制限について定める事が出来ると定めています。
自転車は道路交通法上は軽車両という位置づけ。
公安委員会が自転車に何人乗っていいかを決める事が出来ると定めています。
公安委員会は各都道府県ごとにあります。
平たく言うと自転車に何人乗っていいか?という事は
各都道府県で決めると定めている事になります。


自転車の同乗者については各都道府県によって規制が違うこのこと。
47都道府県を見ることはできないので
1つの例として東京ではどうなのか伺ってみました。

東京都では東京都道路交通規則10条で
原則的には運転者以外は乗車出来ないという規定があります。
2人乗りしてはいけないということです。
ただ、場合によっては2人、あるいは3人乗って良いという例外規定もあります。
これは各都道府県でも同じようにあるものですが
何歳の人を一緒に乗せていいかという点で差異があります。
東京都では運転者は16歳以上。一緒に乗る人は6歳未満。
しかし 6歳未満ならどんな風に乗せても良いという訳ではありません。
いわゆるチャイルドシート 子供を安全に乗せられるような幼児用座席に乗せる。
こうした例外的用件が満たされる場合に限り 2人乗りが出来ます。
そして 3人乗りも幼児2人同乗用自転車であれば可能となっています。
また、変則的な形になるかもしれませんが チャイルドシートに乗せた子供のほかに
いわゆる抱っこ紐を使って確実に背負えるということであれば3人乗りも可能です。


東京都は同乗できる子供は「6歳未満」ですが
これが大阪になると「4歳未満」と規定されています。

こうした情報は都道府県のWEBサイトにわかりやすく掲載されています。
警察に問い合わせるのもよいでしょう。

また 都道府県に関わらず 幼児・児童が自転車に乗る時
その保護者はヘルメットをかぶらせることが義務付けられていることをお忘れなく。
      
あなたの住んでいる都道府県での決まりはどうなのか? 
あらためて確認してみてください。