歩行者の立場で街を歩いている時、
交通事故を招くような、危ない行動はとっていませんか?

実は、交通事故に遭ってしまう歩行者の多くに、
道路交通法違反があるということがわかっています。
今回のタイトルはちょっと怖いですが
『死亡歩行者の6割が道路交通法違反』。

公益財団法人 交通事故総合分析センター
業務部 渉外事業課 課長 中西 盟さんにお話を伺いました。





警察庁がまとめた昨年2019年の交通事故データによると
日本における24時間以内の交通事故死亡者数は3215人。
そのうち歩行中の死者数は1176人で全体の約37%。
状態別で言いますと自動車乗車中、二輪車乗車中、
自転車乗車中を上回ってもっとも多い死者数となっています。

そして、歩行中に亡くなった方の特徴が2つあります。
1つは高齢者が多いこと。もう1つは法令違反が多いこと。

歩行中の死者数を年齢層別に見ると、
65歳以上の高齢者は819人で64歳以下の非高齢者は357人。
高齢者が非常に多く歩行中に亡くなっていることが分かります。
また65歳以上の高齢者では60%が、65歳未満の非高齢者で65%が、
何らかの法令違反を犯しています。
この比率はこの10年間、あまり大きな変化は見られていません。





65歳以上で60%、65歳以下だと65%に、
道路交通法違反があります。

これ、クルマを運転するドライバーの立場からすれば、
「おいおい勘弁してくれよ」という気持ちになりますよね。
      
歩行者にとってもよくないデータがあります。
交通事故死傷者のうち、亡くなった人の割合を、
法令違反がなかった場合と法令違反があった場合で比べた数字。
65歳以上で、法令違反があった時は、法令違反がなかった時のおよそ5倍、
65歳未満で、法令違反があった時は、法令違反がなかった時のおよそ6倍、
致死率が高くなっています。





歩行中の次のようなことが、大事につながります。
やらないようにしてください。

✖️ 横断歩道が近くにあるのに、横断歩道以外の場所を横断する

✖️ 進行中や停車中の車両の直前または直後を横断する

✖️ 道路を斜めに横断する
 (これは、道路標識等で、斜めに道路を横断できる場所を除きます)

✖️ 歩行者の横断が禁止されている道路を横断する


出てくるはずのないところから、歩行者が飛び出してきたり、
いるはずのないところに、歩行者がいたら、
いくら気をつけて運転しているとはいえ、
ドライバーが避けられないことも考えられます。
「歩行者だから」「交通弱者だから」「車の方が気をつけるべき」
といった行動は慎むべきですね。

近くに横断歩道があれば、多少遠回りでも横断歩道を利用しましょう。
横断歩道がない場合には、左右の安全確認をしっかりして
車両が通り過ぎてから横断するようにします。
接近する車両の位置や速度を正しく見積もるのは難しいので、
渡れると思っても無理をしないようにします。
特に歩行者から見て左から接近する車には十分注視しましょう。
夜間には反射材や自発光式反射材を着用し、
車のドライバーから発見されやすいようにすることも大切なこと。

ドライバーにとっては、夜間右から横断しようとする歩行者に注意しましょう。
対向車や先行者がいなければ、ライトを上向きにして早く歩行者を発見できるようにする。
夜間は交通量が少なくなり、速度を出しやすくなりますが、
万が一の回避が難しくなるので、制限速度を守った走行をしてください。


犬を飼っている方は、家族と一緒に愛犬もクルマに乗せて、
買い物や行楽へという機会もあるでしょう。
そんな時、安全運転にどのくらい注意を払っていますか。

今週はJAF東京支部 事業課 交通環境係 高木 孝さんにお話を伺い
愛犬との安全なドライブについて考えました。





あたたかい季節になると、見かけるようになるのが、
走っているクルマの窓から顔を出している犬。
「危ないなー」と思ったことがある人も、多いと思います。





実際、大変危険です。
急ブレーキを踏むとどうなるか。考えただけでも怖くありませんか?
反動や驚いて車外に落ちる、あるいは飛び出してしまうかもしれません。
その道路が車の往来が激しいところだったら・・・

その瞬間は自分の運転の責任ではなく起こります。
また、後部座席の左側から顔を出しているとミラーの確認ができない、
右側の窓から顔を出していると後方を確認ができないことも考えられます。

そして、小型犬の場合だと、運転している時に、
膝の上に乗せたことがある方もいるかもしれませんが、これも危険。

小さな子供を膝に乗せての運転は皆さん危険だと思うでしょう。
それと同じ。急ブレーキの時でも、後ろから追突された時でも、
前に飛んで大変な被害を負ってしまいます。
では、助手席や後部座席で犬を抱いてはどうかというと、
車の衝突はとても大きな衝撃がかかるので
人間の腕の力だけでは守り切ることができません。





膝上に愛犬が乗っていたり、同乗者が抱いていたり、車内で自由な状態だと、
ドライバーも運転に集中できなくて、そういう意味でも危険。
そして、危険なだけではなく道路交通法違反にも該当します。

道路交通法では運転手はハンドル、ブレーキなどを確実に操作し
交通の状況に応じて、他人に危害を及ぼさないような速度、
方法で運転することが求められています。
愛犬を膝に乗せることは、これに反していると言えるでしょう。
安全運転義務違反ということになってしまうわけです。

そこで、今ではさまざまな愛犬のドライブグッズが出ています。
大きさや性格に合わせて有効なものを使うことをお薦めします。
キャリーバックやプレート、ドライブ用のボックス。

後部座席に設置できる、猫にも対応できるペットシートもあります。
ペットの安全ベルト付き。運転している飼い主のことを見られるメッシュ窓つき。
防水加工がされていて、洗濯もできて、ペットのおしっこや、抜け毛も掃除可能。
こうしたものを使って愛犬が楽しく安全にいられるようにしましょう。





昨日、気象庁が九州北部・関東甲信・北陸・東北南部の梅雨入りを発表。
日本列島は1ヶ月ほど続く、雨の時期を迎えました。

ハンドルを握る方であれば、少なからず実感しているはず。
雨の日の運転には、特に気をつけなければいけません。
今週はモータージャーナリスト 菰田潔さんに注意ポイントをお聞きしました。





雨の日は危ないと思っている方がほとんどだと思いますが、それは正解。
1ミリ以上の雨が降っている時間を調べると年間の5%程です。
ところが年間事故件数で見ると雨の時間帯は2016年は18%、2017年は18.5%。
1mm以上雨が降っている状態の5%に比べて3倍〜4倍多いというデータがあります。





では、どこに事故の原因があるかというと大きなものはスリップ。
路面が濡れていると、ブレーキが利き始めてから
クルマが止まるまでの距離「制動距離」が伸びます。

雨でなければブレーキを踏んで前の車に追突しないで止まれても
雨の日だと滑ってぶつかってしまう可能性があるのです。

ただ、制動距離を測る試験は急ブレーキで行います。
ふつうに走っている時には濡れた路面でも制動距離の長さはあまり感じません。
「なんだあまり普通と変わらないじゃないか」と高を括っていると、
本当に危ない瞬間がきて、急ブレーキを踏んだ時に思っていたように止まれない。
晴れの日とそんなに変わらないと思ってしまうところに落とし穴があると思って下さい。





そして、雨の日に特に気をつけたいのが、
速いスピードで走っている時に起きやすい「ハイドロプレーニング現象」です。
ハイドロプレーニング現象は道路にできた水たまりの上を走行した時、
道路の舗装面とタイヤの隙間に水があって車が浮いてしまう現象。
ハイドロプレーンは水上飛行機のことです。
水上飛行機のようにクルマが滑走してしまいブレーキもハンドルも効きません。

この時にパニックになってはダメ。
ゆっくりとアクセルを戻し、車の向きが違ったら、
行きたい方に少しだけハンドルを切って待っていると、
その状態が終わった時に、また操作できるようになります。

思いっきりハンドルを切ったりすると状態が戻った時に
勢いよくそっちに向かってスピンしてしまうので要注意。

ハイドロプレーニング現象が起こらないようにするには、
1つはスピードを出さないこと。
さらにきちんと溝のあるタイヤで走行することです。





また、雨天ではどうしても悪くなる視界。
正確な情報をキャッチするためにも、
より良好な視界を確保するように努めましょう。

特に大事なのが小雨でも雨が降ってきたらヘッドライトをつけること。
また、ウィンドウを曇らせないため菰田さんがお薦めなのがクリーンビュー。
内側の曇りは内側につけてタオルで拭き取る、
外側は油汚れなどは取れるので視界がクリーンになります。
そして、走行中に内側が曇ってしまった場合には、
クーラーで除湿することで水滴が付きにくくなります。





視界が悪く、滑りやすい梅雨時の運転。
充分に注意して下さい!


今週は先週に続く「つい、やりがちな危険運転」後編。
コメントはJAF東京支部  事業課 交通環境係  高木 孝さんでした。





最近マイカー利用が増えたみなさんは、
お伝えする内容に気をつけてハンドルを握るようにして下さい。
日頃、クルマに乗ってきた方も改めて自身の運転を省みて下さい。

薄暗くなると自動でヘッドライトが点灯する「オートライト」機能。
4月1日から、新型乗用車への搭載が義務化されました。
継続生産中の車種については、来年10月から義務化されますが、
ヘッドライトは、多くの人が間違った認識を持っているかもしれません。

道路運送車両法上ではハイビームが「走行用前照灯」。
ロービームは「すれ違い用前照灯」。
実際は街中ではロービームで走ることが多いと思いますが、
法律上は「走行用前照灯」のハイビームで走り
前方に車がいたり、対向車がいる時にロービームに切り替えるべきものです。
暗い道をロービームで走っていると無灯火と見なされることがあるので注意。
反対にハイビームにして走行していて、対向車を眩惑させたりするのもダメ。
状況によってしっかり切り替えるようにしてください。





続いては高速道路の利用。
つい、追い越し車線を走り続ける人がいるかもしれません。
これも法令違反です。

追い越し車線は名の通り、追い越す時に利用するもの。
それ以外は走行車線を走ることになっています。
追い越しをしたら速やかに走行車線に戻る。
こういったことを全てのドライバーが了解していれば、
皆が道路がお互い気持ちよく使えます。

追い越し車線をゆっくり走っていると、
“あおり運転”を呼び込んでしまうかもしれません。
その点にも気をつけて下さい。





買い物などや、ちょっとした用事でクルマを離れる時、
エンジンをかけたままにしていませんか?
車両は、他人に無断で運転されることがないよう
必要な措置を講じる義務があります。

エコドライブの観点からもからも好ましくありません。
燃料の2割くらいは停止のアイドリングで使っていることもあるとか。
そういう部分も考慮して、エンジンを切るようにしましょう。





最後に、これから雨の時期。
気をつけなければいけないのが水はね、泥はね。
道路交通法には、ぬかるみや水たまりを通行する時、
徐行するなどして泥水、汚水などを飛ばして、
他人に迷惑を及ぼすことがないようにすることが規定されています。
気をつけて下さい。

JAFの実験によると、水深1cmの水たまりがある時、
時速40kmで走ると水が歩行者にかかってしまいます。
半分の20kmでも水がかかってしまうリスクがある。
速度を10km程度にすると水はかからない。
以外と水や泥ははねてしまうものということを覚えておいて下さい。

「つい、やりがちな危険運転」は、法令違反でもありますが、
他のドライバーや歩行者などが迷惑を被ります。
事故にも繋がりかねません。

こうしたことを避けるのは「思いやり」の気持ち。
「思いやり」を胸にハンドルを握っていれば
自分勝手な運転はしなくなり、事故が減るはずです。
ドライバーの方はいま一度、自身の運転について考えてみて下さい。