もうすぐ12月。
12月は年末の慌ただしさのせいか「1年で最も交通事故が多い月」です。
車の運転は急ぐことで危険が高まるので要注意。
今週は「運転時の急ぎの心理」についてお伝えしました。





お話を伺ったのは東北工業大学 名誉教授で、
日本交通心理士会 前会長 太田博雄さん。

急いだ運転をしないためには、
前提として気をつけておくべきことがあります。


1)きちんと計画を立てる

2)慌てて出発しない


急いでしまった時に、顔を出すのが危険な運転です。
典型的なことはスピードの出し過ぎ、飛ばしてしまうこと。
また、早く進みたいと気が急いて車間距離を狭めがちなこと。

また、急ぐことで省略行動が起こります。
一時停止しなくてはいけなければいけないのにせずに進む。
左右両方をきちんと確認しないとけないのに片方だけ確認して進む。
さらに車は来ないだろうという予測の元に運転するなど。
身に覚えはありませんか。





急ぐ運転で必要になってくるのは、より高度な運転の技能と危険予測力。
でも、いつもより早く走り、安全確認もおろそかで、気持ちは焦っている。
ふだん以上の運転技術と危険予測力を発揮できるはずはありません。
その上、急ぎたい心理は多くの人が思っている以上に役に立たないのです。

通常で約30分かかる12.5kmの道路を急いだ場合、
どのくらいの時間が短縮できるか? 実施した超長があります。
協力したのはプロのタクシードライバーたち。
事前のアンケートでは5分から10分は短縮できるという回答が多かったそうですが、
いつも通りの運転と急いだ運転でかかった時間を比較したところ
平均の差はたった2分45秒だったそうです。

その僅かな短縮時間を得ることと
事故を起こすリスクを背負って急いで運転すること
天秤にかけてどちらを取るべきかは自明のことのはずです。





感情をコントロールは、太田先生によると難しいもの。
まずは急ぎやすい、慌てやすい、焦りやすい傾向があるか
客観的に判断して自分自身についての正しい理解を持ちましょう。
その急いでいる自分を客観的にとらえることによって
「今、ちょっと危険にあるな」という認識ができます。

そして、会議に間に合わない、何かに遅れてしまうといおう不安材料がある時は、
怒られるかもしれませんが電話連絡などをして急がないで運転できる状況を作りましょう。
さらに感情のコントロールは難しいので、肉体を利用して気持ちを整えましょう。
深呼吸は自ずと体をリラックスさせ。体のリラックスは心のリラックスへ繋がります。

人間のDNAには急ぐことができる個体が、
”危険から逃れられる”あるいは”獲物を得られる”
つまりは“生き残れる”という記憶が太古から刷り込まれているそうです。
また、子供の頃に何かにつけ親から「急ぎなさい!」と言われて育った人もいるでしょう。
そんなことから「急ぎ体質」が沁みついるているかもしれません

でも、車の運転は急ぐほどに危険が高まるだけです。
急がない運転を日頃から目指しつつ、
交通事故が多い12月、交通安全をいつも以上に気をつけましょう。



11月下旬になりました。
日本列島は北から冬に入っています。

今週は「冬の車の装備」について
モータージャーナリストで日本自動車ジャーナリスト協会 
会長 菰田潔さんに話を伺いました。





菰田さんが冬の車に装備とて載せておいたほうがいいと考えているもの。
以下のようなリストになりました。

*タイヤチェーン
*不凍効果のあるウインドーウォッシャー液
*毛布、タオル
*サングラス


タイヤチェーンはチェーン規制が設定される道路があるので必須です。
最近では軽量でお手軽な価格でタイヤチェーンの替りになるものも出ています。
ノルウェー生まれの「オートソック」。





昔ながらの金属チェーンは、トランクに入れておくのも大変。
古くなると錆びてしまいます。
でも、オートソックは布製のタイヤチェーンと呼ばれているもの。
ずっと履き続けているわけにはいきませんが、
高速道路の規制厳しくなった時にこれを履いて入ればOK。
重量としては1キロほどで脱着も楽です。

サングラスは雪で眩しい時のため。
ウィンドウウォッシャー液は忘れがちなので注意。
夏なら凍ることがないので水でもいいですが
冬になると凍る可能性があるので不凍効果のあるものを。





毛布もいざという時には助かります。
どこかで立ち往生した。長い渋滞に巻き込まれた。
エンジンが止まってしまったという場合に車内で暖をとれます。
車内で暖房をかけていても寒いという人がいる時も便利。
冬の寒さは身に沁みます。

そして、この時期には終えておかなければいけないのがタイヤの履き替え。
降雪地帯に住む人は冬タイヤへの交換は当たり前。
でも、あまり雪が降らない地域の人は、降ったら交換しようと思いがち。
その時にはタイヤショップ、ガソリンスタンドが大盛況。
なかなか交換できない可能性もありましす。

また、スタッドレスタイヤは新品の時は氷上でのグリップが最高ではありません。
少し走って慣らして性能が出るようになるので1ヶ月くらい走っておくことが理想。
雪も降らないのに冬タイヤに替えたらすり減って勿体ないと思うかもしれませんが、
実は夏タイヤで硬い冷えたアスファルトの上を走るほうがタイヤの摩耗が激しいのです。





雪や道路の凍結。
これから日本列島は安全なクルマの走行に、
より一層、気をつけなければいけない季節。
まずは、ご自身のクルマの装備について、考えてみてください。


去年11月、内閣府と厚生労働省は、保育施設園児の安全を確保するため、
「キッズ・ゾーン」設定の推進を都道府県などに通知しました。

今週は それから1年が経った「キッズ・ゾーン」についてお伝えしました。
話を聴いたのは交通問題に詳しい矢貫隆さんです。





キッズ・ゾーン設定のきっかけは、
昨年の5月に滋賀県大津市で起こった交通事故。

横断歩道の信号が青に変わるのを待っていた保育園児など16人が、
交差点で衝突した2台の車の1台によって死傷してしまった事故。
記憶に残っている方も多いでしょう。

子どもが被害に遭う交通事故の報道が増えていることもあり
約1ヶ月後、交通安全緊急対策という閣議決定が出ました。
その施策の1つとして出てきたのがキッズ・ゾーンです。





キッズ・ゾーンは幼稚園や保育所から周囲500mに設定。
設定場所により道路事情が違って一律のことは出来ないので、
スクールゾーンに準じた対策を立てることが目標です。
通学に関わる時間の車の交通を遮断するなどといったことです。
他にも大型車の通行を止める、歩車道分離を推進する、ガードフェンスを付けるなど。


調べて見たところ、キッズ・ゾーン導入が早かったのは豊橋市。
今年1月、愛知県で初めて設定しています。
その後、4月に宇都宮市が栃木県で初めて、7月には船橋市が千葉県で、
萩市が山口県で初めて、9月には東大阪市が大阪府で初めて設定しました。

都道府県初の市町村が出始めて動き出したばかりという印象です。
実際、まだキッズ・ゾーンのことを知らない人も少なくないでしょう。





これらの内容については、いずれも取り入れているのが路面標示。
それだけのところもあれば「横断旗や注意看板」の設置や
園児に同行して安全を確保する「キッズガード」配置に取り組むところもあります。

交通安全対策の内容については、
行政の保育担当部署が、道路管理者、都道府県警察と協力しつつ、
具体的な安全対策を検討となっているので、協議に時間がかかり、
具体的な施策を決めるのも大変かもしれません。
形式的にではなく、意味ある安全対策を、早く講じてほしいものです。





今回、お話を伺った矢貫隆さんは、
交通社会で子どもを守るには地域の協力が必要だと考えています。

例えば近くに運送会社、タクシー会社など、自動車関係の企業があれば
通学時間帯に参加してもらい、園児たちの交通安全確保に協力してもらう。
また、地域住民が危険と思われる要所に立つと、かなり安心感は増えるでしょう。

矢貫さんは「とにかくキッズ・ゾーンという認識が足りない」と話していました。
今日の放送を聴いたみなさんはキッズ・ゾーンを忘れないでください。
車の運転時、路面標示を見たら、園児に気をつけましょう。
そして、地域で子どもの安全を守ることを、いつも念頭に置いておきたいものです。

コロナ禍の中で交通事故の増加が指摘されています。
特に二輪、オートバイの事故が増えているとか。

今週は増える二輪の事故についてお伝えしました。
お話を聞いたのはモーターサイクルジャーナリストで
ライディングアカデミー東京 校長 佐川健太郎さんでした。





日報で出ている警視庁の交通人身事故発生状況によると
今年は11月3日現在で112人が亡くなっています。
そのうち、状況別で乗り物に乗っていた人は自動二輪車が33人と最多。

また、北海道では今年、
9月初旬の段階で88人の交通事故死亡者が出ています。
そのうちバイクに乗っていた方が22人で4分の1。

確かに二輪の事故は増えています。
ライダーのみなさんには気をつけてほしいところです。





佐川さんの考えによると、二輪事故増加の背景にあるのは
コロナ禍のストレスをバイクで解消したいという気持ち。

4月以降の外出自粛の後、交通事故全体は減りました。
その後、二輪の事故がグッと増えたのが6月以降。
自粛疲れ、溜まったフラストレーションを
バイクで発散する人が増えたのではないかと見ています。

バイクは最も三密から遠いところにあるもの。
周囲もツーリング流行りになっているとか。
ただ、あまりに気分が開放的になると、
危険がともなってしまうのかもしれません。





そして、事故が増えている背景には、
オートバイを取り巻く状況もあるのではないかと佐川さんは考えています。

厳格だった二輪免許の取得は1996年に緩和されました。
それまでは、かなりのトレーニングを積んで
確固とした運転スキルと安全マインドを持った人しか
大型二輪ライダーになれませんでした。
それが、あまりスキルがない、安全マインドが足りない人でも
簡単に大型バイクに乗れるようになってしまったのです。

一方で今、バイクはとても高性能化しています。
ひと昔前のレーシングマシン並みと言われるほど。
そうしたマシンにお金さえあれば誰でも乗れてしまう。

最近、話題になっている40代50代の
いわゆる「リターンライダー」と呼ばれる人たちがいますが、
昔取った杵柄で高性能な大型バイクを、いきなり乗りこなすのは難しい。
また、実際のところ、リターンではなくて熟年ビギナーの方も多いそうで
加齢による体力や視力の衰えもあり
事故に繋がることはありえますねと佐川さん。

自分が当てはまると思った方は気をつけて下さい。 
身近にリターンライダーがいる方は何かの折りに注意を促して下さい。





今のバイクもABSが標準装備され、安全性能が高まっています。
事故防止のためには、バイクテクニックを磨くというのもありますが、
それ以前に大事なのは安全マインドを徹底して高めること。
コロナ禍でいろんなストレスに苛まれている方も多いでしょう。

でも、バイクは皆さん好きで乗っていると思うので
趣味のバイクで命を落とすようなことはあってはいけません。
危険予知と防衛運転を徹底して、笑顔で家族や友人の元に帰っていただきたい。
謙虚で誇り高いライダーであって欲しいと思いますと
佐川さんはバイク仲間へ、そう注意を語って下さいました。



ライディングアカデミー 東京 公式サイト
https://www.r-academy.com