運転免許証をとったあとは、
誰かに教わる、注意されることがなくなるクルマの運転。
自分で当たり前にやっていることが、他のクルマにとっては迷惑だったり、
危険の種を蒔いていることがあるかもしれません。

今回は JAF東京支部 事業課 交通環境係 栗原 悠羽さんにお話を伺い
「ヘッドライト・ウインカー・ハザードの正しい使い方」についてお伝えしました。
いま一度、自分の運転に照らし合わせてみて下さい。





【ヘッドライト/前照灯】

市街地を走る時は対向車や前方を走る車のドライバーの
視界を遮らないようにすれ違い用前照灯、いわゆるロービームを使います。
そのため都市部で生活しているとロービームは基本になっていることでしょう。
しかし、ヘッドライトの基本はハイビーム。
対向車や先行する車両がいない場合の原則です。






【ウインカー/方向指示器】

右折・左折の時は30メートル前から。
車線変更する時は3秒前から。

ウインカーを出さないのは問題外ですが、5年前にJAFが行ったアンケート調査では
『ウインカーを出さずに車線変更や右左折する車が多い』という設問に対して
「とても思う」と「やや思う」と答えた人を合算すると7割いました。
気をつけましょう。






【ハザードランプ/非常点滅表示灯】

一般の自動車の規定としては「夜間、幅5.5m以上の道に停車、
または駐車しているときは、非常点滅表示灯か尾灯をつけなければ」いけません。
走っていて路肩などに停車する場合はハザードランプかテールライトをつけましょう。

もう1つはスクールバスの規定。
「小学校などの児童、生徒または幼児の乗降のため停車しているときは
非常点滅表示灯をつけなければいけない」というもの。
これは一般の乗客を乗せるバスやタクシーなどにも採用されています。





これらの照明装置はドライバー同士のコミュニケーションに使われることがあります。

★「ありがとう」を伝える“サンキューハザード”

★ 交差点で右折しようとしているクルマに
  対向車が「どうぞ 先に曲がって下さい」と伝えるパッシングライト

★ 同じように譲る意思を伝えるため
  ヘッドライトをスモールライトにするライトカット



こうしたコミュニケーションは気持ちよくクルマに乗ることに繋がりますが
実は意思表示の出してと受けての認識の違いで危険も生じることがあります。

例えば、自分の前に車線変更したクルマが入った時
ハザードランプを点灯させたので「ありがとう」というメッセージかと思ったが
実はその前に渋滞があって停止するよというメッセージだった場合。
スピードを減速するつもりがないと衝突してしまうかもしれません。

またバッシングは譲る意思を示したつもりが、
嫌がらせをしたととられてトラブルになる可能性があります。

ライトカットは相手から見づらくなってしまうことや
発進をした時に再度ライトをつけ忘れてしまうといったことも考えられます

こうしたことから、思いやりを持つことは大切ですが、
本来の使用目的は何か? 考えたほうがいいかもしれません。

都市部で電動キックボードに乗る人が急増。
それに比例して事故や危ないシーンも増えています。
街で危ない利用を見かけたことがある方も多いでしょう。

先月下旬、警視庁が2021年に東京都内で起こった
電動キックボードを当事者とする交通事故の発生状況を公表しました。

これを受けて、今週は交通問題を中心に執筆しているジャーナリスト
中島みなみさんにお話を伺い「電動キックボードの交通安全」についてお伝えしました。





前述の警視庁発表によると2021年に東京都内で起きた
電動キックボード関連の交通事故は68件。
そのうち人身事故が18件。物損事故50件でした。

当事者は若い層に多く、68件中、20代が36人。
30代が19人。40代6人。その他 7人です。

電動キックボードは立ち乗りのオシャレ感や
歩くには少し遠い距離で利用するには手軽な乗り物。
ヨーロッパの都市部で広がって日本でも話題となり年々増えています。

2020年に大学構内での実験から始まったシェアリング事業者の電動キックボード拠点は
わずか2年で東京・大阪・神奈川・京都・福岡など全国の主要都市に広がっています。
去年の個人所有の車両販売台数は約5000台になりました。





そんな状況の中で、どんな事故が起きているかというと
例えば、昨年6月に大阪で女性に衝突したひき逃げ事故がありました。
被害者の女性は首の骨を折る重傷。
運転していた男性は運転免許証は持ってたものの
歩道を車道なみの時速30kmで走っていました。

同じ6月には東京の新宿でも無免許で赤信号を無視して
タクシーと衝突する事故が起きました。
この電動キックボードを運転した女性は無免許でした。





こうした状況を生んでしまっている原因の1つは
利用者が登場した電動キックボードの規則を正しく認識していないこと。
それには無理からぬ、混沌とした理由もあります。

電動キックボードは基本的に運転免許保持者が原付バイクと同じルール。
原付バイクと同じ安全装備と安全性能が求められます。

しかし、電動キックボードのシェアリング車両では
国内展開を目指したい事業者の働きかけにより最高速度が時速15kmに抑えられました。

その一方で道路交通法の特例でヘルメットの着用が義務ではなく任意となったり
一方通行を逆走できたり、大きな交差点で二段階右折をしなくてもいいなど
大幅に緩和された特例が認められているのです。

こうした車両によるルールの違いは、
この春にも国会に提出される道路交通法改正案で統一される見込みですが
今は個人所有とシェアリング車両では交通ルールが違うことに注意して下さい。





2021年の東京都の電動キックボードの交通違反摘発数については
個人所有よりもシェアリング車両のほうが少ないという結果が出ています。

全体で207件のうちシェアリング車両の違反は55件でした。
これは事業者が利用前の登録で免許証を確認したり
動画で道路交通法のルールの理解度テストを設定しているためだと考えられます。

しかし、去年8月には渋谷区でシェアリング車両を酒気帯びで運転した人が
救急車に追突する物損事故も起きました。
結局は運転する人の自覚が重要だということですね。





環境に優しく、ちょっとした移動に早くて便利
いい季節なら気持ちいいし、オシャレでもある電動キックボード。
ただ、今は多くの人が見かけると眉をひそめる存在になってしまっています。

利用する人はクルマやオートバイと同じように
交通ルールと交通マナーを守り、有意義に使いましょう。

自動車の火事「車両火災」について考えたことはありますか。
実は「車両火災」は、1年に結構な件数が起きています。





令和2年に起こった車両火災の件数は3,466件。
火災全体の1割に相当します。
10年前は5000件以上あったので、かなり減ってはいます。
しかし、それでもまだ1日平均で10件弱も発生していることになります。






車両火災と聞くと「交通事故で?」想像するかもしれません。
でも、交通事故に起因するのはわずか3%。
    
自動車コラムニスト 山本 晋也さんよると
1つのパターンはマフラーの熱と周囲の状況が原因になるもの。
車両火災の原因の16.3%を占めて最多。
例えば、駐車している場所に枯れ草や紙があると、
それがマフラーの熱で燃えてクルマに引火する危険があります。

2つ目のパターンは、たくさんある配線のショートに起因するもの。
こちらは全体の9.2 %と2番目に多い原因。
経年劣化によって配線の膜が破れ、
そこでショートが起きたことによって複雑に絡まった配線が引火。
車両火災に発展してしまいます。
また、自分でクルマに電装パーツなどを取り付けていると
配線が不適切でショートを起こす事もあるそうです。





山本晋也さんによると
車両火災は注意すれば防げるケースがほとんど。

駐車する場所に枯れ草や紙などの燃えやすい物が無いか確認する。
とくにマフラーの周りは要注意。
車内でタバコの火を落としてしまわないよう気を付ける。
太陽熱で破裂して火種になるライターを車内に置きっぱなしにしない。
夏場は制汗スプレーも同様です。

こうしたことをきちんとやっていても
車両火災が起こってしまって、そこに居合わせた場合は
初期消火できなければ、もう消すことはできません。
エンジンを切り、クルマから離れて119番、消防車を呼びましょう。
火が出た時に高速道路を走行していた場合は
路肩にクルマを止めて道路の外側に脱出、非常電話で助けを求めます。

車両火災の危険を考えた事が無かった方も多いかもしれません。
今日の情報を頭のどこかにメモしておいて下さい。

 


1月4日、警視庁は令和3年中の交通事故死者数を発表しました。
その数、2,636人。1948年の統計スタート以来の最小記録を更新。
始めて3千人を下まわった去年よりも203人減りしました。
これで5年連続の過去最低更新です。

喜ばしいことではありますが、
一方でいまだ2,636人もの命が失われているという現実があります。
重く受け止めなければなりません。
今週は「令和3年中の交通事故死者数」についてお伝えしました。





交通事故死亡者の全国統計が始まったのは1948年(昭和23年)。
最初の年はアメリカ統治下にあった沖縄は除いて3,848人でした。
やがて、高度経済成長期に入った日本は交通事故死者数も増えていきます。

統計開始から10年が過ぎた1959年(昭和34年)に1万人を突破。
さらに10年が経ち「第一次交通戦争」のピーク
1970年(昭和45年)には16,765人を記録しました。

一方で、この頃には増加の一途を辿る交通事故を何とかしようと
国を挙げての取り組みも始まっていました。
それが功を奏して1971年からは交通事故死者数は減少。
1979年(昭和44年)に8,466人、ピークの半分ほどになります。

ところが、昭和が終わる頃から再び増加。
1992年(平成4年)には11,452人となりました。
この「第二次交通戦争」の背景には運転免許保有者数や自動車の増加、
運転技能が十分ではない若い運転者の急増があったとされています。

再び国をあげての交通事故対策。
法律や道路環境の整備、交通安全の啓蒙活動が行われ
効果が始めたのが1993年(平成5年)。
以後、時に前年を上まわる年がありながらも
交通事故死者数は減少しています。





さまざまな情報より社会の交通安全に対する意識の強まりが高まったのでしょう。
また、今回お話をお聞きした一般社団法人 安全運転推進協会の平石 章さんは
車両の安全性の向上や衝突回避システムの導入、
医療技術の向上が挙げられるのではないかと話して下さいました。





しかし、全体として減少する中で心に留めておきたいことがあります。
それは交通事故死亡者の中で増えている高齢者の割合。

2001年の交通事故死者数は前年比7.2%減ですが高齢者は4.8%減。
その結果、全体に占める割合は57.7%と過去最高に達してしまいました。





これは“割合”の話。
ゼロにならない限り、どこかの世代が減れば、どこかの世代が増える。
比較が難しいところではあります。

とはいえ、高齢者の交通事故死亡者数は前年から4.8%減りつつも、
全体に占める割合は 57.7% で過去最高。
具体的な数字では1,596人から1,520人になっていますが、
減少の仕方が他の世代と比べて緩やか。

高齢者と同居している方、高齢者が身近にいる方は、
クルマの運転や、徒歩や自転車での外出について、
機会があれば注意を促すようにして下さい。





最後に人口10万人あたりの交通事故死者数が多い都道府県
ワースト5を紹介しておきましょう。

5位 高知県 
4位 愛媛県 
3位 香川県 
2位 山梨県 
1位 徳島県 
      

該当する県住む方は特に気をつけましょう。