最近の技術革新でクルマは過去のものから様変わりしています。
その大きな目的の1つは更なる安全性の確保。
これからルームミラーも大きく変化していきそう。
今朝は『死角を減らすルームミラー』を追跡しました。





静岡市の株式会社 村上開明堂はバックミラー国内シェア4割のNO.1メーカー。
2016年に2種類の「電子ルームミラー」を発表しました。
2種類のうち「ハイブリッド インナーミラー」というタイプは
2020年に発売される量産車への搭載が決まっています。

開発のきっかけは時代の変化。
モーターショーのコンセプトカーにはドアミラーが無いタイプが登場しています。
「いずれルームミラーが無い カメラとモニターを使ったクルマが出る」。
危機感から村上開明堂は自ら開発に取り組みはじめたといいます。

クルマの安全基準も状況の変化から世界的に法改正が進んでいます。
日本ではバックミラーやサイドミラーをカメラモニタリングシステムで代用する
「ミラーレス車」が2016年に解禁されました。

では 村上開発堂の「ハイブリッド インナーミラー」がどういうものか?
リアガラスやリアガーニッシュなどにカメラを設置。
インナーミラーが通常のミラーの役割に加えてモニターにも切り替わります。
クルマには後方に2つカメラがついています。
1つはふつうに後方を写すカメラ。もう1つは死角になりやすい下後方を写すカメラ。
2台のカメラの映像をインナーミラーのディスプレイで見ることができます。
ルームミラーとカメラモニター機能の切り替えはボタンで行います。
     
「この機能を使えば死角を低減できて安全に繋がります」と
村上開明堂でカメラの開発を担当する 杉山亜矢子さん。
後ろの席の荷物やヘッドレストが邪魔で見えないということもなし。
カメラの性能が非常に良くなり 雨の日や夜間でもよく見える。
ミラーとモニターの切り替えができる製品は
日中の屋外だと画面が見にくいことがあるそうですが
特殊ミラーを採用て そこを改良したということでした。
ミラー1つをとっても最近の車が大きく進化していることがわかります。





村上開明堂が2016年に開発したもう1つは「マルチミラーシステム」。
これは3画面のタイプでドアミラーの部分にもカメラをつけて
インナーミラーで後方と後側方を同時に見られることを可能にします。
2車線の道路でドアミラーには写っていないけれど真横にクルマがいる
後方のピラーの角にあたるところにバイクがいる
そういう状況での事故が減ると考えていますと杉山さん。

こうした技術革新は望ましいこと。
日進月歩の技術はさらに交通安全に役立っていくことでしょう。


この冬、日本列島の天候は、観測史に残る荒れ模様。
あまり雪が降らない地域にも雪が降り、
降雪地域では例年以上の積雪も少なくありません。

雪道のクルマの運転は、いつも以上の注意が必要。
今回は一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)
東京支部 事業課 交通環境係 高木孝さんにお話を伺い  
『雪道の運転の注意点』を追跡しました。





出発前。
タイヤはスタッドレスタイヤなどのスノータイヤをつける。
あるいはチェーンを巻く。
ノーマルタイヤ=夏用タイヤでは危険。

運転前には雪道走行で切れてはいけないものを点検しましょう。
燃料/バッテリー/ラジエーター/ウォッシャー液。
バッテリーは経年劣化します。2年を超えたものは要注意。
買い替えも考えて下さい。

高木さんが挙げた雪道運転で車に積むべきものは「スコップ」と「軍手」。
雪道では長い渋滞が生じることがあります。
停止している間にマフラーの周りに雪が積もり
排気ガスが車内に入って一酸化炭素中毒の危険も!
そんな時、スコップと軍手が役立ちます。

雪でクルマが動かなくなった時もスコップと軍手は使えます。
また、そんな時にはタイヤが滑らないよう下に敷くグッズもあります。
車に載せておくと活躍することがあるかもしれません。

他にも車外に出る可能性を考えて「長靴」、
バッテリーが上がった時のための「ブースターケーブル」、
こうしたものも積んでおいたほうがいいでしょう。



    
 
高木さんが指摘した走り始める前の意外な注意点はクルマの屋根の雪。
雪が降る地域に住んでない人だと気にせず出発するかもしれません。
これはとても危険です。

走行中に屋根の雪が滑ってきてフロントガラスを覆ってしまい、
ワイパーでは追いつかず、視界が遮られてしまった。
そうなるとパニックになってアクセル踏む、
ブレーキとアクセルを踏み間違えるということも起こります。
必ず屋根の雪は落としてから出発しましょう。





そして、雪道での運転。
当然、路面は滑りやすい状況です。
運転テクニックや愛車の性能を過信しすぎないことが大切。
その上で・・・

▶︎ 速度を出しすぎない

▶︎ 車間距離を開ける 

▶︎ 急発進・急ハンドル・急ブレーキを避ける


運転環境はふだんと違います。
いつもと同じことをしても物事が同じく進まない可能性を考慮しましょう。
自分が運転ミスをしなくても他のクルマが滑ってぶつかってくることもあります。





JAFの高木さんは、
雪道での走行で3つの注意点を挙げて下さいました。

1つは「歩行者」。   
雪が降ると車道は除雪されていても
歩道は雪が積もったままということがあります。
すると、歩行者は「こっちが歩きやすい」と車道に出てくることも。
歩行者が車道に出てくる可能性を考えておきましょう。

2つめが「轍」。
轍のない道から轍のある道に左折や右折で入る時、
轍に沿って走るというのは1つ正しい選択です。
ただ、センターラインがない道路では誤って1ずれて
対向車線側の轍に入ってしまうということがあります。
それは対向車とぶつかる危険が出てくるので注意しましょう。

3つめが「ブラックアイス」。
ドライバーからは路面が濡れているように見える。
でも、実際は凍っているのが「ブラックアイス」。
氷なのでもちろん滑ってしまいます。
冬の濡れた道は氷かも知れないと考える必要があります。

2018年の立春は2月4日。
暦の上ではもうすぐ春になりますが、この冬の天候にはまだまだ注意が必要。
雪道の運転にはくれぐれもお気をつけて!

全国には無償で交通安全啓蒙活動をしている方たちが大勢います。
みなさん、地域の住民が交通事故に遭わないように、起こさないように、
祈るような気持ちで、活動を続けているのだと思います。

そんな1人、兵庫県の明石交通安全協会婦人部に所属し
25年にわたって腹話術で交通安全を呼びかけてきた女性が第一線を退きました。
今週’追跡’したのは、その山根和女さん。

山根さんは現在75歳。
子供が2人、警察官になったことをきっかけに、明石交通安全協会婦人部に入りました。
その後、役員に勧められて腹話術を習い、幼稚園や保育園等で交通安全腹話術をスタート。

腹話術を習いに行って2ヶ月後にいきなり本番。
お風呂でも、車でも、トイレでもセリフを一生懸命話したそうです。
それでも本番になると頭は真っ白。震えながら園児の前で話をしたとか。
最後まであまり慣れることはなかったということですが一生懸命やってきました。

幼稚園では春と秋に交通安全教室があります。
それぞれ20箇くらいで、25年間で1000回ほど!
本気で地域の安全を考えていないとできない回数です。
     
山根さんの相棒の人形は「交通安全協会」から抜粋した文字で「協ちゃん」。
ストーリーも山根さんがご自身でつくりました。

例えば「協ちゃん、信号って知ってる?」と聞くと
「知ってるよ!」「どんな色があった?」「えっとね、赤色、青色、黒色」
協ちゃんが間違えると、子供たちからは「違う、違う」と指摘する声。
自分たちから答えを教えてくれるそうです。
そこで「その色の意味知ってる?」と協ちゃんと一緒に話しかけていきます。

お巡りさんが話しするときは子供たちも緊張して聞くもの。
でも、協ちゃんが出ると顔はニコニコ。体を前に乗り出すようにして話を聞いてくれます。
「信号、赤で渡る?」と協ちゃんに言って、協ちゃんが「渡ります」っていうと
「渡ったらアカン、死んでしまうやんか!」と子供たちは口々に教えてくれるそうです。

楽しみながら交通安全の大切なことと接すれば、
自ずと頭にインプットされて「もしも」の時に出てくることでしょう。
そして、大人になってもそのことを覚えていて、
自分も子供を持ったあとで、同じように交通安全を伝えるかもしれませんね。

幼稚園や保育園に行った時には「お家に帰って、お父さん、お母さん、
お兄ちゃん、お姉ちゃんに、このことを話してあげてね」と伝えてきたという山根さん。
それは、覚えたことを家に帰って話すことで、交通安全への理解をより深めるようにです。

山根さんは75歳になり健康面のことを考慮して
また、幼稚園や保育園をまわっていた時に車を乗っていましたが、
そろそろ免許証を返納したいということもあって
これまでのような頻度で交通安全腹話術をやることはやめました。
免許証も返納したそうです。

ただ、これからも時々は、協ちゃんと一緒に、
子供たちや高齢者に交通安全を話す機会もあるとのこと。
地域のために、無理をせず頑張っていただきたいものです。
山根さんのような方がいることで地域の交通安全意識は格段と高まるのだと思います。




«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 108 | 109 | 110 |...| 157 | 158 | 159 || Next»