もうすぐゴールデンウィーク。
免許を取り立てなのに、あるいは、ふだんはあまり運転しないのに、
車で旅行に行く、旅先でレンタカーのハンドルを握る、という方もいるでしょう。

交通事故を起こしてしまっては楽しい旅行も台無し。
ましてや、誰かを怪我させたり、自分たちが怪我をしては台無しどころではありません。
先週は運転に不慣れな人の交通事故例は、どんな原因が多いのか追跡しました。

今週は安全な運転をするためにおさえておきたいポイントを
交通事故のない社会を目指して交通教育事業などを行う
株式会社ムジコ・クリエイト 東京営業所 所長の野藤智さんに教えていただきました。


【ポイント? 運転者は2人以上で出かける】

免許を取って間もない人には、まだ運転に未熟な部分が少なからずあります。
長距離運転で出掛ける時には出来るだけ1人では出かけないようにして下さい。
運転に疲れても、交代をしてもらえるからです。
運転に不慣れな人は慣れている人より疲れる。
疲れれば「集中力が落ちる」「注意力が散漫になる」「反応が遅れる」。
交通事故に結びつく危険性が高くなります。


【ポイント? 夜間の運転に気をつける】

初心運転者による事故の中で多いのが夜間に起こす事故。
ヘッドライトが照らす範囲のみで情報を取る事になるので、
経験が少ないことから危険予測能力が低く、
情報を見落として事故になる可能性は反対に高くなります。
夜間の運転はハイビームが基本だということをお忘れなく。
ロービームはすれ違い用前照灯。
対向車がある場合や前を走る車がある時に使うものです。



【ポイント? 運転計画を立てる】

出発時間、走っている時間、休憩を取る場所、食事を取る場所、
計画を立てる事でこれからどれ位の時間が必要になってくるか?
認識している情報を踏まえて途中での計画修正も可能です。
こういう事が出来ないと無理矢理目的地に着こうとして、
必要以上に速度UPや無理な追い越しをしかねません。



【ポイント? カーナビがわりのスマホは自分で見ない】

カーナビの代わりにスマートフォンを使っている場合、
カーナビと比べてかなり画面が小さくなります。
それによって画面を注視するというような事になってはいけません。
法律上、カーナビの画面を注視することは違反行為。
運転者は運転に集中し助手席の人に画面を見てもらって下さい。


【ポイント? 同乗者の言葉に踊らされない】

「もっとスピード、上げられないの?」「前の車、追い越しちゃえよ。」
友だちが集まって出かける旅行ではそんな言葉があがることもあるかもしれません。
そういう声に惑わされて技量以上の運転をすれば、もちろん事故に繋がります。
断る勇気を持ち、自分の技量を正しく把握して運転して下さい。
それが、まず事故を防ぐ方法です。

GWに運転する、不慣れなドライバーの皆さん。
以上を忘れずに、楽しい休日を過ごして下さい。


新年度から運転免許証を手にして車の運転を始めた!という方が、
全国にはたくさんいることでしょう。
      
また、生活環境が変わってペーパードライバー返上。
車を運転するようになった! という方もいるでしょう。

免許をとって1年未満の初心運転者、それに準ずる運転者は、
運転に慣れたドライバー以上に、安全な運転に注意する必要があります。

今回は日本交通事故鑑識研究所 代表取締役の大慈彌拓也さんにお話を伺い
「初心運転者の注意事項」を追跡しました。

大慈彌さんによると、最近は免許をとる人が減少。
初心運転者も減って全運転者との事故発生比率の差がなくなってきているとのこと。

しかし、過去のデータを見ると、例えば平成14年の運転者10万人あたりの事故件数の比較では、
初心運転者の事故発生率は全運転者との比較で約1.7 倍 。
運転に慣れない人は、気をつけなければいけないことが、わかります。

それでは、どんな環境下で初心運転者が交通事故を起こしているのか?
気をつけてほしいのが「夜間」「カーブ」。

平成14年のデータよると、
初心運転者の昼夜別の事故発生率と全運転者の昼夜別の事故発生率を比較すると
初心運転者の夜間事故発生率は全運転者の約1.4倍。 

初心運転者の道路形状別事故件数と
全運転者の道路形状別事故件数を比較すると
初心運転者のカーブでの事故数は全運転者の約1.6倍となっています。

他にも全運転者と比較して初心運転者の事故原因で目立つのが・・・

    最高速度違反 約1.9倍

    運転操作不適 約1.5倍

    脇見運転   約1.2倍

これらの数字の元にあるのはドライバーの経験値の低さ。
経験を積んでいないので慌ててしまう。
しかも、初心者ドライバーは初心者なりには慣れてくる。
そこに「漫然」という部分が出てきてしまう。
そこがまた事故を誘引するというケースが多いのではないか。
大慈彌さんは指摘します。

そして、慌てないために大切なのが運転する車について把握すること。
例えばハザードを点けようと思っても、どこにハザードスイッチがあるかわからない。
ワイパーの動かし方がわからない。
必死になっているうちに脇見運転となって事故を起こしてしまう。
そんなケースが少なからずあるそうです。

そして、たとえ道を間違えたとしても慌てる必要はありません。
慌ててパニックになることで交通事故の扉が開かれてしまいます。
心に余裕を持つことが、交通事故を避ける第一歩です。


今週は「平成29年 春の全国交通安全運動」をお伝えする後編。
警察庁 交通局 交通企画課 中島篤司さんにお話を伺いました。

今回の全国重点は3つあります。

(1) 歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
  (自転車については,特に自転車安全利用五則の周知徹底)

(2) 後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底

(3) 飲酒運転の根絶


それでは、この3点を細かく説明していきましょう。


【?歩行中・自転車乗用中の交通事故防止】

朝、自転車通学する子供が全国にはたくさんいます。
「自転車乗用中の交通事故」の特徴は自転車乗用中の死傷者数は16歳が最多。
時間帯では7・8時台と16時台から18時台の登下校の時間帯に集中しています。
つまり自転車通学をしている高校生は充分に気をつけなければいけません。

時間に余裕がないと、先を急ぎ、安全確認が疎かになります。
高校生になると自転車の速度も小・中学生と比べて速く
衝突した時、歩行者が受けるダメージが大きくなります。
自転車との衝突で歩行者が亡くなる、大けがを負う事故は後を絶ちません。
「保護者は、子供が朝に余裕をもって家を出られるよう配慮をお願いするとともに、
万が一の事態に備えて自転車保険への加入を検討していただくようお願いします」
と中島さんはおっしゃっていました。

ところで、周知徹底を目指す「自転車安全利用五則」は、
自転車の安全利用を促進するため、
自転車に関する基本的事項をわかりやすくまとめたもの。
その内容は・・・

1 自転車は、車道が原則、歩道は例外
       
2 車道は左側を通行
   
3 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行

4 安全ルールを守る
 ◯飲酒運転・二人乗り・並進の禁止
  ◯夜間はライトを点灯
◯交差点での信号遵守と一時停止・安全確認

5 子どもはヘルメットを着用


この「自転車安全利用五則」をしっかりと守り、
事故に遭わない、起こさない、
安全な自転車の運転を心がけて下さい。


【?シートベルト・チャイルドシートの正しい着用の徹底】

シートベルトは後部座席を含めた全ての席での着用が法律上義務づけられています。
交通事故が起こった時、シートベルトを着用していない場合は、
着用している場合と比べて死に至る割合が約14倍です。

また、後部座席の着用率は、運転席や助手席と比較すると低くなっていて、
一般道路における着用率は、未だ36%と低いまま。
後部座席でシートベルトをしていないと、
事故のときに車外に放り出されたり、前席の運転者や助手
席の人にぶつかってしまい重傷を負わせてしまうことにもなりかねません。
後部座席を含め全ての座席でシートベルトを着用することが、
自分自身や同乗者の命を守るうえで、いかに重要かを認識しましょう。

また、6歳未満への着用が義務づけられている
チャイルドシートの正しい着用も徹底したいところです。
適正使用している場合と比較すると交通事故での死亡確率が高くなります。
6歳以上のお子さんでも体格差があります。
シートベルトを着用することが難しい場合はチャイルドシートを使いましょう。


【?シートベルト・チャイルドシートの正しい着用の徹底】

飲酒運転はいつまでたっても無くなることはありません。
飲酒運転による交通事故のうち、死亡事故の占める割合は5%を超えています。
飲酒運転による事故20件あたりに1件が死亡事故になっているわけです。
この割合は飲酒運転以外の交通事故に対して8倍以上。

飲酒終了から5時間以上経過した後の死亡事故も発生しています。
個人差はありますが、一般的には500mlのビールを飲むと、  
体内でアルコールが分解されるのに4時間かかるとされています。

車を運転する予定がある時は、運転する時間から逆算して、
飲む量や飲み終える時間を調整する必要があります。
飲酒運転による悲惨な事故を無くすため、
飲酒運転の危険性を社会で共有していくことが重要です。

交通事故は当事者にならなければ「他人事」かもしれません。
しかし、交通事故を呼び込むような行動をしてしまったら
次の瞬間には加害者になっても被害者になっても「他人事」ではなくなります。
そうなって、後悔をしている人は全国にたくさんいます。

「春の全国交通安全運動」を1つのきっかけに、
さらに交通事故の少ない社会を築いていきましょう。



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