クルマを運転している方は気づいているでしょう。
『死角の危険』
運転席からは、どうしても見えない範囲が、存在します。
前にも横にも後ろにも車の周り中に死角があるのです。
そのことを認識して安全運転につとめましょう。
今回は「クルマの死角」を追跡しました。
コメントは自動車評論家 松下宏さんでした。
クルマには死角をなくすためにミラーがついています。
前の席の両側ドアについていて横後方を確認する「ドアミラー」。
室内にあって後方を確認する「ルームミラー」。
さらに、 最近ではクルマの後部にカメラがついている車種や、
助手席側のミラー下にカメラがついている車種があります。
それでも死角が完全になくなることはありません。
死角の原因は大きく2つあります。
1つはクルマのボディとルーフを繋いでいる‘柱’という意味の「ピラー」。
「ピラー」は目視する視界を遮って左右の前方、左右の後方に死角をつくります。
また、さらにドアミラー、バックミラーを使っても、
どうしても避けられない死角があります。
これは左右の斜め後方のある範囲。
これらの死角はさまざまな危険を引き起こします。
例えば、高速道路を走っていて追い越し車線に出ようとする時、
斜め右側の追い越し車線を走っている車がミラーに映らない。
気付かずに追い越し車線に移ってしまうと
追い越し車線の車のほうが速度が高いのでぶつかってしまう。
例えば、左側の斜め後ろ、バイクや自転車などが走っている時、
死角で気づかずに交差点を左折しようすると側面にぶつかってします。
例えば、前方のボンネットフードの先端が見えていたとしても、
その先にいる小さな子供が車の運転席から見えないことがあります。
同様に後方にもルームミラーを使っても見えない部分があります。
自動車メーカーが車から一定の距離を離れたところにいる
1mの子供は見えるというような車作りをしていても、
背の高い車ほど見えない死角の部分は多くなるのです。
以上のような状況にヒヤリとしてことがある人は多いでしょう。
特に車高による死角では、お父さんや、お母さんが帰ってきたことに喜んで、
小さな子供がクルマに近づいていることに気がつかない・・・
というケースもあるといいます。充分に気をつけてください!
♠ 出発前にはクルマの周りを確認!
♠ 前方の死角を少なくするためには運転席で頭を少し動かす!
♠ 後方の死角を少なくするためには目視とミラーで再確認!
♠ それでも目に映ることがクルマを取り巻く全てはないと認識する!
♠ つまり運転には余裕をもって「もしも」に備える!
といったことを心がけるようにしましょう。
最新の話題としては、車の標準化をしているジュネーブ条約で
斜め後方の視界はドアミラーをカメラで代替えしても良いとなりました。
そのためこれからカメラで置き換えた「ミラーレス車」も登場します。
特に夜の暗い時には目視よりカメラの方が鮮明に見えるところがメリット。
クルマに搭載される技術は、日々向上しています。
しかし、それでも運転席には「死角」はつきもの。
そのことを忘れずに安全運転につとめましょう。
去年暮れに「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」が発表されました。
選考委員60名の投票によって決まる自動車業界の祭典。
今週は選ばれたクルマとその安全性について追跡しました。
お話をお聞きしたのは選考委員の1人で自動車評論家の菰田潔さん。
今回の受賞はMazda ロードスター。
その名の通り、2シーター、オープンスポーツカーのロードスターはいま4代目。
性能は上がり車も大きくなりました。
しかし、菰田さんによると4代目になってMazdaは考え方を一新したそうです。
本当に車の性能を出すためにはどうしたらいいのか?
走りを楽しくする為にはどうしたらいいのか?
Mazdaのスカイアクティブの考え方に基づいて作ったところ、
車両重量が約1000kg、前の車に比べれば数百キロ軽くなりました。
また、エンジンもこれまでの2ℓが1.5ℓになとなりましたが、
車が軽いために以前よりも良く走る車を完成させたのです。
めちゃくちゃ速い訳ではないけれど気持ち良く走る、
非常に「良い走り」を楽しめる車になったそうです。
『スカイアクティブ・テクノロジー』とは、
Mazdaが開発・製造する自動車技術の総称。
Mazdaはエンジン、ミッション、ボディなど
クルマ造りの技術を従来のレベルからブレイクスルーさせて、
より高い環境性能や走行性能を実現させようとしてきました。
その成果と言えるでしょう。
日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞車は、ここ4年のうち3年がマツダの製品。
受賞しなかった2012年も席を譲ったのはフォルクスワーゲンの「ゴルフ」。
国産車ではありませんでした。
Mazda ロードスターの安全性を菰田さんに伺ったところ、
法律で決められた装備はもちろん全部あるけれど、
ぶつからない様に運転しやすくなっている点が1番の安全装備だろうとのこと。
ぶつかってからの「ボディの衝撃吸収」、
タイヤが横滑りした時に立ち直る「横滑り防止装置」、
急ブレーキを踏んだ時の「APS」を取り入れていたとしても、
確かに、そもそも衝突事故を避けられれば、それが一番。
ハンドルを切ったら意志通りに曲がる、思い通りに停まる、
加速する、ドライバーが操りやすいことが大切。
それは楽しい走りにも繋がるはずです。
そして「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」スマートモビリティ部門、
受賞車はSUZUKI「アルト/アルトターボRS/アルトラパン」でした。
菰田さんによるとSUZUKIアルトは、軽自動車で価格が安く、
機能的に乗れることに加えて驚くほど燃費が良いクルマ。
37km/1ℓをガソリンエンジンで実現しましたが、
軽自動車でも達成は難しかっただろうとのこと。
SUZUKIは35年ほど前、アルトを47万円で発売。
リーズナブルで一般の人が買いやすい車を提示しました。
今でもその考えを守り、良い車づくりに取り組んでいるのです。
「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」1位はマツダ ロードスター。
2位はホンダ S660(エスろくろくまる)とやはりスポーツカー。
このところスポーツカーが高い評価を受けています。
菰田さんによると、このところ安全性がずいぶん上がってきた。
すると次に求められるのは走りの楽しさ。
環境問題がクローズアップされれば課題は環境になり、
交通事故が問題になれば課題は安全性になる。
その部分がある程度解決されると「走る楽しさ」が求められるのではないかと。
それが日本カー・オブ・ザ・イヤ―に表れているのではないかとのことでした。
日進月歩で進化するクルマ
これからも安全運転で「走る」楽しみを味わいたいものです。
今年の暮れには、どんなクルマが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するのでしょうか。
年内最後の今朝は東京 国立にある「交通安全発祥の地」を追跡しました。
天神さまこと菅原道真を祀る谷保天満宮。
湯島天神・亀戸天神と並び関東三天神の1つに称されている
903年に創建された関東で最も古い天満宮です。
菅原道真公は学問の神様。
本来なら学業成就をお祈りするところです。
でも、この谷保天満宮には多くの人が交通安全祈願にも訪れます。
そのルーツは明治時代・・・
明治41年に「車の宮様」と呼ばれるほど、
車が大好きだった有栖川宮威仁殿下が、
「こんな便利な物は無い。世の中に車を広めよう」と「自動車遠乗り会」を行ないました。
8月1日、11台の自動車が日比谷公園に集結。
参加者には三越百貨店創業者 日々翁助、
大倉財閥二代目総帥 大倉喜七郎などもいました。
彼らは威仁殿下が運転するイギリス製自動車ダラック号の先導で甲州街道を立川までドライブ。
1里ほど戻った谷保天満宮の梅林で昼食会を開いたのです。
その席上、色々な事が語り合われました。
「自動車倶楽部を作りましょう」ということや
人力車や馬車はもはや非人文明的。
車のような文明的なモノに変えなければならない。
でも、あまりにも高くて普及しないから、
いかに安く作る事が出来るかやっていきましょう。」
つまり「自動車工業を起こしましょう」という発言もされたといいます。
そんな時に雷が鳴ってきて一同は天満宮の拝殿に避難。
明治の人で、お宮にあがって、お参りをしないで帰る人はいません。
「また無事に戻れますように」と真剣に拝んだと言われています。
そのためこの神社が交通安全祈願発祥の地とされているのです。
谷保天満宮では交通安全祈願を行っています。
所要時間は20分ほど。
申込者は拝殿に上がって祝詞をあげます。
運転が誤らないように、乗っている人はもちろん、
道路を行き来する人達を傷付けないようにというもの。
その後で所定の場所に停めた車をお祓いするという流れ。
さまざまな交通安全のお守りも販売しています。
今回、お話を伺った谷保天満宮の権禰宜 菊地茂さん曰く
お参りに来ていただいている方達というのは、
自分の運転に対して注意をされている方々だと思います。
そういう意識が無い方が自分は大丈夫だという気持ちでいると、
何か事は起こったりすると思いますが、
安全祈願をしていただこうという気持ちで来ている方というのは、
安全に対する意識が強いと思います。
ですから当然、事故率が少ないと思います」とのこと。
2016年も、いつも交通安全を心がけて、素晴らしい1年をお過ごし下さい!