減少傾向にある交通事故。
飲酒運転もまた、年々減っています。
しかし、ドライバーの意識の問題で、ゼロになりません。
それならば進歩する「技術」で『飲酒運転ができない車』を実現できないのか?
今回は追跡しました。

コメントは自動車業界に詳しい
経済ジャーナリスト 片山修さんでした。

警察庁のデータを見てみると・・・

平成10年の飲酒事故数 — 21,061件
      死亡事故 —  1,268件

平成26年の飲酒事故数 —  4,155件
      死亡事故 —   277件


減っているとはいえ4,155件の飲酒運転事故。死亡事故も277件。
これは交通事故が起こった数。飲酒運転の氷山の一角にすぎません。

飲酒による事故を起こした場合は重い罰則が与えられますが、
巻き込まれた被害者はたまったものではありません。

日本では2011年から、プロのドライバーに対しては、
事業所による勤務前のアルコール検知が義務付けられています。

しかし、一般のドライバーに、それはできません。
そこで、普及しているのが「アルコール・インターロック」。
ドライバーがアルコールを飲んでいると
呼気でそれを感知してエンジンがかからなくなる装置です。

日本にも「アルコール・インターロック」の義務化を求める声があります。
しかし、それには問題も少なくありません。

1台 10万円以上と高価なもの。
義務化された場合、費用は自己負担なのか?

アルコール検知の難しさ。
アルコールが弱い人  強い人。
アルコールを消化しやすい人 しにくい人。
どのような基準にするのか? 世界でも決まっていない。

日本の自動車メーカーも「アルコール・インターロック」の研究開発に乗り出しています。
その気になれば、導入もできるとのこと。
ただ、今のところ、その動きはありません。

また、Hondaは日立と組んでマウスピースなしで利用可能な
呼気認識機能を搭載したスマートキー対応の
ポータブル呼気アルコール検知器の試作に成功しています。
簡易に3秒でアルコール検知ができる優れもの。
ただ、難しい部分もあり「共犯者」がいれば、
お酒を飲んでいない共犯者の呼気を使えば
クルマのエンジンをかけられてしまうのです。

「飲酒運転ができない車」。
技術的には、実現可能なところまできている印象を受けますが、
費用、規則、制度といったところで課題が多いことがわかります。

ただ、いちばん大切なのは、今ある飲酒事故の状況を社会がどうしたいか。
日本はもっと積極的に飲酒運転撲滅に向かったほうがいいのかもしれません。


運転マナーには多少の地域性があるもの。
夏休みに慣れない土地でハンドルを握る時は気をつけましょう。
今週は悪しき運転マナーの地域性を紹介する「危ない!車のローカルルール」後編でした。

取り上げたのは「播磨道交法」。

播磨地方はかつて播磨国があった兵庫県南西部の一帯。
姫路市を中心にたつの市・相生市・赤穂市周辺のことです。

その播磨地方にまつわるのが「播磨道交法」。
でもこれ、実在する法律ではありません。
地元新聞社の神戸新聞のある連載から生まれたものです。

当時を知る淡路総局長 三好正文さんによると
13年前のこと、関西では「1 姫、2 和泉」と言われ、
兵庫県西部の姫路ナンバーが交通マナーが悪い車だとされることが多いため、
姫路地域の運転マナーは本当に悪いのか? どういうふうに悪いのか?
読者とともに考えてみようという連載を始めました。

その中で読者から「姫路ナンバーの運転は荒いか」意見を募集。
すると「荒っぽい」という意見、「そうでもない」という意見、
また「そういう運転には事情がある」という意見など多数が寄せられ、
専門家を交えて紙面上で考えていったそうです。

そして、テーブルに挙げられた地域の運転マナーの悪さを、
自戒の意味を込め、法律的な文章にして紙面に掲載しました。
それが「播磨道交法」です。

ともすれば読者からの反発や批判もあったかもしれない
「自戒」と「皮肉」と「ユーモア」を込めた「播磨道交法」の作成と掲載。
そこには「地域の交通事故を減らしたい」という思いと願いがあったからでしょう。
「播磨道交法」は3つの賞からなります。

第1章・交差点 

(1) 先に入った車が優先。右折時、対向車が直進してきても待つ必要なし。

(2) 右折時、対向車が左折なら、一緒に曲らなければならない。
   左折車を先に行かせていると、右折待ちの後続車からクラクションを鳴らされる。

(3) 自転車や歩行者は、車が通らなければ、赤信号は青とみなす。

(4) 右左折時、横断歩道を人が歩いていても、通れるスペースがあれば、すり抜けるべし。

(5) 右折は、右折信号が出てからが勝負。
   右折信号が消え、赤と続く数秒間に何台潜り込めるか。


第二章・歩道、車線変更 

(1) 信号のない横断歩道。
   歩行者は、車が途切れるまで待つべし。車は止まってはくれない。

(2) 車線変更。狭い間隔でも、スペースさえあれば割り込み可。

(3) 指示器は曲がると同時に出す。

 
第三章・附則 

(1) バスは、停留所から車線に戻るとき、辛抱強く待たなければいけない。

(2) 前に人がいれば、クラクションで道を空けさせる。



こうした悪しき運転マナーは、今回とりあげた、
伊予地方、名古屋、播磨地方に限ったことではありません。

長野県の松本周辺には「優先道路に出る際、一時停止をしない」などの
「松本走り」と言われるローカルルールがあります。
山梨県には「直進車の有無に関わらず、減速なしで右折する」などの
「山梨ルール」と言われるものもあります。
     
程度の差こそあれ、こうした運転はどこにもする人がいるもの。
今回とりあげたローカルルールは、有名なだけに気をつけやすく、
地域の住民が意識的な分、大きな改善の余地があるのかもしれません。

大多数が当たり前に危ないローカルルールで運転していて   
そのことを地域外の人たちはまだ知らない・・・それがいちばん怖いことかも。
知らない土地で運転する時には充分注意しましょう。


いよいよ夏休み!
旅行の予定を組んでいる方が多いことでしょう。
慣れない土地でクルマを運転することもあるかもしれません。
そんな時には充分に注意をしてください。

もしかすると皆さんが住んでいる地域とは
運転マナーがちょっと違ったりするかもしれないからです。
日本全国を見渡すといくつの地域で「ローカルルール」とされている
よろしくない運転マナーのあることが当該地域で指摘されています。
今週と来週はいくつかピックアップします。

前編の今日とりあげたのは・・・

「伊予の早曲がり」

「名古屋走り」

「伊予の早曲がり」は愛媛県庁 県民環境部 
防災局 消防防災安全課 山崎まこと さんに
「名古屋走り」は名古屋市にある教習所
庄内橋自動車学校 永原副校長に話を伺いました。

「伊予の早曲がり」とは言葉通り
一般の地域ではないタイミングで右折をしてくる行為です。

対向車線を直線している時にヒュッと対向車が目の前を横切って駐車場に入る。
交差点を直進しようとした時に前を走るクルマとの間隔がそれほどないにも関わらず
右折待ちをしていたクルマがサッと右に曲がるとか。

山崎さんの話では一説によるとこれは愛媛県民の
他人に対する優しさや思いやりからきているとのこと。

今のように道路状況が良くなかった時代、車道はたいてい一車線。
右折車が待てば待つほど、その後ろに渋滞ができます。
そこで、対向車が「どうぞ曲がって下さい」と先を促すことが多かったようです。
それが次第に譲られる側が譲ってもらうことが当たり前となり
悪い運転マナーになってしまったのかもしれないとか。
ちょっと残念な気がします。

でも「伊予の早曲がり」は愛媛県民が認識していること。
警察の取り締まり、県の呼びかけもあり、ずいぶん減ってきているようです。

そして「名古屋走り」。
名古屋市民の永原さんが感じている悪しき運転マナーの主なもの。
1つは行けるところまで右折車線を進みギリギリのところで直線車線に移る行為。
車線が多いのが名古屋の道路の特徴。4車線はふつうで多いところでは6車線。
そこを縦横無尽にスイスイと渡っていってしまうのです。

そこに加えてウィンカーで合図を出さないという傾向もあるとか。
出したとしても他のクルマに知らせるためではなく
法規上、出さなければいけないので「出せばいいんだろ」という感じで出す。
それではウィンカーを出す意味がありません。

さらに道路環境が良く、直線の道が長いため、できるだけ信号を青のまま走っていきたい。
その気持ちからスピードを出し過ぎになるという行為。

いずれもふつうに運転している人が巻き込まれたとすれば
とても危ない運転行為ということになります。

実は「名古屋走り」に含められる行為は多岐に渡ります。
「名古屋走り」という言われ方を見聞きすると
寂しい気持ちになってしまうという永原さんは
「言い訳かもしれませんが」ということで1つの持論を聞かせて下さいました。

名古屋は大都市。今はインターネット社会。
名古屋を訪れてハンドルを握った人たちが感じたことを
SNSなどで発信できるようになったことが影響しているのではないかということです。

確かに誰か1人の運転マナーの悪さが地域特性にとられてしまっては残念なことです。
ですからどこにいても共同社会のためにも運転マナーには気をつけたいものですし
今回の企画で取り上げるマナーはその地域だけにあるものではなく
どこにでもあるものということを認識してほしいと思います。

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