クルマを運転していつも通る交差点、初めて通った交差点、
「ここは何か危ないな」と感じることはありませんか。
今週は公益財団法人 交通事故総合分析センター 研究部
西田泰さんにお話を伺い『危険な交差点』を追跡しました。
交通事故が多い交差点はあります。
でも、交通事故が多い交差点とその交差点の危険性の高さは別の事。
交通事故は交通量と危険度の積であらわされます。
危険度が1で交通量が1,000の場合なら1,000件の交通事故が起こるとして
危険度が10の交差点でも交通量が10であれば起こる事故は100。
危険度が10倍の交差点のほうが事故件数では10分の1ということもあるのです。
交通事故が頻繁に起こる交差点よりもあまり起こらない交差点に、
本当の危険が潜んでいることが少なくありません。
どの交差点も気をつけなければいけませんが、
本当に危ない交差点で、より気をつける必要があります。
そうした「危険な」交差点にあるのは構造や環境の問題。
交差点の形が悪いと交通事故の危険性は高くなります。
トの字のように角度が鋭角な交差点だと見えにくい交差側が生じて
安全確認も不十分となって事故の危険性は増します。
他にも、周囲に建物があると交差側の交通状況が見えず危険は増します。
高速道路や陸橋を支える橋脚の存在も影響があります。
さらに交差点の中は信号機や標識等で交通整理をするもの。
木が生い茂ってしまって標識や信号が見えにくくなる状況は危険性を増します。
その他、標識や信号機の位置も、場所によっては非常に見えにくくなり、
停止線に止まった時に見上げなければならない状況も危険が多いといえます。
西田さんによると、上記のようなことは、多くの交差点で対策が実施されています。
つくる時、改良する時、安全基準マニュアルがあるからです。
ただ、事故が多い交差点、大きな交差点は、対策がとりやすいものの、
危険であるにも関わらず、事故が少ない交差点は、
対策がとりにくく、改善されていないこともあるので気をつけましょう。
覚えておいて欲しいのは「ここは何か危ないな」と感じる交差点がある場合、
警察や行政に伝えることで「危険」が改善される可能性があること。
近くの警察署や市役所の道路の管理所に行き、
写真を見せる、意見を述べる、ことができます。
行政側は事前調査で、より安全な環境づくりを図りますが、
施工あとに交通量が変わるなど予期せぬ変化も発生します。
そういう時には、市民から「ここはおかしい」と意見することで、
利用者側の目線から具体的な対策が立てられやすくなります。
積極的に提案してみて下さい。
交通事故での死亡者数は、
長らく「車に乗車中」の割合が最多でした。
ところが6年前の平成21年に「歩行中」が追い抜きました。
昨年の統計では交通死亡事故数4,113人。
そのうち歩行者の交通死亡事故数は1,498人。
全体の36.4%となっています。
もう1つ「歩行者」の危険性を挙げると、
交通事故に遭った時の致死率は、
「歩行者」が「クルマ乗車中」の約9倍になります。
歩行者は生身。何にも守られない存在。
交通安全に十分気をつけて充分すぎることはありません。
今朝は一般財団法人 日本交通安全教育普及協会 普及事業部 部長
加藤重樹さんにお話を伺い「安全な歩行者のあり方」を追跡しました。
データを見ると「歩行者」の交通事故での死亡者は高齢な世代ほど増えます。
歩行者が事故に遭う事故の要因は「過信」と「慣れ」が大きい。
若い頃には無理な横断でも咄嗟に回避出来たことが、
年をとることで反射が遅れ、同じイメージで行動すると、事故に遭っててしまうのです。
一方で「歩行者」の交通事故における「負傷」に目を向けると
高齢者を除いて圧倒的に多いのが12歳以下の子供。
家庭でお父さん、お母さんが、子供と交通安全の話をすることは大切です。
歩行者視点で交通事故を見てみると、
事故が多い時間帯は17〜20時。特に17時ぐらいの日没時。
クルマを運転する人はライトを付けるかどうかという時間帯なので、
歩行者を発見するのが遅れて事故を起こすとケースが生まれます。
対策としては明るい服装を身につけることや反射材を身につけること。
クルマやオートバイから発見されやすい状況をつくることが事故防止に繋がります。
そして、歩行者が最も交通事故に遭いやすい場所は、
道路のうち交差点や踏切などを除いた「単路」。
『横断歩道を渡らず、横断する』というケースで事故が多く起こります。
単路で多いのが、歩行者から見て、左側から来た車との衝突。
クルマの運転者が特に注意を払っているのは左からの飛び出し。
対向車線方向から人が出てくることはあまり想定していません。
歩行者は横断の時、直近の危険がある、右側から来る車だけではなく、
左から来るかもしれない車にも、注意を払うようにしましょう。
そして、「歩行中」に交通事故に遭った人のうち、
交通ルール違反をしている人は約3割いるといいます。
多いのは、子供なら「飛び出し」。
それ以上の年代では「横断歩道以外のところでの横断」。
「歩行中」の交通事故で交通ルールにを守っていた人、
違反していた人を比べると、致死率が4倍も違います。
「歩行者」は必ず交通ルールを守る行動をとりましょう。
加藤さんには「交通安全のまみむめも」を教えてもらいました。
子供がいるお父さん、お母さんは、一緒に口にしてみてください。
「ま」・・・ 待つ → 交差点でも、信号でも、渡る前にいったん待つ
「み」・・・ 見る → まわりの状況をよく見て安全確認
「む」・・・ 無理をしない → 危険な気配はやり過ごす
「め」・・・ 目立つ → 自分を目立たせることが安全に繋がる
「も」・・・ もっと知る → 自分の行動、身体機能、自分のことをもっと知る
歩行者の心がけで大切なのは、危険を探すつもりで行動するぐらいの意識。
例えば、交差点を渡る時、歩行者信号が青の場合、
同じ方向に進む車の信号も一般的には青。
右に曲がってくる車、左に曲がってくる車があるかもしれないという意識を持つ。
駐車場に停まっている車が、バックライトを付けていれば、
車がバックをしてくるかもしれないという意識を持つ。
「危険があるかもしれない」と五感を研ぎ澄ませていることが大切です。
1985年から1990年にかけて3作品が公開された
ハリウッドの人気SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ。
その2作目でマイケル・J・フォックス演じる主人公マーティが
恋人とタイムトラベルしたのは自分の時代から30年後の2015年10月。
つまり・・・「今」。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』からリアルな30年後が到来!
ということで、実際のところ、クルマはどのくらい進化したのか?
今から30年後はどうなるのか? 今週は「クルマの未来」を追跡。
コメントは自動車評論家 松下 宏さんでした。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる車デロリアンはステンレス製。
30年前はほとんど全ての部分が鉄で作られていたり、
樹脂になっているのはわずかな部分だけでした。
従って重くて燃費も悪かったのです。
ガソリン1リッターあたり10キロ〜15キロも走れば充分。
ところが2015年の今ではアルミが車に使われるようになり、
内装部品やエンジンルーム内の部品などには熱に対応できる樹脂が使われ、
車が軽くなって燃費が格段に良くなりました。
今度発売になるTOYOTAプリウスは1リッターあたりの走行距離はおよそ40kmです。
そして、エレクトロニクス技術の進歩とそのクルマへの導入も見逃せません。
「アイドリングストップ」や「自動ブレーキ」など自動車のコンピュータ制御は今では常識。
クルマをITネットワークに繋げて情報を入手する
「コネクティヴィティ・システム」搭載車も増えました。
もちろん、クルマの安全面も進歩しています。
松下さんによると、ボンネットの部分やトランクの部分を上手く潰れるようにして、
クッションにして、しっかりした柱の中に囲み、
車に乗る人を守るというクルマの設計思想が普及して安全性が向上しました。
もう1つの安全は、クルマが危害を加えることを、
自動ブレーキによって防げられるようになってきました。
人間を見分けるタイプも増えていて人間がいたらブレーキがかかる、
対クルマではさらに見分ける事が容易なので、
クルマ同士の事故はずいぶん減っているということです。
こうしてあらためて考えてみると、クルマはやはり進化しています。
そんな中、2015年の今、未来を担うクルマとして注目されているのが、
EV(電気自動車)とFCV(燃料電池自動車)。
ただ、松下さんによると、この2つには課題もあります。
電気自動車は電池の値段が高いので価格も高い。
また航続距離はカタログ上、200〜220kmとなっていますが実際のところは半分ほど。
だから、普及は始まったものの、現状では限界があるだろうとのこと。
そして、水素を燃料に発電して、電気で走る燃料電池車。
トヨタが「MIRAI」を発売しましたが水素ステーションをたくさん設置しないと普及は進みません。
1つのガソリンスタンド設置が1億円かかるとすると、
水素ステーション1つの設置にかかる費用は5億円。
国の補助金などを使って水素ステーションの数を増やそういている段階です。
ここ数年、欧米や日本が、
未来に向けた試験をスタートさせたのが自動運転。
松下さんによると、現状の研究開発では、
高速道路の一定区間を自動で走らせることは簡単に出来るのですが、
信号のある一般道路でも自動運転が出来るかと言うと出来ていません。
街中では障害物は多くなるので、その辺の研究開発を進めている段階です。
今後、問題となるのは、どこまで自動運転をさせるか?とうこと。
人間の出来る事はいずれ車にも出来るようになる。
しかし、自動運転の車が事故を起こした時に、
ドライバーに責任があるのか? クルマが悪いのか?
法律的な整備や社会的な合意を形成する必要があります。
将来的にはボタンを押せばクルマが目的地まで自動に走ることが目指されています。
ただ、自動車メーカーは車の走る楽しみを無くしたくないので嫌がっているのが実情。
逆に言うとドライバーに基本的な責任を持たせたいというのが、
自動車メーカーの考え方だという松下さんのご意見です。
それでは自動車評論家 松下宏さんの描く30年後のクルマ社会は・・・
第一に、水素インフラが整備され、燃料電池車が圧倒的に普及。
ハイブリット車よりも売れています。
電池の性能も上がり、価格が安くなったため、
街を中心に電気自動車もたくさん走るようになってなっています。
自動運転も30年後であれば完成形に近いところまできています。
当面は高速道路の一定区間や、幹線道路を中心にして、
それ以外はドライバーが運転するという段階から進んでいくだろうとのこと。
障害物を避ける機能も進化して、交通事故はほとんど無くなっています。
果たして30年後のクルマ社会どうなっているのでしょうか?
ほぼ完全に近い「交通安全」を実現させたいものです。
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