12月に入り、各地で雪が降っています。
あなたのクルマは冬支度をしましたか。
今週と来週は2回にわたって「冬の車の装備」をお届けします。

コメントは冬装備と安全運転を喚起している
東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)関東支社 平栗一哉さん。
 
まず、冬の交通安全の心得!
「雪道の運転には初心者もエキスパートもありません」とのこと。
滑りやすく、視界も悪かったりするので、運転技術や車の性能を過信せず、
先を読み、無理をせず、特に坂道で焦ってスピードを出しすぎないことを心がけて下さい。

まず、冬の交通安全に欠かせないのが出発前の点検。
冬季の運転環境は他の季節とは違います。

雪道は普段よりも燃料の消費が早いもの。
燃料を満タンにするようにしましょう。
また、バッテリーは気温が低くなるほど性能が下がりやすくなります。
お出かけ前にガソリンスタンドでチェックをするようにして下さい。
そして、ワイパーブレードは傷や割れ目が無いか確かめましょう。
できるなら凍結に強いウェインターブレードに交換してたいところ。
そして、ラジエーターとウォッシャー液は不凍性のモノを使うようにします。
特にウォッシャー液は大量に消費するので充分な量を補給して下さい。
ディーゼル車の場合、軽油は零下10度以下で凍結する恐れがあるので、
寒冷地に入ったら凍らない「不凍性」のモノを補給して下さい。

他の季節と冬で大きく変わるのが道路の状態。
『乾燥した道路』を「1」とすると滑りやすさは・・・

『雪が圧雪した状態の道路』 3.2 倍
『凍った道路』 5.4 倍
『つるつるに凍った道路』 8.0 倍

寒いところを走る時には、必ず「冬用タイヤ」を装着しましょう。
「冬用タイヤ」は大きく3つ。

『スタッドレスタイヤ』
スタッド(金属鋲)が無いタイヤ。
低温でもしなやかさを失わない特殊性配合ゴムを採用。
溝の形、切り込みを改良して制動性能が大幅に向上しています。

『スノータイヤ』
素材は夏タイヤと同じですが雪や凍結路面での制動を良くするため、
普通のタイヤより表面に深くて広い溝を付けることで、
雪をつかみやすく、制動距離を短くしています。

『タイヤチェーン』
ご存知、タイヤに巻きつけるもの。
素材は一般的にはゴム製ですがスタッドレスやスノータイヤなどの冬用タイヤに比べ、
最大の制動効果を上げる事が出来ます。冬用タイヤをいえども万能ではありません。
雪の状況によって、全車両チェーンの装着規制が実施される場合もあります。
必ず、タイヤチェーンを用意してください。

平栗さんによると・・・
前輪駆動車も後輪駆動車も雪道では同じ。
前輪駆動車の方がカーブ時の安定性が良いとされていますが、それは乾燥した道路の時。
雪道の場合は前輪駆動車も後輪駆動車も違わないという事を頭に入れておいてください。
四輪駆動者も車の高機能化が進んでいます。
しかし、あくまでも「走る」「曲がる」「止まる」
車の基本的な働きを助ける付加機能に過ぎないとのこと。
雪の道、凍った道ではクルマの性能や運転テクニックは関係ないのです。

もうすぐ年末・年始のホリデーシーズン。
目的地のスキー場や温泉地に雪が降っている事も考えられます。
事前に気象情報、交通情報を確認して、寒い地域に出かけるなら充分ご注意を!


交通事故死者数の構成比率を見ると「歩行者」「四輪車」に続くのが「二輪車」。
この10年、毎年17%前後を占めています。
二輪車については、ヘルメットの着用が、ずいぶん徹底されました。
でも、それだけでは十分ではありません。
今回は、いま警察がライダーに強く使用を呼びかける「二輪車用プロテクター」を追跡しました。

コメントは警視庁から「プロテクター普及推進隊」を任じられている
オートバイ用品専門店 ナップス 世田谷店のプロテクター担当 高添晃一さん。

警視庁による平成22〜26年の統計では
交通事故で死亡した場合の主な損傷箇所は頭部が圧倒的に多く47.4%。
それに続くのが胸部28.4%。

胸部に関しては、追突事故を起こした場合、車のルーフや、建物り、ハンドル、
胸からぶつけて心臓、肺、場合によっては、腹部も強く打ってしまい、
内臓を損傷してしまって・・・という事もあります。
ちなみにこの腹部は主な死亡損傷箇所原因では7.1%です。

つまり、二輪車乗車中の死亡事故で「頭部」に次ぐ主な損傷箇所の2位と4位、
「胸部」と「腹部」を足すと35.5 %になります。ところが、去年の神奈川県の例ですが、
二輪車の交通事故で亡くなった62人のうちプロテクターをつけていたのはわずか3人。
警視庁の去年の調査でもプロテクターの着用は7.2%という結果。
「普及」には、とても遠い状況です。

いま増えているのが、若い時に二輪に乗っていた人が、
40代・50代になって再びオートバイライフを始める、いわゆる「リターンライダー」。
そのせいもあってか中高年の二輪車での事故が増えています。
四輪のドライバーは、事故の時、車体やエアバッグで守られるもの。
しかし、二輪のライダーは、身体が直接ダメージを受けてしまいます。
特に胸部プロテクターの着用を習慣づけて下さい。

高添晃一さんによると胸部のプロテクターは、まず自分自身に身に付けるタイプがあります。
ベストタイプのような形でライディングウェアの中に着るようなプロテクターです。
それは、いわゆるハードプロテクター。
服の上からでもつけているのがが分かってしまうのでスタイリッシュではないというなら、
もう1つのタイプ、ソフトプロテクターもあります。
これはジャケットに装着するもの。

そして、二輪車に乗っている時の死亡事故で
損傷した部位の3番目に多いのが頸部、首の部分。
その頸部も含め、全身を守ってくれるプロテクターがあります。
hit-airというブランドが出している二輪用の装着するエアバッグ。

これはいちばん上に装着するもの。
ベストタイプ、普通のジャケットタイプ、色々と種類があります。
エアーボンベがジャケットの中に装着されていて、
これはサイズによって中に入っているエアーの量も変わってくるのですが、
まず、オートバイにワイヤーを固定します。
そのワイヤーがジャケットの方の「キーボックス」、
エアーボンベが入っている装置に繋げます。
もしも、事故が起こった場合、バイクから投げ出された瞬間に、
キーボックスに付いている「キーボール」というのが、
ポンッと抜けて、その瞬間、コンマ2秒でエアーバッグが作動します。
ボンベは、ジャケットの中の毛質の中に送り込んで、
胸部、首回り、背中、脇腹、尾てい骨のあたりまで広がります。

ただ、二輪用エアバッグはバイクと身体が離れないと作動しません。
バイクと一緒に転倒したり、追突事故でハンドルに身体を強打したり、ということもあります。
「胸部プロテクターはつけたほうがいい」と高添さんはおっしゃっていました。

また、胸部プロテクター以外にも肘や肩、膝や脛、脊椎といった部分的なプロテクターもあります。
二輪に乗る方は、自分のバイクライフにあったプロテクターを探すようにしましょう。

スクーターやオートバイに乗っている方は、
これをきっかけにプロテクターについて、いちど真剣に考えてみて下さい。


今回は首都高の交通事故を減らすプロジェクト「東京スマートドライバー」を追跡。
コメントは事務局 林潤一郎さんでした。

「東京スマートドライバー」が 放送作家の小山薫堂さんを発起人に発足したのは2007年8月。
2006年当時、首都高では年間約1万2,000件の交通事故が発生していました。
道路面の事故対策はしていたものの、それまで以上の効果を生み出すにはどうするか?
そう考えた時に問題解決には物事の片側からだけ見ていると行き詰る。
つまり、道路の管理者だけが交通安全に一生懸命になっていてもダメで、
ドライバーの意識が変わらないと交通事故は減らないという考えがきっかけになりました。

そこから練られたプロジェクトが「東京スマートドライバー」。
世界一、難しい道だと言われる首都高で事故が増えていなのは、
ドライバーの運転にも交通事故が起きない秘密があるのではという仮説が立てられました。
クルマを運転する人が持つ、目に見えないコミュニケーショ力ではないだろうかと。

東京スマートドライバーは道路や車などのハード面からではなく、
人=ソフト面から交通事故を減らすため「交通安全」をブランド化して、
まずは、その意思をドライバーたちに表明してもらうことを目指しました。

さらに、交通安全を目指す時、ふつうは悪い運転を注意します。
これを逆転の発想で良い運転をしている人を誉め、
誉められれば、もっと良い運転をしたくなるという気持ちの連鎖で
ドライバー1人1人が運転に注意深くなる事を目指したのです。

具体的な活動としては交通安全のマインドをブランド化することからスタート。
デザイナーの水野学さんにシンボルを作ってもらい、
安全に走ることこそカッコイイと共感してくれる人は、
東京スマートドライバーのロゴマーク、ピンクチェッカーフラッグを車に貼って、
安全に走る事を宣言しようとドライバーの意識変革を提言しました。

首都高上には交通安全を想起させる大弾幕を掲げることにします。
それをスマートメッセージと名付けました。
言葉は「スピード落とせ」「カーブに気を付けろ」といった
よくある注意喚起ではなく「無事に辿りつく事がゴールです」というメッセージで
「この先には大事な人が待っているんだ」ということをドライバーに伝えました。
そして、発足から1〜2年で、相関関係は明確に証明できませんが、
首都高の事故は減っていったのです。

東京スマートドライバーは抽象的だけではなく、具体的なアプローチもしています。
わかりやすい英語で安全運転に洗練されたキャッチコピーをつくり5つのアクションを推奨。


「good Accele」 ー 時間帯や道路状況に合わせてスピードを変えて走る


「early brake」 ー カーブ手前でなるべく早めに減速してからカーブに進入する


「winker communication」 ー ウィンカーのタイミングや渋滞時のハザードなど
                   車を降りなくてもドライバーがコミュニケーションをとるようにする


「keep distance」 ー 前の車との距離は学校のプール1つ分を目安にとる


「use information」 ー 道路の状況は運転を始める前に、
               なるべく頭にルートや渋滞状況を入れておく


この東京スマートドライブが首都高だけではなく、
全国の交通事故を減らすきっかけになるかもしれません。
首都高に限らず、心の「スマートドライバー」を目指しましょう。

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