5年前の平成22年、
東京では減少傾向にあった交通死亡事故数が増加。
特に歩行中の高齢者が、夜、事故に遭うケースが多発したのです。
そこで、問題解決のため、警視庁と東京ハイヤー・タクシー協会による施策が始まりました。
『交通安全タクシー』
今週は、夜間の重大な交通事故を減らす取り組み『交通安全タクシー』を追跡しました。
お話を伺ったのは警視庁 交通部 管理官 藤本裕行さん。
このプロジェクトは警視庁と東京ハイヤー・タクシー協会 による施策。
警察とタクシー業界がタクシーの事故防止に留まらず、
全ての交通事故、悲惨な交通事故を1件でも減らしていくという共通の認識の元、
タクシードライバーの協力を得て行っている交通事防止の取り組みです。
現在では法人タクシーの乗務員、個人タクシーの乗務員、
無事故・無違反など、一定の条件を満たした優良ドライバー 136人が、
「交通ボランティア」として登録されています。彼らのミッションは3つ。
1)路上寝込み者を発見した場合の安全確保と110番通報
2)交通事故を目撃した際の110番通報
3)信号無視や、横断禁止場所を横断しようとする歩行者を発見した場合の声かけ
東京都に関して言うと歩行中の交通事故で亡くなる人の半数が65歳以上の高齢者 。
また、高齢歩行者が関わった交通事故の6割で
「道路を渡ってはいけないところでの横断」や「信号無視」といった
交通違反が認められているとのこと。
夜半に、自分がクルマを運転している立場だとすると、
東京に限らず。全国どこであっても・・・
「酔っ払って道路で寝てしまっている人がいるかもしれない」
「突然、車道を渡ってくる人がいるかもしれない」
「車道の信号が青でも横断歩道を渡る人がいるかもしれない」
といった危機意識を持つようにしましょう。
高齢者の家族と一緒に住んでいる方は、
折にふれ、注意をうながすことも、大切かもしれません。
実際、今回は交通ボランティア2人に話を聞いたところ、
「甲州街道の下りで、酔っぱらって頭を先頭に寝ている人がいるのを発見。
車を止め、声をかけ、110番をして警察に助けてもらった」
「住宅街に酔っぱらって大の字で寝ていた人をた助けた」という実体験を聴けました。
彼らは「交通ボランティア」は人命に関わること、
中途半端な気持ちではやれないという意識を持っています。
では運転のプロフェッショナルである彼らが、
ハンドルを握る時にどんなことに注意しているのか伺いました。
答えは・・・
「防衛運転に心がける。
優先道路でも横から車が来たらぶつかるかもしれないので一歩引いて先に行かせる。
一時停止も自分が優先であっても対向車がどういう動きをするか見ていちど止まる」。
「早めに見つけられるように前方をよく見る。
歩行者・自転車は、暗い場所では見つけにくいので、
前から来る車に迷惑がかからないようであればハイビームを出来るだけ使う」
・・・というものでした。
交通安全のため、プロの運転を参考にしましょう。
去年の東京都の交通事故死亡者は172人。
今年、警視庁は、これを150人未満とする目標を立てています。
おとといの時点で127人。去年より10人多いペース。
でも、これ以上、増えなければ目標は実現します。
ぜひとも、達成したいものです。
東京だけではありません。
日本全国、四輪・二輪のドライバーも、
自転車に乗る人も、歩行者も、交通安全にじゅうぶん気をつけましょう。
そして、もう少しすると年末・年始。お酒の機会も増えます。
高齢者でなくとも、飲み過ぎないようにしましょう。
クルマを運転していつも通る交差点、初めて通った交差点、
「ここは何か危ないな」と感じることはありませんか。
今週は公益財団法人 交通事故総合分析センター 研究部
西田泰さんにお話を伺い『危険な交差点』を追跡しました。
交通事故が多い交差点はあります。
でも、交通事故が多い交差点とその交差点の危険性の高さは別の事。
交通事故は交通量と危険度の積であらわされます。
危険度が1で交通量が1,000の場合なら1,000件の交通事故が起こるとして
危険度が10の交差点でも交通量が10であれば起こる事故は100。
危険度が10倍の交差点のほうが事故件数では10分の1ということもあるのです。
交通事故が頻繁に起こる交差点よりもあまり起こらない交差点に、
本当の危険が潜んでいることが少なくありません。
どの交差点も気をつけなければいけませんが、
本当に危ない交差点で、より気をつける必要があります。
そうした「危険な」交差点にあるのは構造や環境の問題。
交差点の形が悪いと交通事故の危険性は高くなります。
トの字のように角度が鋭角な交差点だと見えにくい交差側が生じて
安全確認も不十分となって事故の危険性は増します。
他にも、周囲に建物があると交差側の交通状況が見えず危険は増します。
高速道路や陸橋を支える橋脚の存在も影響があります。
さらに交差点の中は信号機や標識等で交通整理をするもの。
木が生い茂ってしまって標識や信号が見えにくくなる状況は危険性を増します。
その他、標識や信号機の位置も、場所によっては非常に見えにくくなり、
停止線に止まった時に見上げなければならない状況も危険が多いといえます。
西田さんによると、上記のようなことは、多くの交差点で対策が実施されています。
つくる時、改良する時、安全基準マニュアルがあるからです。
ただ、事故が多い交差点、大きな交差点は、対策がとりやすいものの、
危険であるにも関わらず、事故が少ない交差点は、
対策がとりにくく、改善されていないこともあるので気をつけましょう。
覚えておいて欲しいのは「ここは何か危ないな」と感じる交差点がある場合、
警察や行政に伝えることで「危険」が改善される可能性があること。
近くの警察署や市役所の道路の管理所に行き、
写真を見せる、意見を述べる、ことができます。
行政側は事前調査で、より安全な環境づくりを図りますが、
施工あとに交通量が変わるなど予期せぬ変化も発生します。
そういう時には、市民から「ここはおかしい」と意見することで、
利用者側の目線から具体的な対策が立てられやすくなります。
積極的に提案してみて下さい。
交通事故での死亡者数は、
長らく「車に乗車中」の割合が最多でした。
ところが6年前の平成21年に「歩行中」が追い抜きました。
昨年の統計では交通死亡事故数4,113人。
そのうち歩行者の交通死亡事故数は1,498人。
全体の36.4%となっています。
もう1つ「歩行者」の危険性を挙げると、
交通事故に遭った時の致死率は、
「歩行者」が「クルマ乗車中」の約9倍になります。
歩行者は生身。何にも守られない存在。
交通安全に十分気をつけて充分すぎることはありません。
今朝は一般財団法人 日本交通安全教育普及協会 普及事業部 部長
加藤重樹さんにお話を伺い「安全な歩行者のあり方」を追跡しました。
データを見ると「歩行者」の交通事故での死亡者は高齢な世代ほど増えます。
歩行者が事故に遭う事故の要因は「過信」と「慣れ」が大きい。
若い頃には無理な横断でも咄嗟に回避出来たことが、
年をとることで反射が遅れ、同じイメージで行動すると、事故に遭っててしまうのです。
一方で「歩行者」の交通事故における「負傷」に目を向けると
高齢者を除いて圧倒的に多いのが12歳以下の子供。
家庭でお父さん、お母さんが、子供と交通安全の話をすることは大切です。
歩行者視点で交通事故を見てみると、
事故が多い時間帯は17〜20時。特に17時ぐらいの日没時。
クルマを運転する人はライトを付けるかどうかという時間帯なので、
歩行者を発見するのが遅れて事故を起こすとケースが生まれます。
対策としては明るい服装を身につけることや反射材を身につけること。
クルマやオートバイから発見されやすい状況をつくることが事故防止に繋がります。
そして、歩行者が最も交通事故に遭いやすい場所は、
道路のうち交差点や踏切などを除いた「単路」。
『横断歩道を渡らず、横断する』というケースで事故が多く起こります。
単路で多いのが、歩行者から見て、左側から来た車との衝突。
クルマの運転者が特に注意を払っているのは左からの飛び出し。
対向車線方向から人が出てくることはあまり想定していません。
歩行者は横断の時、直近の危険がある、右側から来る車だけではなく、
左から来るかもしれない車にも、注意を払うようにしましょう。
そして、「歩行中」に交通事故に遭った人のうち、
交通ルール違反をしている人は約3割いるといいます。
多いのは、子供なら「飛び出し」。
それ以上の年代では「横断歩道以外のところでの横断」。
「歩行中」の交通事故で交通ルールにを守っていた人、
違反していた人を比べると、致死率が4倍も違います。
「歩行者」は必ず交通ルールを守る行動をとりましょう。
加藤さんには「交通安全のまみむめも」を教えてもらいました。
子供がいるお父さん、お母さんは、一緒に口にしてみてください。
「ま」・・・ 待つ → 交差点でも、信号でも、渡る前にいったん待つ
「み」・・・ 見る → まわりの状況をよく見て安全確認
「む」・・・ 無理をしない → 危険な気配はやり過ごす
「め」・・・ 目立つ → 自分を目立たせることが安全に繋がる
「も」・・・ もっと知る → 自分の行動、身体機能、自分のことをもっと知る
歩行者の心がけで大切なのは、危険を探すつもりで行動するぐらいの意識。
例えば、交差点を渡る時、歩行者信号が青の場合、
同じ方向に進む車の信号も一般的には青。
右に曲がってくる車、左に曲がってくる車があるかもしれないという意識を持つ。
駐車場に停まっている車が、バックライトを付けていれば、
車がバックをしてくるかもしれないという意識を持つ。
「危険があるかもしれない」と五感を研ぎ澄ませていることが大切です。
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