5月に国会で道路交通法の改正案が成立しました。
これによって決まったのが、自転車利用の交通違反の取り締まり強化。
改正法の施行は「今後2年以内」とまだ先ですが
改正のポイントを知っておきましょう。





自転車の安全利用促進委員会 メンバーの遠藤まさ子さんによると
自転車利用の違反に対する罰則強化の背景は、
交通事故は減少傾向にあり、自転車に関わる交通事故も増えてはいませんが
自動車同士の事故や二輪車と自動車の事故が減っている分
自転車に関わる事故件数が、相対的な割合が増えているとことがまず1つ。
また、自転車利用が高まったこともあり、歩行者との事故が増えて、
自転車側が第1当事者、すなわち加害者になる確率も高くなっているので
安全な交通社会を実現するための措置だと考えられるといいます。





今回、導入される自転車利用の違反に対する反則制度の対象は16歳以上。
大きなポイントはクルマやオートバイと同じように自転車にも反則金が発生する
いわゆる「青切符」が切られるようになることです。

青切符の対象となる行為は110以上。
中でも「信号無視」、停止すべきところで止まらない「一時不停止」、
スマートフォンを使っている「ながら運転」、歩道を走る「歩道通行」、「逆走」など
重大な事故につながる恐れのあるものが、重点的な取り締まり対象です。
反則金の金額は現在検討中で「原付に準じたものになるだろう」と
遠藤まさ子さんはおっしゃっていました。





そして、特に危険で悪質な20数種類の違反行為については青切符ではなく、赤切符の対象になります。
例えば「酒気帯び運転」「あおり運転」、「スマホのながら運転」をしていて歩行者に接触するなど
危険を生じさせた場合は赤キップの対象として
反則金ではなくて検察庁に送致されることになります。

今の30代から50代は小学生の時に歩行者としての交通安全教室は受けていても
自転車に関する交通安全教室は受けず、法律も学ぶ機会がなかった人が多い世代。
子供の方が自転車の法律に関して詳しいという逆転現象も起きているそうです。

2023年は自転車に乗っていて交通事故で命を落とした方が、
8年ぶりに前年を上まわってしまい、前年比7人増の346人。
「自分は運転免許を持ってるから大丈夫」とか
「自転車は免許がいらないから歩行者と同じ」という感覚を捨てて
いま一度、自転車の交通ルールを見直しましょう。

今後2年以内に、自転車利用者に対する罰則が強化された改正道路交通法が施行されます。
反則金を払わないためというだけではなく、ケガをしたり、命を落としてしまう人がいない、
安全な交通社会実現のため、ルールを知り、守って、自転車を利用して下さい。
今回は公益財団法人 交通事故 総合分析センター(イタルダ)が、
自前のデータから炙り出した歩行者が交通事故に遭いやすい条件についてお伝えしました。

まずは、今年3月に警察庁が発表した統計資料で
ここ数年の交通事故 死亡者数・重傷者数を
クルマに乗車中 / オートバイに乗車中 / 歩行中の“状態別”で見ると
死亡者数は歩行者が最も多いという状況が続いていて
去年の令和5年は973人で全体の36.3%です。





さらに重傷者数についても、
去年は歩行者が最も多く7,171人で全体の25.9%。
歩行中に交通事故で亡くなった方を事故累計”別に見ると6割強が道路横断中です。





これらの情報を踏まえた上でイタルダによる情報解析の話。
横断中の事故には、横断歩道または横断歩道付近を横断中の事故
横断歩道のない場所を横断中の事故がありますが
イタルダで道路横断中の事故について研究している
スタンレー電気 株式会社 星野 真也さんによると判明したのは

☆ 横断歩道を横断中の事故では車両の進行方向が直進よりも右折時が多い

☆ 横断歩道がない場所では車両が直進中が多い


これは横断歩道を横断中の事故では、
単路の横断歩道を横断中よりも交差点における車両右折時の事故が多く
逆に横断歩道がない場所を横断中では単路における事故が多いことを反映していると考えられ
これらの事故をイタルダ保有の事故統計データから分析したところ
交通事故の件数の多い「車両直進中」と「右折中」について、
「横断歩道の有無」と「昼夜別に死亡重傷事故となった割合」を見てみると、
「夜間車両直進中の死亡重傷事故率」が他よりも高いことがわかったといいます。
車両が減速する右折中に対して直進中は速度が高いまま
歩行者と衝突していることに起因していると考えられるとのことでした。





歩行者の横断歩道以外での道路の横断は、
「歩行者横断禁止」の標識がある場合はもちろんNG。
標識がなければ問題ありませんが、車両の直前・直後に飛び出す行為は禁止されています。
それでは、歩行者のどんな要因が夜の横断中の事故につながっているのか。

星野 真也さんによると、歩行者の人的要因は安全確認なし、安全確認不十分。
これには「左右片方を確認したけど、もう一方は確認しなかった」ということや
「一度、左右両方を確認したが、片側からの車両をやり過ごした後に
再度もう一方の安全確認をしなかった」などが該当します。

一方で、件数はそこまで多くないものの、昼に比べて夜が多くなる人的要因としては、
「相手の速度感覚を誤った」や「判断の誤り、その他」が該当。
「速度感覚の誤り」は、横断できると思い込んで道路に出たもの
車両の速度感や接近感を誤って認識して横断が終わるまでに車両がきてしまうケース。
「判断誤り、その他」は、先に横断できると思ったなどの思い込みによる誤判断など。
対向車線からの横断では思ったよりも道路横断に時間がかかるので
自身の歩行速度や車両との位置関係の予測を誤った結果と考えられるとのことでした。





「安全確認なし」は年齢に関係なく、全世代で多いので気をつけて下さい。
「判断の誤り」は、夜に多いことに注意しましょう。

そして、冒頭で引用した警察庁が発表した統計資料を見ると
歩行中の交通事故は、特に65歳以上が気をつけるべきことがわかります。

去年の65歳未満の歩行中の死者数は258人で
それに対して65歳以上は662人。

そのうち65歳未満の横断歩道横断中は51人で、およそ20%。
横断歩道以外を横断中は55人で、およそ21%。

一方で、65歳以上の横断歩道横断中は149人、およそ23%。
この部分のパーセンテージはあまり変わりませんが人数が多い。
横断歩道以外を横断中は337人で、およそ51%で
こちらは65歳未満よりも30%も多く、人数もかなり増えて282人多い。





身のまわりに高齢の方がいる場合は注意を促(うなが)しつつ、
夜間の反射材着用を伝えて下さい。

ドライバーの立場では、特に夜間はスピードを出しすぎず、
歩行者が出てくるかもしれない可能性を念頭にハンドルを握りましょう。

交通事故に関して「魔の6月」という言葉を聞いたことはありますか?
6月は小学生がクルマに接触する事故が多いことから生まれたもの。
ドライバーの皆さんには子供たちの安全を守るため
くれぐれも気をつけていただきたいと思います。





上のグラフは警視庁が発表した去年の「子供の交通人身事故発生状況」。
幼児・小学生・中学生が関係した事故です。
最も交通事故に遭っている人数が多いのは6月で183人。
次いで7月 – 180人、10月 – 177人、3月 – 160人という順。





そして、上のグラフは時間別に見たもの。
圧倒的に多いのが、午後4時〜6時で568人。
次いで午後2時〜4時で350人。午後6時〜8時で261人。
小学生・中学生は学校が終わって、気分が解放された帰り道、
あるいは塾や習い事に急いで向かう途中、そんな光景が想像されます。
その次に多いのが午前8時〜10時ですが、これは登校時間でしょう。

このデータは警視庁による統計なので、
一概に全国に当てはまらないかもしれませんが、
こうした傾向があることを覚えておいて下さい。





運転を科学する株式会社 ディ・クリエイト 代表取締役 
上西一美さんによると、子どもは危険感受性が低い存在。
車の陰や交差点の壁で死角から出てくるという特徴があります。
さらにドライブレコーダーの映像を3万件近く見ている上西さんによると
歩道から突然飛び出すなど、左からの飛び出しが多い特徴があるそうです。

そんな彼らの行動範囲を考えると、最も注意すべきは生活道路。
地域に暮らす人が家から主要な道路に出るまでに利用する
国土交通省の定義では幅5.5m未満の道です。
狭い道なので基本的に交差点に横断歩道や信号はなく
子どもが飛び出してきて接触してしまう事故が考えられます。

「車が通るから子供が飛び出してこないだろう」とか
「子供からはこちらが見えている」と思ってしまうと車の事故は防げません。
子供を見つけた時はすぐに減速するようにしましょう。





生活道路の交差点は基本的に見通しが悪いので徐行義務があります。
まずは速度10キロ以下に落とすこと。
人身事故は時速30km/hを超えると死亡率は2.7%、
ところが時速30km/hを下まわると0.9%まで低くなり
時速20km/hを下まわると0.4%にまで低くなります。

そして、生活道路にはなるべくブレーキに足を置く「構えブレーキ」で進入すること。
アクセルからブレーキに足を置き換える時間は約0.2秒。
たった0.2秒と思うかもしれませんが、基本的に走行速度が低い生活道路なので
ブレーキを早く踏めば、もしもの時も大事故回避に繋げることができます。





もしかすると「絶対にクルマを運転する人が注意すべき!」と
強く思うお父さん・お母さんもいらっしゃるかもしれません。

もちろんドライバーは細心の注意を払うべきですが、
子どもの危険行動がなければ事故は起きないのも事実。

お子さんに道路の危険を教えることも大切です。
1人で外出する時など、しっかり注意喚起をしましょう。
夕方や夜には反射材を身につけるよう配慮してあげて下さい。

ドライバー、保護者、それぞれの立場から、
子どもがクルマと接触する事故を1つでも減らすよう努力したいものです。
      
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