運転行動の3要素は・・・認知・判断・操作。
正しく状況を認知し、正しい判断をして、正しく操作することが、
危険回避に繋がりますが、ここに大きな影響を与えるのが、
私たちの心、つまりは脳の機能です。
今回は人の心理から危険な運転を考えました。
近畿大学 准教授で心理学者、Podcast「プロフェッショナルドライブ」を
毎週配信している島崎敢さんによると、まずは運転中のハンズフリーでの通話には注意。
携帯電話を持って通話する、操作することに比べれば安全という判断で
法律で許可されていますが、背景にあるのは情報を脳のどこ部分で処理しているかということ。
電話通話時の言葉の情報処理と運転に関わる空間的・視覚的情報処理は、
はたらく脳の部位がかなり違うので、同時に行なっても大きな危険にはならないとされています。
ただ、これは若くて元気な人の話。
高齢になると認知機能が低下し、若い人でも疲労時には認知機能が低下することもあり
そうした状態だと脳の違う場所を使っているとはいえ、影響が懸念されます。
その意味では通話してない状態と比べて、通話している状態が
全く危なくないかというと、決してそんなことはありません。
「同乗者とも会話するけど?」と思う方もいるかもしれませんが、
電話での会話と同乗者との会話には、決定的な違いがあります。
それは同乗者の場合は、ドライバーと同じ道路環境が見えているということ。
「ここは話しかけない方がいい」という時は、自然と会話を減らすことが出来ます。
しかし、状況が見えていない電話の相手では、そうはいきません。
そこに大きな違いがあります。
特に電話で盛り上がった時など、運転行動の注意力が削がれます。
なるべく短く、要件が済んだら、速やかに切ることが賢明です。
電話の相手方も、先方が運転中であれば配慮しましょう。
そして、私たち人間は、注意の”量”を増やすことができません。
同時に多くのことに注意を向けられないのが特徴です。
通話だけではなくて、カーナビ、プロドライバーだと電票を見ながらなど、
他のことに注意が向いてしまうと危険が生じるので
運転と関係ないことに注意を向けないよう気をつけるべきです。
また、そうした自分の外の世界だけではなく、
自分の心の内側にも注意が向き過ぎてしまうことがあります。
悩みがあったり、考え事があったりすると
本来必要な外に対する注意が疎かになります。
心が健康な状態で運転に臨むことが安全のために大切です。
島崎先生によると、注意できる情報量は増やせませんが、
注意すべき情報量を減らす工夫はできます。
最たることは、スピードを落とすこと。
一定時間内に、処理しなければいけない情報が少なくなります。
最近のクルマには、事故回避のために様々な安全装置、機能が搭載されています。
そこに、人の心理から見ると、思わぬ落とし穴があることを知っておきましょう。
島崎さんによると、私たちは危なくないように運転するのではなく、
「危なさを一定にしようとしている」という説があるそうです。
というのも、安全装置つきのクルマは、事故率が減りそうなものですが、
実際は安全装置がある車と無い車の違いは、さほどないというのです。
それが、多くの人は「自分の車は安全になったから適当に走って大丈夫」とか
「もっと飛ばしてもいいか」というようにリスクを一定に捉えて
効率を上げる方に振ってしまうとする「リスクホメオスタシス」と呼ばれる説。
先日、島崎さんはタクシー会社にバックの時によく事故が起きて困るが、
車種によって事故率が違うという話を聞きました。
最初は、後ろが見やすい車ほど事故が起きにくいのかなと考えましたが、
実は後ろが見にくいクルマの事故率がいちばん低いそうです。
考えられる理由は、見やすければ安心してどんどんバックしますが、
見えにくければ慎重に、時に降りて後ろを見に行ったりと、注意深くなるから。
運転中は極力、集中力が妨げられることはやらない。
“安全”や“安心”にこそ危険が潜んでいることを認識する。
人の心理の特徴から、事故を避ける大きなポイントが、この2点です。
覚えておきましょう。