1年を通して最も寒いこの時期。
クルマの走行で気をつけなければいけないことの1つが路面の凍結です。
積雪がない地域でも朝早い時間帯などスリップ事故の危険はあります。





日本自動車ジャーナリスト協会の会長で
以前、氷上でクルマを走らせる実験をしたことがある
日本自動車連盟 交通安全委員会 委員 菰田潔さんによると
アイスバーンは、スケートリンクと同じようなもの。

乾いた路面であれば、急ブレーキを踏むとABSが作動して約40mで止まります。
ところが、ツルツルの氷の上では、性能がいいスタッドレスタイヤでも
摩擦力は小さくなりブレーキの効きは悪くなります。

かつて氷結した沼で100km/hで走るクルマの急ブレーキテストをしたところ
何と300mも進み、菰田さんでさえ驚いたことがあるそうです。
ここからはブレーキをかけて停まろうとしても停まれないという状況に
陥らないような運転をすることが大切だとわかります。





道路がアイスバーンになる状況や場所を覚えておきましょう。
まずは積雪がなくても外気温3度以下で路面が凍る可能性が高くなるデータがあります。

路面が凍結しやすい場所としては、1つは橋の上。
地熱が届かず、橋の下を風が吹き抜けるため
冷やされて舗装道路の表面の水分が凍ることがあります。
手前が乾いた路面だったとしても要注意。

また、トンネルの中は温度が低くなりにくいのですが、
入口や出口付近は、トンネル内の湿気が外気温が低い影響を受けて
凍ってしまうということもあって注意が必要です。
確実に先の方まで路面を見て、車のスピードを落とすことが安全に繋がります。

それから、山道では北斜面もずっと陽が当たらないので
路面温度も低く、凍ってるかもしれないと想像して車を走行させて下さい。





道路の凍結が考えられる状況でどんな運転を心がければいいか。
直線の道路を走っていて先行車がある時は車間距離を2秒取るのが世界標準ですが
それよりも長い時間の間隔をとって、自分がスリップしたり前のクルマがスリップしても
事故を回避できる確度を高めましょう。

また、カーブでの冬のスリップ事故にも要注意です。
カーブでの事故はスピードを出しすぎて外側にはみ出してしまうケースが多数。
そうならないためには、直線を走行中にしっかりスピードを落とすこと。

カーブに入ってからスピードを落とそうとすると
タイヤのグリップは曲がる」とブレーキで止まる力の両方を使うことになり
滑りやすい路面ではグリップが限界を超え、滑ってしまいます。

直線の内にブレーキでしっかりとスピードを落として
カーブに入るところではゆっくりとハンドルを切る。
出口が見えたらゆっくりアクセルペダルを踏んでいき
タイヤのグリップを分散して使うようにすることが大切なポイントです。





冬のスリップ事故対策は、まずは路面の凍結を予測する。
その上でスピードを出さず、前のクルマとは間隔を空けて、
ハンドルを急に切るような状況をつくらない。
充分に気をつけてハンドルを握って下さい。
阪神淡路大震災から今日で30年。
ハンドルを握っている時に大きな地震が起こったら、
どうすべきか心と頭に刻んでおきましょう。
今回はモータリング・ライター  藤田竜太さんにお話を伺いました。





ハンドルを握って一般道を走行中に揺れを感じたら
周囲の状況を確認しながらゆっくりとスピードを落とし、
ハザードランプを点滅させながら、道路の左側に車を寄せて停止させます。
このとき交差点や陸橋の下に停めるのは避けましょう。

高速道路でも基本的に対象法は同じです。ハンドルをしっかり握り、
前後の車に注意しながら、徐々にスピードを落として道路の左側に停車します。
左側に駐車できない時は右側に車を寄せて警察・消防等の車両が通行できるよう
中央部を開けるように心がけて下さい。

停車する際は大きく山を削った斜面の下、いわゆる「法面」や
トンネルの出入口付近は崩落の危険があるので、なるべく避けましょう。
停車したらエンジンを切り、揺れが収まるまでは車外に出ず、
スマホやカーラジオから情報を入手します。





揺れが収まったらパトカーなどが広報しながら巡回するまでそのまま待機し
その指示に従いましょう。パーキングエリアやサービスエリアにいるとき、
強い地震が発生した場合は、係員の避難誘導に従って行動してください。

本線上でも高速道路には約1キロごとに非常口が設けられており、
ここから徒歩で地上に脱出することが可能です。
ちなみに高速道路では、計測震度4.5以上で通行止めとなり、
道路点検が行われることになっています。

山道で地震に遭うのは土砂崩れや地崩れのリスクが高いです。
車を斜面の反対側に寄せて停車し、車外に避難する準備をしましょう。
海岸線や橋の上、河畔などでは、津波の危険があるので、
なるべく速やかに高い場所へ避難しなければなりません。

結局、状況次第では車を置いて徒歩で避難したりすることになりますが、
それについては冷静な判断が必要です。





どんな道で運転していたとしても、
気をつけなければいけないのが、急にハンドルを切ったり、
急ブレーキをかけたりしないこと。

落ち着いて、安全な場所にクルマを停めます。
停車できるところがなく、運転を続ける時は、
道路の損壊や信号機の作動停止、道路上の障害物などに注意しましょう。

停車できたらスマートフォンやカーラジオで情報収集。
そのまま様子を見るのか、クルマから離れて避難するか、
判断は難しいところですが、状況に応じて判断・行動して下さい。





クルマから離れての避難はエンジンを止め、車のキーはつけたまま、
ドアをロックしないで窓を閉めます。その上で、連絡先のメモを見えるところにおき、
車検証や貴重品を持って行きましょう。

そして、オートバイなどの二輪車は比較的地震に強い乗り物ですが、
震度5以上になってくると話は別で横揺れなどの影響で転倒する危険性も生じてきます。
バイクで走行中も、揺れを感じたら速やかに減速、とにかく安全な場所に寄せて停車します。
停車時はセンタースタンドを使うより、サイドスタンドを使った方が
転倒防止に繋がりますし、ローギアに入れたままエンジンを切っておくと、
パーキングブレーキ代わりになります。万が一転倒してしまった場合は、
まず自分の体に怪我がないかを確認し、次にバイクのダメージをチェック。
ガソリンなどが漏れていないかもしっかり確認しておきましょう。





また、大地震の時に自宅や仕事場などにいて、
そこから避難する時は、津波から逃れるためなど、
やむを得ない場合を除いてクルマは使わないほうが良いとされています。

基本的に大きな地震が発生した時は車は使えないと考えること。
地震による停電で信号機がストップする可能性があり、
大規模な渋滞が発生する可能性があります。
また、道路に避難する人々が増えてくることが考えられ
道路が陥没したり、橋が落ちたり、塀や瓦礫が道路に崩れ落ちてきたりして
走行不能になる道も出てきます。

地震後、都市部の主要道路などは交通規制が敷かれることにもなり
ガソリンスタンドに客が殺到、あるいは停電で給油機がストップし
燃料が貴重になるといったところが主な理由です。

クルマを運転している時に大きな地震が起こったら、
今日の情報を参考に、落ち着いて対処して下さい。
       


クルマの走行中には、走ってきた道路をUターンして、
方向転換を図りたい時というのがありますよね?
でも、急なUターンは事故のもと。
また、Uターンが禁止されているところもあります。

運転を科学する 株式会社 ディ・クリエイト 代表取締役 上西一美さんによると
Uターンをして良いか、禁止されているかの判断は
道路標識か道路表示で禁止が示されていれば当然UターンはNG。
その2つがない場合は基本的にOKとなります

Uターン禁止の道路標識例。




Uターン禁止の道路表示例。




道路によっては禁止される時間が表示されていることもあります。




道路交通法上ではUターンについて、
道路標識、道路表示がある“ところ”での禁止とともに
歩行者や他の車の通行を妨害する“場合”の禁止も規定されています。
その点も注意しましょう。





Uターン時に気をつけるべきポイントは2つ。
1つは前方から走ってくる直進車との距離感・スピード感を誤って、
Uターンしようとしたものの、衝突してしまわないこと。
もう1つは「あっ、Uターンしよう!」と急にスピードを落としたり
急停車して後続車に追突されないこと。

まずは後続車がないか、あっても距離が離れているか確認。
次に対向車との距離を測ります。
人間は動きながら動くものを見ると距離感を見誤ることがあるので
上西さんによると、まずはUターンする前に必ず止まる状態をつくること。
その上で対向車との距離をしっかりと見極めてUターンをします。
Uターンした後は入った車線の前方に、赤信号停車しているクルマがあるリスクも考慮しましょう。





ただ、上西さんは「Uターンは危険な行為。
基本的にやらないことを前提に運転して下さい」とのこと。
来た方向に戻りたい時は、左折や右折をしていけば、方向転換できます。
また、セミナーなどでは「それでもUターンをする時は、
対向車が来ている時はUターンしないで下さい」と伝えているそうです。





ハンドルを握って直進している時、
前方にUターンしようとしているクルマが・・・という状況もあります。

そういう時には基本的にまずブレーキ踏みましょう。
自分が想像した通り相手がUターンをスムーズにやってくれれば
ブレーキを踏まなくとも大丈夫かもしれませんが、こればかりはわかりません。
もしものために速度を落とし、先にUターンしてもらうようにしましょう。

こうして考え、想像してみると、Uターンは通常の進行と逆行する行為。
しようとする立場でも、Uターンしようとするクルマと関わる立場でも、
最大限の注意を払って、その局面を安全にやり過ごしましょう。
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