日の入りが早くなって、夕暮れ時の事故の危険が特に高い季節。
クルマのヘッドライトを正しく、有効に使っているでしょうか。
道路交通法では、第52条にクルマのライト類についての規定があります。


[1項]
車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところにより、
前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。
政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても、同様とする。

[2項]

車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を
進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、
車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、
灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。






ヘッドライトの基本は100m以上先の遠くまで照らすことができるハイビーム。
すれ違う時など、他のクルマを運転するドライバーの妨げになる時は、
40m程度の前方までを照らすロービームにすることになっています。
法令上の正式名称もハイビームは「走行用前照灯」でロービームは「すれ違い用前照灯」。
まずは、前照灯はハイビームが基本ということを覚えておいて下さい。





時速60kmで走っている時、ブレーキを踏んでからクルマが停まるまでの距離は約44m。
ロービームか40m先まで見えるとすると間に合いません!
その対策として有効なのが、100m先まで届くハイビーム。
ドライバーからの視認性を高めるだけでなく、先にいる人や自転車利用者に対して
自分のクルマの存在を知らせることもできます。
こうしたために基本になっているのはハイビーム。
対向車や前方車両を幻惑する恐れがあるのに
ハイビームのまま走行すると減光等義務違反となります。

ただ、霧が出ている時は、ライトの光が水の粒子にあたって乱反射するので、
ハイビームだと光で視界が遮られてしまって危険。
ロービームを使うようにしましょう。





ハイビームとロービームのこまめな切り替えは、ドライバーにとってかなりの負担。
最近のクルマには自動でヘッドライトの切り替えをする機能がつき始めています。

代表的なのがオートハイビーム。
フロントカメラや光センサーが周囲の明るさや対向車、先行車のライトを検知して
自動的にハイビームとロービームを切り替えてくれます。

さらに進化したアダプティブドライビングビームというのもあり
これはハイビームを維持したまま部分的に光を制御し
対向車や歩行者を眩しく照らさないようにしてくれます。

ただ、オートハイビーム機能があっても
全てのシチュエーションで適切に機能するとは限りません。
山道などで突然対向車と互いにライトを照らしあうようなシーンに遭遇したら
手動でロービームに切り替えたほうがいいかもしれません。

また、交差点で停止中に対向車がいたならば、一時的にヘッドライトを消すのもマナーです。
車が動き出したらヘッドライトの付け忘れがないように注意をしてください。





まずはクルマにヘッドライトのオート機能がついているか、
ついていないか、確認して正しい認識を持ちましょう。
そして、やらなければいけない範囲でこまめに切り替えます。

面倒だからといって、切り替えをしないと、
ロービームで走り続けると危険な事態の把握が遅れる可能性があります。
また、ハイビームで走り続けると、対向車に危険が及ぶかもしれません。
さらにトラブルの原因になってしまうかもしれません。
ヘッドライトは正しく、適切に使い、交通事故を未然に防ぎましょう。
東名高速道路や中央自動車道など
交通量が多い高速道路にある片側3車線以上の区間。
走行した経験はありますか? そして、各車線の意味を把握していますか。
間違った利用をしていると、交通事故に繋がります。





モータリング・ライター 藤田竜太さんによると
日本の高速道路は、諸外国に比べて車線数が少ないことがネック。
片側3車線以上の区間は高速道路全体の約7パーセントにとどまっています。

道路の車線数は、道路の設計基準交通量と計画交通量の比較で決まることになっていて、
交通量が多いと予測される区間に限り、車線を細分化することで
交通の流れをスムーズにするため、片側3車線以上で計画されているようです。

第一の目的は、車線を増やすことで交通容量、道路のキャパシティを増やすこと。
そして、速度の異なる車両を分離させることや追い越しの機会の提供、
さらに到着時間の予測がしやすくなる事で時間信頼性を向上させるなどの狙いがあります。





3車線の道路の場合は、左から第1走行車線、第2走行車線、一番右が追い越し車線となります。
片側四車線の車線は、左から第一走行車線、第二走行車線、第三走行車線、追い越し車線。

道路交通法では「原則として一番左の第一走行車線を走りなさい、
ただし、片側三車線以上の道は、速度に応じて第二走行車線を走っても構わない」という規定。
原則として第一走行車線を走ることになっていますが、
制限速度が80km/hのトレーラーは第一走行車線を走ることが定められていて、
大型貨物も最高速度が90km/hに制限されているため
これらの車両が走る第一走行車線は通常80km/hから90km/h程度。

普通自動車でも、そのペースで構わない人は第一走行車線を走ればいいのですが
もう少し速いペースで走ることを望む人は第二走行車線を利用して
制限速度の範囲内でより速いスピードで走ることが出来ます。





第1車線を走っていたら前方に大型車が迫ってきたので第2車線へ
第2車線を走っていたけれど、ペースを落としたいので第1車線へと
車線変更をすることもあるでしょう。その時は中央境界線を確認して下さい。

トンネル内など車線境界線が黄色の実線の区間は車線変更禁止。
車線境界線が白色の線が破線か実線であれば車線変更は可能ですが
白の実線はトンネル内やカーブの手前、合流、分岐直前など、
車線変更を控えるべき区間に引かれていることが多いので
より慎重に車線変更を行うか、白の破線に戻るまで待ったほうが無難です。

白い実線は、原則として車線変更や追い越しは禁止。
法的には「車線変更を控えるべき区間」ということをお忘れなく。





最後に追越車線の利用について。
高速道路で追い越し車線を使って前走車を追い越す際は、
制限速度内で走行車線を走る車よりも時速プラス20km/hを目安に
追い越すといいでしょうと藤田竜太さんは話しています。

その時は、必ず加速しながらレーンチェンジして下さい。
追い越し車線のペースは走行車線より早いので、
加速をしないで車線変更を始めると後続車に減速を強いることに
なりかねないので気をつけましょう。

また、追い越し車線は、追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻るのが原則。
追越車線の走行を続けると車両通行帯違反となります。
明確な距離の規定はありませんが、2キロ以内が一つの目安と言われています。

後ろから急いでいる車が近づいてきた場合は、
制限速度の上限で走っていたとしても走行車線に戻ったほうが賢明です。
道路交通法には「追いつかれた車両の義務違反」という違反もあるので、
ペースの速い後続車の接近に気づいたら、走行車線に戻りましょう。





内閣府の「令和7年版交通安全白書」によると、令和6年の通行帯違反件数は4万4197件。
これは、高速道路で、追い越しが終わった後に元の車線に戻らずに
追越車線を走り続ける、第一車線を走行しないなどの違反。
スピード違反のおよそ26万件に続く数字です。
高速道路でもルールを守り、安全に運転しましょう。
ともに自動車教習所で習うことですが、
「専用通行帯」と「優先通行帯」がどんなレーンを意味するのか把握していますか?
よく覚えていない、あるいはきちんと理解していないと
知らず知らずのうちに交通ルールに違反しているかもしれません。
交通事故にも繋がってしまうのできちんと認識しておきましょう。





今回のコメンテーター モータリングライター 藤田竜太さんによると
専用通行帯は、原則として標識や道路表示で“専用”と記されている
特定の車両しか走ってはいけないレーンのことです。

いくつか種類があって、最もメジャーなのはバス専用通行帯。
その他に自動二輪専用通行帯、バス・タクシー・二輪 専用通行帯、
普通自転車専用通行帯などの種類があります。

通常、道路の一番左の車線である第一通行帯が専用通行帯に指定されているので
そのレーンは指定された車両と小型特殊自動車、原動機付自転車、
及び、軽車両以外の車は通行できません。





例外的に専用通行帯を走行することができる
小型特殊自動車・原動機付自転車・軽車両について記しておきましょう。


【小型特殊自動車】

主に農業や工事現場などで使われる
全長4.7m以下、全幅1.7m以下、最高時速15km以下の車両。


【原動機付自転車】 

排気量50cc以下のガソリンエンジン搭載車、
または定格出力0.60kW以下の電動機搭載車が該当。
道路交通法上の「自転車」とは異なります。


【軽車両】 
エンジンやモータなどの動力を持たない車両。
自転車、人力車、馬車などがこれに当たります。

また、本来走行してはいけない車両にも、
例外的に通行が認められるシーンがあります。
右左折をする時、工事などでやむを得ない時、緊急車両に道を譲る時などです。





本来走ってはいけない車両が専用通行帯を利用すると、
その存在は見落とされがちになります。
特に他のレーンから専用通行帯に車線変更しようとした時、
専用通行帯側の車は一般車が入ってくることを想定していないので
追突されるリスクは高まります。

また、最もメジャーなバス専用通行帯であれば、バスは停留所に停車する際、
後ろに一般車がいても、前述のように意識せずに止まろうとするので、追突の危険があります。

自動二輪や自転車の専用通行帯でも、
そもそも前提として走ってはいけない一般車両が走ることで
接触事故などが通常よりも起きやすい状況になることが想像されます。

そして、専用通行帯を指定された車両以外が走行した場合は、
通行帯違反となって反則点が1、普通車は罰金6千円が課せられます。
 




続いて優先通行帯について。
優先通行帯は、藤田竜太さん曰く、電車で言えばシルバーシートのようなもの。
誰でも原則として利用することができますが、優先順位が決まっています。
優先権のある車両、例えば最も多いと考えられるバス優先通行帯であれば、
路線バスが近づいてきたなら速やかに道を譲らなければいけません。





優先通行帯を走行中に優先車両が近づいてきた時のスマートな道路の譲り方。
まずウィンカーを出して車線を譲る意思があることを周囲に知らせます。
そして、バックミラーで後方をよく確認して
隣の車線の車と同等以上の速度に持っていき、
ハンドルをゆっくり少しずつ切って車線を変更しましょう。

優先車両の接近に気づくのが遅れ、慌てて車線を移ろうとして急ハンドルを切ったり
側方の車と接触してしまう危険が考えられますので、ふだん以上に後方に気を配り、
余裕を持って行動することが大切です。
反対に後ろを気にしすぎると前方不注意となり、追突事故を起こすリスクが出てくるので
それにも注意を払ってください。





まずは専用通行帯と優先通行帯の認識をしっかり持ちましょう。
その上で専用通行帯は、該当車両でなければ利用しない。
優先通行帯」は、走行するのであれば、優先車両の存在に気をつける。
道路を譲る時は、追突・接触事故を起こさないよう“慎重”を心がけること。
今回の情報も日々の運転に活かして安全ドライブを続けて下さい。
    
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