今回は前回に続いて、警察庁が先月公表した
「自転車の交通安全教育ガイドライン」を伝える後編。
お話を伺ったのは、自転車の安全利用促進委員会 委員 谷田貝一男さんでした。





高校生になる頃には、多くが「自分の運転や通行方法は安全」と思っているため
自転車事故件数や死傷者数が最も多くなっています。
この意識を解消させるには、自転車通学を調査し、
どんな安全な運転をしているのか、危険な運転をしているのかを提示し
自分の運転や通行を見つめ直し、感想や意見を発表する場を設けることが必要。

そして、高校生のヘルメット着用率は、中学生の44%に対して12%。
これを改善することと、さらに事故を起こした時の社会的責任を
自覚できるように指導することも非常に大切です。





続いて、一般成人の自転車利用ガイドライン。
成人になると自転車事故を起こす行動が3つあります。

1つは飲酒運転。死亡事故や重傷事故を起こすのは、40代から70代が全体の70%。
自転車が車両であるという認識が欠けていて
さらに事故の発生死亡率が高いと周知されていないこと
危険察知の低下で事故の危険が高くなるという
認識が欠けていることなどが原因として考えられます。
こうした認識を持つための指導が求められます。

2つ目は幼児を同乗させて運転している時の利用。
この事故件数は増加傾向にあり、特に多いのが30代から40代。
幼児を同乗させて自転車を運転すると、ふらつきやすくなってしまうもの。
ハンドルをしっかり握って、身体のバランスを保つ練習をする必要があります。

3つ目は電動自転車。
近年の電動アシスト自転車の利用数の増加にともない
2024年は事故件数が5年前の2.6倍に増えました。

一生懸命こがなくても、加速して進むメリットはありますが、
簡単に出てしまうスピードのまま乗っているとクルマや歩行者に衝突しかねません。
そのことを認識して利用しましょう。





最後に高齢者。
高齢者は自転車事故による死亡率が、40代以下の3倍近くと急速に増加します。
また、転倒や道路脇への逸脱事故が死亡事故の24%も起きています。
高齢者は自身の体と車体がぴったり合っているか確認が必要。
一時停止や左右後方確認行為を
乗車体験を通じて身につけてもらうことが求められています。





しっかりとヘルメットをかぶり、
自転車は車両です、クルマと同じように信号や一時停止を守り、
お酒を飲んだら乗らない、そして保険に加入しておく。
安全で楽しい自転車ライフを送って下さい。
警察庁は先月「自転車の交通安全教育ガイドライン」を公表しました。
4月からは、16歳以上の自転車を利用する交通違反者に対しても
クルマと同じように、いわゆる「青切符」が適用されます。
その前に番組では2週にわたり、そのガイドラインの内容をお伝えします。





交通事故全体の件数は、減少しています。
最近5年では、2020年のおよそ31万件が、2024年は29万件に推移。
一方、自転車事故全件数は、2020年のおよそ1万4千件が、
2024年には1万6千8百件と1.2倍に。
交通事故全体に占める自転車事故の割合は相対的に高くなっています。

自動車と違って運転免許証がない自転車。
そのため、安全な乗り方や交通ルールを知る機会は乏しく、
無知や誤解から危険な運転をする人も多い。
そこで公表されたのが、今回のガイドラインです。
認知機能や運動機能は、年齢によって違うことから年代別に示されています。





まずは、子どもひとりで自転車に乗って、
出かけられるようになる小学校低学年。

安全に道路を通行するための知識が十分に備わっていないのが小学生の低学年。
さらに運転中の視線が近く、横断歩道などで安全な通行の確認がきちんと出来ません。
そのため安全不確認が原因の事故が最も多くなっています。
どのような運転・通行に危険が潜んでいるか
どうすれば危険を避けられるか 保護者が指導しましょう。

例えば、自転車を運転するときは歩くときと異なって左側を通行する。
歩道ではすぐに止まれるようにゆっくり進む。
歩行者が来たら通過するまで停止して、歩行者を追い抜かない。
歩行者が多い時は、自転車から降りて押して歩くといったことです。





続いて、スピードを出して無謀な運転をする子も出てくる小学校高学年。
自転車を利用する機会が多くなります。
しかし、運転時に起こる具体的な危険性をなかなか認識せず
慎重な運転の欠如が見られるので、まずは安全な運転・通行を習得・実行させる。

また、小学校の保健の教科書に「交通事故防止の項目」があるので
それを利用して、事故発生の原因、事故防止と方法を自分で考えて
紙に書き、発言するという作業をしてもらう。

さらに、身近な道路環境で事故が起こる可能性がある場所の地図を作って
事故がそこでなぜ起こるのか? 事故に遭わないためにはどうすればいいか?
これも自分で考えさせるということをやる。





最後に中学生について。
中学生はスマホの保有率が上がり、
スマホの”ながら事故”が小学生の10倍になります。

さらに、中学生の特徴として、危険と知っていてもその行動をとる傾向があるので
交通事故の90パーセントが「自転車を運転する時の事故」です。

そこで「車道通行が原則である」ということをしっかり認識し
そのための安全な運転、通行の確認と実行を必ず行わせること。
さらにスマホの危険性の確認を理解させることがポイントです。





小学生のお子さんがいる保護者の方は、
今日のお話を参考に家庭で交通安全教育を行って下さい。
お子さんを自転車利用による事故から遠ざけることでしょう。
来週はこの続き「自転車の交通安全教育ガイドライン」後編です。
     
運転行動の3要素は・・・認知・判断・操作。
正しく状況を認知し、正しい判断をして、正しく操作することが、
危険回避に繋がりますが、ここに大きな影響を与えるのが、
私たちの心、つまりは脳の機能です。
今回は人の心理から危険な運転を考えました。





近畿大学 准教授で心理学者、Podcast「プロフェッショナルドライブ」を
毎週配信している島崎敢さんによると、まずは運転中のハンズフリーでの通話には注意。

携帯電話を持って通話する、操作することに比べれば安全という判断で
法律で許可されていますが、背景にあるのは情報を脳のどこ部分で処理しているかということ。
電話通話時の言葉の情報処理と運転に関わる空間的・視覚的情報処理は、
はたらく脳の部位がかなり違うので、同時に行なっても大きな危険にはならないとされています。

ただ、これは若くて元気な人の話。
高齢になると認知機能が低下し、若い人でも疲労時には認知機能が低下することもあり
そうした状態だと脳の違う場所を使っているとはいえ、影響が懸念されます。
その意味では通話してない状態と比べて、通話している状態が
全く危なくないかというと、決してそんなことはありません。

「同乗者とも会話するけど?」と思う方もいるかもしれませんが、
電話での会話と同乗者との会話には、決定的な違いがあります。
それは同乗者の場合は、ドライバーと同じ道路環境が見えているということ。
「ここは話しかけない方がいい」という時は、自然と会話を減らすことが出来ます。
しかし、状況が見えていない電話の相手では、そうはいきません。
そこに大きな違いがあります。

特に電話で盛り上がった時など、運転行動の注意力が削がれます。
なるべく短く、要件が済んだら、速やかに切ることが賢明です。
電話の相手方も、先方が運転中であれば配慮しましょう。





そして、私たち人間は、注意の”量”を増やすことができません。
同時に多くのことに注意を向けられないのが特徴です。

通話だけではなくて、カーナビ、プロドライバーだと電票を見ながらなど、
他のことに注意が向いてしまうと危険が生じるので
運転と関係ないことに注意を向けないよう気をつけるべきです。

また、そうした自分の外の世界だけではなく、
自分の心の内側にも注意が向き過ぎてしまうことがあります。
悩みがあったり、考え事があったりすると
本来必要な外に対する注意が疎かになります。
心が健康な状態で運転に臨むことが安全のために大切です。

島崎先生によると、注意できる情報量は増やせませんが、
注意すべき情報量を減らす工夫はできます。
最たることは、スピードを落とすこと。
一定時間内に、処理しなければいけない情報が少なくなります。





最近のクルマには、事故回避のために様々な安全装置、機能が搭載されています。
そこに、人の心理から見ると、思わぬ落とし穴があることを知っておきましょう。

島崎さんによると、私たちは危なくないように運転するのではなく、
「危なさを一定にしようとしている」という説があるそうです。

というのも、安全装置つきのクルマは、事故率が減りそうなものですが、
実際は安全装置がある車と無い車の違いは、さほどないというのです。
それが、多くの人は「自分の車は安全になったから適当に走って大丈夫」とか
「もっと飛ばしてもいいか」というようにリスクを一定に捉えて
効率を上げる方に振ってしまうとする「リスクホメオスタシス」と呼ばれる説。

先日、島崎さんはタクシー会社にバックの時によく事故が起きて困るが、
車種によって事故率が違うという話を聞きました。
最初は、後ろが見やすい車ほど事故が起きにくいのかなと考えましたが、
実は後ろが見にくいクルマの事故率がいちばん低いそうです。
考えられる理由は、見やすければ安心してどんどんバックしますが、
見えにくければ慎重に、時に降りて後ろを見に行ったりと、注意深くなるから。

運転中は極力、集中力が妨げられることはやらない。
“安全”や“安心”にこそ危険が潜んでいることを認識する。
人の心理の特徴から、事故を避ける大きなポイントが、この2点です。
覚えておきましょう。
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