毎年、新年度になってすぐに、
一般社団法人 東京指定自動車教習所協会が
『「交通安全」川柳コンテスト』を開催しています。
6月終わり、その第12回大会の結果が発表されました。
入選作から見えてくる昨今の交通事情を探ってみましょう。





まずは入賞作品を2句。


ペンネーム ほっこりはん
見ています お天道様と ドラレコが 

ペンネーム ほん
運転は にらみ合うより ゆずり合い 


数年前から問題になっている「あおり運転」と
そうしたトラブルになりかねないシーンが上手に描かれていますね

去年の改正道路交通法で、
いわゆる「あおり運転」に対する罰則が創設されました。

他の車両等の通行を妨害する目的で急ブレーキ禁止違反や
車間距離等不保持などに違反した場合、最大懲役3年、
著しい交通の危険を生じさせた場合は最大懲役5年、
運転免許は取り消しとなります。

刑罰があるから、免許が取り消しになるからではなく、
安全な交通社会のため「あおり運転」や危険な運転行為はやめましょう。





ペンネーム 安全ゴルファー 
返納は 次の代への バトンパス 

これは高齢ドライバー問題が反映していますね。


ペンネーム 豆助
休もうか 優しい笑顔 妻のナビ

奥さんがハンドルを握っている時は立場が反対ですが、
長距離運転をしてくれている家族を気遣いたいもの。


ペンネーム 百童子
5分間 早く家でる 余裕でる

今、通勤中の車で聴いて下さっている方も多いと思います
5分早く出れば、スピードを不必要に出さず、
焦る気持ちもなく安全確認もおろそかになりませんね。





優秀賞2作品です。
ここからは作者のコメントも紹介します。

ペンネーム 木曽川太郎
コロナより 怖いあなたの その速度 

「79歳の私には生涯最後の栄誉かと思っています。
コロナ禍の一日も早い終息宣言が発せられる日が待ち遠しい限りです。
交通事故の撲滅を願っています」

コロナとはまた違って、スピードの出し過ぎは怖い!
ドライバーがそう思っていなくても周囲、特に年配の方は!
交通社会の一員としての自覚を持ちましょう。


ペンネーム 小川喜洋 
暮れなずむ 街へ早めの ライトオン 

「私は車を処分してもう運転はしませんが、
運転しているころ薄暮にライトをつけないで運転し怖い思いをしたことがあったので、
その時の事を思い出して今回の作品を作りました」

ヘッドライトは自分が見るためのものだけでなく
他の人たちに自分の存在を知らせる意味もあります。
ヘッドライトは早めの点灯をこころがけましょう。





そして、第12回『「交通安全」川柳コンテスト』
最優秀賞作品です。

ペンネーム くまちゃん
車間空け さわやかな風 吹き抜ける 

「あおり運転などの余裕のない走り方や
距離を詰めて運転する危険さを再認識していただいて
周りの車と協力して運転をしていただきたいと願っています。
また最近は、換気をこまめにすることも多く、
風を感じながら運転することが増えました。
窓を開けて風を感じながら、車間を空けて心に余裕を持ちながら、
気持ちよく運転してもらいたいです」

さすが最優秀賞作品。
あおり運転の問題とコロナウィルス対策
2つの要素を詰め込んでいます。


交通安全川柳。
自分で考えてつくってみると、
交通安全に対する意識も、より高まりそうです。
みなさんも作ってみてはいかがですか?
特にお子さんがいる方は子どもと一緒に!





先月、経済産業省が65歳以上に向けた「サポカー補助金」について
申請受付の終了見込みを発表しました。
「サポカー補助金」は2つの補助金の総称です。





1つは、経済産業省による自家用自動車が対象の
「安全運転サポート車普及促進事業費補助金」。

もう1つは、国土交通省による事業用自動車が対象の
「安全運転サポート車普及促進に係る自動車事故対策費補助金」。

65歳のドライバーがサポカー=先進安全技術を搭載した
新車や中古車を購入するなら国が補助金を出しましょうという制度です。
サポカーは「セーフティー・サポートカー」の略称で
「被害軽減ブレーキ」と呼ばれる障害物をセンサーが認識したら自動で止まったり
前方に障害物があればペダルの踏み間違っても
センサーで加速を抑制する機能を持つクルマを指します。
また、新車・中古車の購入ではなく、後付けの「ペダル踏み間違い急発進等抑制装置」を
購入する場合も補助金を受けることができます。

政府広報ポスター/パンフレットによると
登録車の場合「最大10万円」
軽自動車なら「最大7万円」
中古車なら「最大4万円」
後付け装置なら「最大4万円」となっています。





国際モータージャーナリスト 清水和夫さんによると
サポーカー補助金導入の背景には政府による交通事故死者数の減少目標があります。
いわゆる被害軽減ブレーキ普及が普及、11月以降は全新型車に搭載が義務化されるので
サポカーの補助金を出し、早く新型車に乗り換えてもらおうという意図があります。

実際、交通死亡事故への高齢ドライバーの関与には気になる傾向が見られます。
交通死亡事故の「人的要因」を見ると、ドライバーが75歳未満では
「ハンドル操作のミス」「ブレーキとアクセルの踏み間違い」などの操作不適は16%ですが、
75歳以上だと30%になります。高齢になるほど運転操作のミスが多いのです。
この人間のミスをテクノロジーで防ごうというわけです。





清水さんによると、2025年までさらに1200人ほど死亡者数を減らすことが政府方針。
しかし、技術だけで実現するのは難しいと指摘します。
歩車分離をする、歩行者専用レーンをつくる、ゾーン30の導入など
道路のあり方、交通行政のあり方、取り締まり等の厳罰化を総合的に
行っていくことが目標達成に繋がると言います。

また、高齢者に対しては、免許返納を求める強い声もありますが、
クルマが必要な環境に暮らす人も少なくありません。    
そうした社会の実状に沿って対策を講じていく必要があるでしょう。

清水和夫さんによると、今後は軽自動車より小さい車でスピードの出ない、
いわゆる「グリーンスローモビリティ」の登場が期待されます。
これは地域の中だけ限定して走るような車。
技術と社会整備を通して人と車との関係を新しく作り上げていけば
お年寄りもハンドルを握れる安全な交通社会を構築できるかもしれません。

「サポカー補助金」について興味を持った方は
「サポカー補助金」の検索ワードでインターネット検索をしてみて下さい。




梅雨が明ければ本格的な夏の到来。
クルマに関しては真夏に注意しなければいけないことがあります。





JAF 東京支部 事業課 交通環境係 栗原悠羽さんによると
真夏の炎天下に車を放置した時にどんな状況になるのか?
JAFが過去に実験を行なったことがあります。

車内の室温を気温25度に合わせた状態で外気温35度の炎天下に放置したところ
10分ほどで室温が外気温を超える気温37℃を記録。
ダッシュボードの温度も非常に高くなって、最大で79度を記録した部分もありました。

子どもやペットを車内に残すのはもってのほかですが、
誤って車内に閉じ込めてしまわないように注意。
熱中症になり、命を落としてしまうこともあります。

しかし、2019年 8月にJAFが出動した「キー閉じ込み」の救援数は全国で144件。
そのうち緊急性が高いと判断してドアガラスを割るなどしたケースが9件あったそうです。





原因として、おもちゃ代わりにリモコンキーを子どもに持たせていたら
ロックボタンを押してしまったり、飼い主の戻りを待つペットが
車内のロックスイッチ、鍵のスイッチを踏んで鍵がかかってしまった、
子どもをチャルドシートに載せたて運転席に回る間に鍵をかけられてしまった、
電池が弱っていて助手席に荷物を置いた後、
運転席に回る間に鍵がかかってしまったということがあったそうです。
わずかなタイミングで思わぬ事故になってしまうことも考えられます。
鍵はしっかり自分で持っているようにしてください。





真夏は夜でも温度や湿度が高く、
熱中症になってしまうこともあります。
少しの時間であっても子どもやペットを車内に残してはいけません。

それから、例えばクルマを駐車場に停めて買い物をして戻ってきた。
車内がものすごく暑いので、冷房をMAXにして涼しくなってきた・・・
そんな時にも気をつけることがあります。

ハンドルやダッシュボードなどはまだ熱いかもしれません。
特にチャイルドシートの表面、シートベルトの金具の部分、
子どもが火傷する恐れもあるので注意が必要です。

さらに気をつけたいのが車内の火事。
衣服などに使用する冷却スプレーや冷感スプレー、
車内の消臭剤、ガラスクリーナーなど、
可燃性のガスを使用しているモノを車に放置していると
可燃性のガスの影響で缶が破裂したり、
引火するといった危険性もあるので気をつけましょう。





また、大切なものも車内に置きっぱなしにすると、
変形したり、使えなくなったりすることもあります。
JAFの実験では炎天下の車内にスマートフォンを放置したところ
1時間で使えなくなったというケースもあったそうです。

最後にさて、真夏の暑い車内で早く室内の空気を冷やしたい。
JAFの実験ではどうする方法が最も効果的だったのか?

最も早く車内を下げることができたのが、
外気導入モードの状態でエアコンを付けて、その状態で数分間、走行すること。
外気導入にすることで熱い空気が外に逃げて、
だんだんと冷たい空気で効率よく冷やすことができます。
一度冷えた空気を外に逃がしてしまうのはもったいないので、
ある程度気温が下がったところで、内気循環モードに切り替えると、
効率よく冷やすことがでますという栗原さんのアドバイスでした。
真夏の車内には充分に気をつけましょう!
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