あなたが暮らす地域には、
円形の交差点「ラウンドアバウト」はありますか?





交通事故の防止と軽減のため
海外では広く普及するラウンドアバウト 。
国内に本格導入されてから、去年の秋で5年が経ちました。

しかし、最近になって初めて導入された都道府県も多く
日本に広く浸透しているとは言えないのが実情です。
運転中に初めて直面すれば、戸惑うドライバーも多いでしょう。

今回は国内のラウンドアバウト研究の第一人者
名古屋大学 大学院 環境学 研究科 都市環境学 専攻 
中村 英樹 教授のコメントを紹介しつつ
日本のラウンドアバウトの現状をお伝えしました。





あらためてラウンドアバウトを説明しておくと
一般的な交差点は複数の道が直接交わり、交通の流れは信号で制御しています。

しかし、ラウンドアバウトでは、道が直接には交わっていません。
交差点中央に円形の道路「環道」があって、そこをクルマが時計回りに流れています。
信号はありません。

交差点に入ってきたクルマは環道内を走る他のクルマに気をつけつつ
あるいは箇所によっては一時停止後 自らも環道に入って時計回りに走ります。
そして、左折ならすぐ次の道路へ、直進なら対面にある2つめの道路へ
右折なら最後の3本目の道路へ左折をするように入り、環道を出ていきます。

少し細かい話をすると、日本ではラウンドアバウトの中でも
警察の規制範囲に該当するものは「環状交差点」とされます。





日本のラウンドアバウトは、改正道路交通法上で「環状交差点」とされ、
警察が把握している数で、去年3月現在、31都道府県 87箇所になりました。
      
そののメリット。
いろいろなことが挙げられています。


◉ 環道に合流するところ以外で出会い頭の事故が起きにくい
        
◉ 環道の走行はスピードを出しにくく、同じ方向に走っているので
  侵入してくるクルマと出合い頭にぶつかったり
  環道上で接触事故が起こっても大きな事故になりにくい

◉ クルマの交差点流入・流出のスピード低下で歩行者の横断時の安全性が向上する

◉ 信号を待っている時間を短縮できる
     
◉ 停電の時でも混乱なく交通処理が可能
      




事故数については、実際に防止効果が出ているとみられています。
今まで信号機の付いた普通の交差点や信号機のない交差点を、
ラウンドアバウトに変えた箇所の人身事故の件数は、
22ヶ所を対象とした平成30年度の末のデータで、
以前の7.37件が2件になったという報告があります。
およそ3分の1です。

ただ、中村先生によると、かなり認知度は上がってきているものの
導入が進んでいないところでは理解が十分ではありません。
そうした値域でラウンドアバウトの特徴を正しく認識、理解してもらい
可能な箇所で、普及させていくことが重要だとのこと。

もう1点、大切なことは信号機に頼らない交差点なので、
交差点の設計がとても重要だとのこと。
スピードが出てしまう、接近車両を見落しがち、
といった構造にしないように進めていくべきだというお話でした。

交通事故軽減の効果がある「ラウンドアバウト」が、
これからも全国に増えていくといいですね。

まだ通行経験がないという方は、近隣の導入箇所についての情報を見て
頭の中でシミュレーションしてみると戸惑わなくていいでしょう。
多くの場合、地方自治体のWebサイトに導入情報が載っています。





早朝や夜に屋外を歩く時に反射材を身につけていますか。
反射材は歩行者を交通事故から守る大切なツール。
警察や行政によって強く使用が呼びかけられています。
      
交通事故に遭う危険が高い子どもや高齢者は特に身に着けるべきもの。
今週は『反射材使用の効果』をお伝えしました。

去年暮れに福島県警察が1月から11月末まで
県内で起きたクルマと歩行者の死亡事故を調べたところ
夜間に起きたクルマと歩行者の交通事故は182件。
内訳は亡くなった人は17人で重軽傷を負った人が164人でした。

その方たちが反射材を身につけていたかどうかを見ると、
死亡者のうち反射材を着用していた人は17人のうち0人。
重軽傷者は164人のうち9人。

反射材の着用率が低いということもあるでしょうが、
反射材を身につけていれば、この数字はもっと減ったかもしれません。

以前、全日本交通安全協会が、
全国の1千人ほどを対象に行ったアンケート調査を見ると

<反射材を知っている人>  89.5%

<反射材が安全性向上に効果があると感じている人>  94.1%


ところが

<歩行者として反射材着用している人>  19.5%

ずいぶん少ない結果となっています。
身につけない理由として多い3つの理由は

面倒くさい
カッコ悪い
クルマや自転車がライトを点灯しているので必要だと思わない


「面倒臭い」「格好悪い」は、ひとまず置いておいて
「クルマや自転車がライトを点灯しているので必要だと思わない」を考えると
夜間に運転者から歩行者が見える距離は着ている服の色によって違ってきます。
一般的に言われているのがクルマがヘッドライトを下向きにしている時で

黒っぽい色 約26m    明るい色  約38m

これに対して

認定されている反射材の視認性 57m以上 

乾いた路面を時速60kmで走っている時
運転者が歩行者に気づき、ブレーキを踏んで
クルマが止まるまでの距離は約44m。
単純な数字上では歩行者が反射材をつけていない場合
クルマは歩行者を避けることができないことになります。
一方で57m以上先から歩行者に気づけば安全性は格段に高まります。

そして、「面倒臭い」「カッコ悪い」といった反射材を着用しない理由。
これについては、反射材もひと昔前とずいぶん様変わりしました。
ネットには「おしゃれな反射材を世界から集めた」というショップもあったりします。

夜の時間が長いフィンランドやエストニアなどでは
反射材の着用が法律で義務付けられています。
そのため、ふだんのファッションに取り入れることができる
リフレクターグッズがたくさんあります。

反射材の効果と最近の状況がわかっていただけたでしょうか。
子どもや高齢者に薦めることはもちろん、
みなさん自身も、反射材の着用、考えてみてください。


新年がスタートして10日。
皆さん、安全運転を心がけていますか。

全日本交通安全協会と毎日新聞社主催「交通安全年間スローガン」。
令和2年の標語が、去年11月に発表されています。
今週は、その主な作品を紹介しました。





「交通安全年間スローガン」には、3つの部門があります。

【一般部門 A】 運転者や、その車の同乗者へ呼びかけるもの

【一般部門 B】 歩行者・自転車利用者へ呼びかけるもの

【こども部門】中学生以下へ交通安全を呼びかけるもの


最高賞にあたる内閣総理大臣賞は各部門1つ、計3作品。
その3つを以下に紹介します。

【一般部門 A】

受賞者 坂崎 野々花さん。
川口市にある新雪運輸株式会社の監理部で働く方。

スマホより 横断歩道の 僕を見て

どんなことから標語をつくったのか。
坂崎野々花さん聞いてみました。

私はバス通勤をしているのですが、
ある時、スマホを見ながら運転するドライバーが多いと気づきました。
小学生が横断歩道を渡れずに困っているのを見たこともあり
歩行者に優しい運転をドライバーがもっとしてくれたらと思い
子供の目線に立った標語を作りました。

同じ会社に所属するプロドライバーに聞くと
決して焦らず、ゆとりを持って運転している。
ハンドルを握ると運転に集中して常に気を引き締めていると言っていました。

プロドライバーの安全運転に対する意識は
一般のドライバーの方より数十倍高いと思います。
最近、横断歩道で一時停止する車が前より増えたように感じます。
取り締まりが強化されたからかもしれませんが
歩行者に優しい運転を心がける人が
少しでも多くなればいいなと思っています。






【一般部門 B】

歩行者・自転車利用者へ交通安全を呼びかける一般部門B。
受賞者は愛媛県の高橋長英さん。
ニッポンレンタカー新居浜営業所で働く方。

夕暮れの 一番星は 反射材

      
高橋長英さんに、この標語をつくった理由を聞いてみました。

夕暮れ時に西の空を見上げた時
一際明るく光るのが「宵の明星」こと 1番星ですが
反射材の光も誰もがその存在に気づくことができる。
歩行者にとっては安全に欠かせない一番星として
しっかり身につけていただきたいと思います。

また、車や自転車のドライバーも、その光を生み出すために
早めのライトの点灯を心がけるようにしてもらいたいという願いを込めて
この作品を作りました。

ドライバー、歩行者、いずれの立場であっても
それぞれマナーをきちんと守り
交通安全の高い意識を持っていくことが大切だと思います。






【こども部門】

内閣総理大臣賞を受賞したのは
群馬県前橋市立 月田小学校4年生 中島木陽さん。


しっかりと 止まってかくにん 横だん歩道


木陽さんに、どんな思いで標語を作ったのか伺いました。


毎朝歩いて登校する時
低学年の子がよそ見をして横断歩道を渡っているので
それがなくなるといいなと思って考えました。

よそ見をしていたら低学年に注意しています。
大人もよそ見などをしないで安全に運転して欲しいです。
よろしくお願いします。






令和2年の交通安全年間スローガンを
頭の片隅において交通安全に繋げてください。

例えば、家族と一緒に自分なりの交通安全スローガンを作って発表。
そんなことをすると、より交通安全の意識が高まるかもしれません。


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