この「なるほど!交通安全」。
3月までは木曜日の放送でしたが、
これからは毎週金曜日の7:20からお届けしていきます。

そろそろ学校は始業式を迎える時期。
小学校に進学した、新学年に進級した子供が、街を歩き始めます。
環境が変わってすぐは不慣れなことも多いもの。
そこには、交通事故の危険も潜んでいます。




       
子供の生活環境が変わるこの時期。
交通事故が多いことはデータに表れています。

平成26年から去年、平成30年までの5年間、
歩行中に交通事故に遭って亡くなった方と
重傷を負った方の合計数を月別で見てみると

<全年齢層>
ワースト? 12月  ワースト? 11月  ワースト? 10月

<小学生>
ワースト? 5月  ワースト? 10月  ワースト? 4月   ワースト? 6月

       
全年齢層では秋の終わりから冬に多く
小学生は4月から6月が上位を占めます。

それでは小学生のどの学年に交通事故被害者が多いのか?
最近5年間の「歩行中」「自転車乗用中」で亡くなった
さらに重傷を負った合計数を見てみると上位は

小学2年生 1,062人
小学1年生 1,059人

       
そのあとは3年生 → 4年生 → 5年生 → 6年生と
学年が上がるにつれて、事故に遭う児童数は減っていきます。

次に小学生の歩行中の交通事故が、
どの時間帯に多いのか? 見てみると

いちばん危険なのは夕方。
16時台が最も多く、次いで15時台、17時台。
この3つの時間帯が、突出しています。
そして、少し差があり、4番目に多いのが7時台。

さらに、歩行中の小学生が、
何を目的に行動していたのかを見ると      
「下校中」が最も多くて約22%。
「登校中」も10%あり「登下校中」で3割を超えています。

その他に多い「行動目的」は「遊戯」が約21%、「訪問」が約12%。
「登下校中」には事故の潜んでいると、
お父さん、お母さんは、子供にきちんと伝えることが大切。
一緒に通学路やよく利用する道路を歩いてみることをおすすめします。





「どこに危険がありそうか?」親子で話しながら歩けば
子供の脳裏にしっかりと刻まれるでしょう。
そして、遊びに出かける時や友だちの家を訪ねる時には、
ハシャギ過ぎないように声をかけましょう。

一方で、ドライバーの方は、
子供たちの登下校時の運転に細心の注意を払って下さい。





もう1つ、子供に伝えたいのは「法令違反」をしないこと。
「法令違反」では、子供には難しいので「飛び出し」や
横断歩道のない道路部分を渡る「横断違反」
「信号無視」をしないように言いましょう。

というのも過去5年間で歩行中に交通事故で亡くなった、
重傷を負った小学生のうち法令違反をしていなかったのは34%。
反対に言うと7割の子供に法令違反があったということなのです。
      
「飛び出し」「横断違反」「信号無視」をしなければ、
交通事故に遭ってしまう確率は減ることでしょう。





「交通少年団」を知っていますか?
全国で展開するキャンペーンなどを通じて交通安全を呼びかける子供の集団。
一方で子供たち自身の成長も期待できます。





昭和40年代前半に東京都内の交通事故死者数は700〜800人になりました。
子供の死者数も100人を超えるとう事態。
こうした状況の中で子供の交通事故を防止するため
昭和45年に全国で初めて小松川警察署が小松川交通少年団を結成。
それを皮切りに全国各地で交通少年団が誕生しました。

そう説明してくださったのは東京都交通安全協会
安全対策部 部長 新田秀実さん。

現在、東京都内に「交通少年団」は98団。
連合体「東京交通少年団」も誕生していて
管轄しているのが東京都交通安全協会です。
東京都では「交通少年団」を「Boys And Girls for Safety」の頭文字をとり
略称「BAGS(バッグス)」とも呼んでいます。

BAGSは交通安全のイベントやキャンペーンで
街頭に出て、ティッシュを配ったり
高齢者が横断歩道を渡るときに保護誘導したりという
ボランティア活動を中心に行っています。





上の写真のように「東京交通少年団」には、
淡い緑の制服とオレンジの帽子があります。
暑い時期の上半身は半袖の白いシャツ。
雰囲気はボーイスカウト・ガールスカウトと似ていますね。

子供たちに交通安全メッセージの入ったグッズを渡されたり
高齢者が横断歩道を渡る時に、誘導してもらったり
大人も「気を引き締めないといけない」と思うでしょう。
      
そして、子供たちへの好影響があると新田さんは言います。
自分で守るだけではなく、人にも教えることで、交通ルールの意識が高まります。
「交通安全は何才まででいいですよ」というものではありません。
生涯教育で小さいうちから身に着けることが大事ですから」と新田さん。





イベントやキャンペーンなど
ボランティア活動を通した交通安全PRの他にも
1泊2日のリーダー研修会や鼓笛隊による演奏活動、
交通安全のことばかりで飽きるといけないので
「芋掘り」「餅つき大会」「田植え」などの
レクリエーション活動もあるそうです。
いろんな部分で人間形成にも役立ちそうですね。

入団前は恥ずかしがり屋で人前が苦手だった子供が、
交通少年団の活動を通してリーダーシップを発揮するようになり、
驚き、喜ぶ保護者も多いようです。

もうすぐ新年度。
全国各地の交通少年団は団員を募集しています。
塾やスポーツクラブ、今の子供たちは忙しい昨今。
こうした活動もためになるはず。

関心を持ったお父さん、お母さんは、
お子さんに勧めてみてはいかがでしょう?


内閣府などによる「平成23年度 東日本大震災における避難行動等に関する面接調査」は、
岩手県 381人・宮城県 382人・福島県 94人、合計で857人の住民に面接で行なったもの。

それによると車で避難した割合は、岩手県43%・宮城県63%・福島県84%。
全体では6割近い57%に相当する485人が車を使って避難したという結果が出ています。





理由について、主なものを挙げると・・・


車で避難しないと間に合わないと思った        34%
家族で避難しようと思った                32%
安全な場所まで遠くて、車でないと行けないと思った    20%
家族を探したり、迎えに行こうと思った          16%






JAF 東京支部 事業課 交通環境係 高木孝さんによると
車の避難にはリスクが伴うことも意識しておくべきです。
前述の調査では車で避難した人の34%が渋滞に巻き込まれています。

地震直後の道路危険な状態になっていること
道路がひび割れてハンドルを取られること
損壊が激しくて走行できないケース
停電によって信号が停止していることも考えられます。

交通規制が機能せず、混乱した交通状況になることも予想されます。
こうしたリスクがることを常に念頭において行動しましょう。

しかし「安全な高台までは遠い」「子どもや高齢者と一緒」「防寒対策」など
差し迫った危険に対して止むを得ない時もあるでしょう。

実際、かつては津波対策について、
「自動車避難を原則禁止」「徒歩避難を原則」としてきた内閣府は、
東日本大震災の時に車で避難した人が多く見られたことから
「自動車で安全かつ確実に避難できる方策」を検討しています。

一方、国土交通省の調査によると東日本大震災において
比較的平地の「平野部」と起伏ある「リアス部」の
津波到達以前の徒歩とクルマによる避難について、
こんなデータがあります。

<平野部>

徒 歩 — 避難速度 時速3.8km / 避難距離598m / 避難時間 9.4分
         
 車  — 避難速度 時速8.8km / 避難距離2.7km / 避難時間 18.1分


<リアス部>

徒 歩 — 避難速度 時速1.9km / 避難距離324m / 避難時間 10.1分
         
 車  — 避難速度 時速8.7km / 避難距離1.6km / 避難時間 10.9分



一概にクルマが早いわけではありません。
「もしも」の時にどんな手段で避難すべきか?
今いる場所と避難場所との距離や位置関係や道路状況などで
よりよい選択が変わるので難しいところです。

JAFの高木さんは「車を使った避難は非常に危険性が高いです。
うまく動けないくらいの可能性というのを考えておく。
徒歩や自転車を使ったほうが速やかに移動できることもあります。
自分が今どんな場所にいるのか。どのような道路がつながっているのか。
場所についての把握を日頃からいておくことが大切です。
きっちりシミュレーションしておくってことですね」と語っていました。

住んでいる地域の津波危険性、津波浸水予測図、
津波の高さ、到達予想時間等を確認しておきましょう。
      
津波予報、津波情報、避難勧告・指示等の用語の内容、
その意味を普段から理解しておくようにします。

その上で、避難場所がどこにあるか、避難経路はどこを選ぶべきか。
避難するまでに危険個所はないか、避難をする上での課題はないか。
実際にまち歩きをして確認しておきましょう。

そして、もしも大地震が起こったら、
自身の情報と現実の状況を鑑みて最良と思われる選択をするのです。

国や行政には、地域ごとのより安全な避難方法を早急に確立し、
住民への周知を図ることが求められます。




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