第28回 安全な歩行者になるために

2015/10/08

交通事故での死亡者数は、
長らく「車に乗車中」の割合が最多でした。
ところが6年前の平成21年に「歩行中」が追い抜きました。

昨年の統計では交通死亡事故数4,113人。
そのうち歩行者の交通死亡事故数は1,498人。
全体の36.4%となっています。

もう1つ「歩行者」の危険性を挙げると、
交通事故に遭った時の致死率は、
「歩行者」が「クルマ乗車中」の約9倍になります。

歩行者は生身。何にも守られない存在。
交通安全に十分気をつけて充分すぎることはありません。
今朝は一般財団法人 日本交通安全教育普及協会 普及事業部 部長 
加藤重樹さんにお話を伺い「安全な歩行者のあり方」を追跡しました。

データを見ると「歩行者」の交通事故での死亡者は高齢な世代ほど増えます。
歩行者が事故に遭う事故の要因は「過信」と「慣れ」が大きい。
若い頃には無理な横断でも咄嗟に回避出来たことが、
年をとることで反射が遅れ、同じイメージで行動すると、事故に遭っててしまうのです。

一方で「歩行者」の交通事故における「負傷」に目を向けると
高齢者を除いて圧倒的に多いのが12歳以下の子供。
家庭でお父さん、お母さんが、子供と交通安全の話をすることは大切です。

歩行者視点で交通事故を見てみると、
事故が多い時間帯は17〜20時。特に17時ぐらいの日没時。
クルマを運転する人はライトを付けるかどうかという時間帯なので、
歩行者を発見するのが遅れて事故を起こすとケースが生まれます。
対策としては明るい服装を身につけることや反射材を身につけること。
クルマやオートバイから発見されやすい状況をつくることが事故防止に繋がります。

そして、歩行者が最も交通事故に遭いやすい場所は、
道路のうち交差点や踏切などを除いた「単路」。

『横断歩道を渡らず、横断する』というケースで事故が多く起こります。
単路で多いのが、歩行者から見て、左側から来た車との衝突。
クルマの運転者が特に注意を払っているのは左からの飛び出し。
対向車線方向から人が出てくることはあまり想定していません。
歩行者は横断の時、直近の危険がある、右側から来る車だけではなく、
左から来るかもしれない車にも、注意を払うようにしましょう。

そして、「歩行中」に交通事故に遭った人のうち、
交通ルール違反をしている人は約3割いるといいます。
多いのは、子供なら「飛び出し」。
それ以上の年代では「横断歩道以外のところでの横断」。

「歩行中」の交通事故で交通ルールにを守っていた人、
違反していた人を比べると、致死率が4倍も違います。
「歩行者」は必ず交通ルールを守る行動をとりましょう。

加藤さんには「交通安全のまみむめも」を教えてもらいました。
子供がいるお父さん、お母さんは、一緒に口にしてみてください。


「ま」・・・ 待つ → 交差点でも、信号でも、渡る前にいったん待つ

「み」・・・ 見る → まわりの状況をよく見て安全確認

「む」・・・ 無理をしない → 危険な気配はやり過ごす

「め」・・・ 目立つ → 自分を目立たせることが安全に繋がる

「も」・・・ もっと知る → 自分の行動、身体機能、自分のことをもっと知る


歩行者の心がけで大切なのは、危険を探すつもりで行動するぐらいの意識。
例えば、交差点を渡る時、歩行者信号が青の場合、
同じ方向に進む車の信号も一般的には青。
右に曲がってくる車、左に曲がってくる車があるかもしれないという意識を持つ。
駐車場に停まっている車が、バックライトを付けていれば、
車がバックをしてくるかもしれないという意識を持つ。
「危険があるかもしれない」と五感を研ぎ澄ませていることが大切です。