第37回 メロディーロード

2015/12/17
クルマに乗って適正な速度で走ると
タイヤが道路の凹みを通ることでメロディーが聞こえる・・・
小さな会社のアイデアが全国で交通安全に役立っています。
今朝、追跡したのは「メロディーロード」。

「メロディーロード」を開発したのは株式会社 篠田興業。
北海道 標津町にある道路舗装などを手がけてきた会社です。
今回のコメントは、その代表取締役 篠田静男さんでした。

きっかけは30年ほど前。
道路を建設機械で走った後、鉄の下駄みたいなモノで走ったため道路に傷がつき、
その傷の跡を車で早いスピードで走ると高い音になり、ゆっくり走ると低い音になる、
これで何かメロディーが作れるかな?と思ったことでした。

それから20年ほど経った、今から10年ほど前。
篠田興業は景気悪化の煽りを受けて公共事業の受注が減少。
新たな仕事を探す必要に迫られます。
そこで、篠田さんが取り組むことにしたのはかつてのアイデアの実現。
道路の使用許可を取って試験を始めました。

なかなか難しかったそうですが篠田さんと社員の皆さんは
道路に掘る溝の「幅」でメロディーを表現することに成功します。
その詳しい仕組みは・・・

溝の感覚を狭くすると、タイヤの踏む溝の本数が増えます。
それによって起きる振動が細かいと高音になる。
反対に溝の感覚を広く設置すると溝を踏む数が少なくなって周波数が下がり低い音が出ます。
それを音楽と結び付けるために、ある溝の感覚を0.9かけると、半音上がることに気づきました。
例えば10cmの溝の後に0.9をかけた9cmの溝を彫ると半音上がる。
さらに0.9cm狭くした8.1cmの溝を彫ると1音上がる。
そんなふうに楽譜に合わせて路面に設置したのです。

何の曲をためそうかと思った時に思いついたのは北海道を舞台にした「知床旅情」。
標津町に「知床旅情」のメロディーロードが生まれました。
同じ年、偶然にも知床は世界自然遺産になったので、
メロディーロードもそれにあわせて話題にもなりました。

メロディーロードの効果は・・・
音楽に合った法定速度で走ろうという注意喚起を得られること。
道路に対して溝を横方向に彫るのでブレーキの制動効果が良くなること。
メロディーが流れることで目覚まし効果があること。

篠田興業がメロディーロードの開発を発表すると、
問い合わせや注文が入るようになりました。
他社が敷設したものを合わせると、その数は今、全国におよそ30。
メロディーは土地に縁あるものが多く選ばれています。

メロディーロードの導入によって交通安全に繋がるデータもとられています。
愛知県のトンネルで完成してすぐ、アイスバンで滑って事故が発生。
トンネル内で減速する事によって安全を計れないかとメロディーロード敷設の依頼がありました。
そこで篠田興業は「どんぐりコロコロ」を彫りました。
60kmで走ると心地よい音楽が鳴るようにしたのです。
後日、地元専門学校の生徒さん達がトンネル内の速度を追跡調査したところ、
8〜12km位の減速効果が得られているという結果が出たそうです。

「道路を削ることが危険なのでは?」という疑問を持った方もいるかもしれません。
専門用語で「グルービング」というスリップを避けるため、寒い地域の道路や、
飛行機の滑走路に溝をつくる工法がありメロディーロードもそれに準じたもの。
「危険性の心配はない」ということです。