第41回 2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー

2016/01/07

去年暮れに「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」が発表されました。
選考委員60名の投票によって決まる自動車業界の祭典。
今週は選ばれたクルマとその安全性について追跡しました。
お話をお聞きしたのは選考委員の1人で自動車評論家の菰田潔さん。

今回の受賞はMazda ロードスター。
その名の通り、2シーター、オープンスポーツカーのロードスターはいま4代目。
性能は上がり車も大きくなりました。
しかし、菰田さんによると4代目になってMazdaは考え方を一新したそうです。

本当に車の性能を出すためにはどうしたらいいのか?
走りを楽しくする為にはどうしたらいいのか?
Mazdaのスカイアクティブの考え方に基づいて作ったところ、
車両重量が約1000kg、前の車に比べれば数百キロ軽くなりました。
また、エンジンもこれまでの2ℓが1.5ℓになとなりましたが、
車が軽いために以前よりも良く走る車を完成させたのです。
めちゃくちゃ速い訳ではないけれど気持ち良く走る、
非常に「良い走り」を楽しめる車になったそうです。

『スカイアクティブ・テクノロジー』とは、
Mazdaが開発・製造する自動車技術の総称。
Mazdaはエンジン、ミッション、ボディなど
クルマ造りの技術を従来のレベルからブレイクスルーさせて、
より高い環境性能や走行性能を実現させようとしてきました。
     
その成果と言えるでしょう。
日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞車は、ここ4年のうち3年がマツダの製品。
受賞しなかった2012年も席を譲ったのはフォルクスワーゲンの「ゴルフ」。
国産車ではありませんでした。

Mazda ロードスターの安全性を菰田さんに伺ったところ、
法律で決められた装備はもちろん全部あるけれど、
ぶつからない様に運転しやすくなっている点が1番の安全装備だろうとのこと。
ぶつかってからの「ボディの衝撃吸収」、
タイヤが横滑りした時に立ち直る「横滑り防止装置」、
急ブレーキを踏んだ時の「APS」を取り入れていたとしても、
確かに、そもそも衝突事故を避けられれば、それが一番。
ハンドルを切ったら意志通りに曲がる、思い通りに停まる、
加速する、ドライバーが操りやすいことが大切。
それは楽しい走りにも繋がるはずです。

そして「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」スマートモビリティ部門、
受賞車はSUZUKI「アルト/アルトターボRS/アルトラパン」でした。
菰田さんによるとSUZUKIアルトは、軽自動車で価格が安く、
機能的に乗れることに加えて驚くほど燃費が良いクルマ。
37km/1ℓをガソリンエンジンで実現しましたが、
軽自動車でも達成は難しかっただろうとのこと。
SUZUKIは35年ほど前、アルトを47万円で発売。
リーズナブルで一般の人が買いやすい車を提示しました。
今でもその考えを守り、良い車づくりに取り組んでいるのです。

「2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」1位はマツダ ロードスター。
2位はホンダ S660(エスろくろくまる)とやはりスポーツカー。
このところスポーツカーが高い評価を受けています。

菰田さんによると、このところ安全性がずいぶん上がってきた。
すると次に求められるのは走りの楽しさ。
環境問題がクローズアップされれば課題は環境になり、
交通事故が問題になれば課題は安全性になる。
その部分がある程度解決されると「走る楽しさ」が求められるのではないかと。
それが日本カー・オブ・ザ・イヤ―に表れているのではないかとのことでした。

日進月歩で進化するクルマ
これからも安全運転で「走る」楽しみを味わいたいものです。
今年の暮れには、どんなクルマが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するのでしょうか。