第82回 スタッドレスタイヤとタイヤの冬仕様 前編

2016/10/27
10月の最終木曜日。
北国に暮らす方は愛車のタイヤを冬仕様にしたことでしょう。
一方で、雪の降る地域が広まっているこの頃。
「自分の車はどうしよう?」 と思っている方も全国には多いかもしれません。
今週と来週は自動車評論家 国沢光宏さんのガイドで
「スタッドレスタイヤとタイヤの冬仕様」を追跡します。

「スタッドレスタイヤ」 とはstud=鋲(びょう) が「less」=ない タイヤのこと。
以前、冬用タイヤの主流は鋲がある 「スパイクタイヤ」 でした。
しかし、スパイクタイヤは、道路を削って走ることで生じる粉塵(ふんじん)や
路面への影響のため1990年代に廃止となり、現在ではスタッドレスタイヤが主流です。

雪道対策には「タイヤチェーン」を巻く方法もありますが、
『ガタガタして車の乗り心地が悪くなる』
『着けたり、外したりが面倒』という側面があります。

国沢さんによると以前のスタッッドレスタイヤは、
夏タイヤに比べて性能が悪かったといいます。
音がうるさい、ハンドルがグニャグニャする、ブレーキが効かないという指摘がありました。
しかし、最近はとても性能が良くなり、一般道で走っても問題ありません。
そういう背景から雪が少しでも降る地域ではスタッドレスタイヤを履く傾向にあります。
雪が年間、10日ぐらい降るところはもちろん、
東京のように年2〜3回しか降らないようなところでも、
人によっては雪が降る地方に行くこともあるので履く方は多いということです。

実は「雪道」とひとくちに言っても、その状態はさまざま。
その中で交通安全のために最も大切なのは氷の表面が溶けている道路をどう走るか。
雪の降りたてはどんなタイヤでも走れてしまうもの。
長靴の裏のように溝がしっかりあればいいのです。
でも、氷を金属のトングで取ろうとしても滑ってしまうように、
アイスバーンの上を硬いモノで走ろうとしても滑ってしまいます。
氷上を走るには表面の水をいちど拭いて無くし、それから路面を掴むロジックが必要。
これは製品によって決定的な差が出るのです。

そのためスタッドレスタイヤはノーマルタイヤと比較すると
わかりやすい特徴がいくつかあります。

ゴムの柔らかさ
       
温度が低い環境ではノーマルタイヤは硬くなり、
路面をつかむグリップ力が落ちます。
スタッドレスタイヤには低温でも硬くならない柔らかなゴムを使い、
の粘着摩擦力で路面をしっかりグリップします。


溝の深さ

タイヤの溝をノーマルタイヤより深く多くすることによって、
滑りの原因となる路面上の水を遠心力で掻き出せるようになっています。


たくさん入った細かな横溝(サイプ)

タイヤの路面への接触面を増やして摩擦力を高めるとともに
タイヤが路面をひっかく力を大きくしてグリップ力を向上させます。
また、隙間に水を吸収してミクロの水膜をなくす働きもあります。

そして、スタッドレスタイヤで覚えておきたいのが「発泡ゴム」という素材。
発砲ゴムはファイバータオルで拭いた瞬間のような氷をしっかりとグリップします。
ゴムの穴の開け方も均一にしたり、細かくしたり、日々向上しているとのこと。
スタッドレスタイヤの導入を考えている方は、
こうした素材についても意識してみて下さい。

来週はこの続き。
スタッドレスタイヤの選び方、替え時などについてお伝えします。