第89回 風見しんごさんが語る交通事故体験 後編

2016/12/08

事故が起こる数秒前のふだんの生活と
事故が起こった数秒後の現場のギャップが大きすぎて
とても受け入れることができなかったと語る風見しんごさん。

9年という年月は事故のことを思い出した瞬間に、
感情に流されないよう気持ちを抑える術や
生活していく心を身につけることを可能にしました。
でも、その長い歳月をもってしても、
事故の光景や悲しさを忘れることはありません。

そんなことがないように
小さな子供がいるお父さん、お母さんには、
通学路を一緒に歩いてみてほしいといいます。

何度か一緒に歩けば、危険なポイントがわかるもの。
それを子供に伝えれば、子供はできるだけ気をつけるのです。

ただ、最近の交通事故は、どんなに気をつけたとしても、
被害者が生まれてしまうといったタイプが多発。
いくら子供たちに歩道の内側をみんなで列になって歩くように注意しても
そこに車が突っ込んでくれば、子供の安全は一瞬にして吹き飛びます。
車のハンドルを握る大人が子供たちの安全を守るしかないのです。

今年の春、風見しんごさんは、
娘の「えみる」さんが亡くなってから1年後の
「えみるの赤いランドセル」に続く2冊目の本を出版しました。
タイトルは「さくらのとんねる 二十歳のえみる」。
なぜ、9年後というタイミングで、エッセイを綴ったのか。

前回の本は「えみる」さんが生きた証を残したいと執筆したもの。
今回は、前作からの時間をどんな気持ちで生きてきたか知りたいという依頼があり、
その後の人生を家族がいかに過ごしてきたか
「えみる」さんに手紙を書く気持ちで綴ったといいます。

今年、2016年は「えみる」さんが生きていれば二十歳、成人になっていた年。
このような悲劇を1つでも減らすことを社会全体が考えるべきです。
風見しんごさんの交通安全啓蒙活動は、その目的に大きく貢献しています。