第126回 煽り運転の対処法

2017/08/24

円滑な交通を乱さない速度で走っているのに
後ろの車が車間を開けずピッタリとついてくる。
スピードを上げても追いかけてくる。
パッシングする クラクションを鳴らす 幅寄せする いわゆる「煽り運転」。
多くのドライバーが、遭遇したことがあるのではないでしょうか。
それに対して頭に血が上り こちらが事故を起こしてしまう、
あるいは巻き込まれてしまったらたまったものではありません。

煽り運転。
大きな事故も少なからず起こっています。


【平成22年 8月 静岡県 三島市】
 
後方の車が前のバイクを煽り
煽られたバイクはトラックに衝突
載っていた少年2人が死傷しました


【平成24年 9月 栃木県 矢板市】

後続車が前の車を煽り
前の車は交差点に出てしまい他の車と衝突
運転手が意識不明の重体になりました


「煽り運転」は法律違反。
東京麹町のみらい総合法律事務所の吉田太郎弁護士によると
煽り運転は「煽り運転をしてはいけない」という直接表現した規定はありません。

しかし 道路交通法の26条で車間距離を保持しなさいと定められています。
車両等は同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行する時は
その直前の車両等が急に停止した時においても
これに追突するのを避けることが出来るよう
必要な距離を保たなければいけません。

煽り運転は前の車と後ろの車の距離が詰まる事。
これは適切な距離とは言えません。
道路交通法26条の禁止事項に当てはまります。

8年前の2009年。
「煽り運転」の取り締まりを強化するため
車間距離を保持しないことに対する罰則は強化されました。
高速道路の死亡事故のうち衝突事故の割合が非常に多かったためです。


【2007年】 
高速道路での死亡事故245件
そのうち車間距離の不保持・衝突事故による死亡事故 56件
およそ23%

【2008年】 
高速道路での死亡事故196件
そのうち車間距離の不保持・衝突事故による死亡事故 45件
およそ23%


車間距離の不保持・衝突事故による死亡事故がすべて
ピッタリと車の鼻先をつけて煽ったり
スピードを上げて追い回したりということではないでしょうが
単純に必要な車間距離を保たなければ危険が増すとわかります。

吉田太郎弁護士によると 
罰則が強化されて法律上 車間距離不保持はどうなったかというと

一般道路で車間距離を適切に保持しない場合は5万円以下の罰金。
高速道路では5万円以下の罰金。あるいは3か月以上の懲役です。
死亡事件や傷害事件などに至らなくても懲役という事もありうるという事になりました。

また 煽り運転が危険運転致死傷罪における危険運転とに判断された場合には
人をケガさせた場合は15年以下の懲役になる可能性があります。
仮に人を死亡させた場合には1年以上20年以下の有期懲役に処せられます。

罰則が強化されたといっても
かまわずに煽り運転をしてくるドライバーはいるでしょう。
そうされた場合 どう対応するのかも大切なことです。

意地を張って邪魔をしようという気持ちを持つのはやめましょう。
環境が許すなら道を譲って先に行かせること。
ただ狭い山道など なかなか後ろの車をやり過ごせない場合は
後ろの車は気にせず自分の運転に集中するようにしましょう。

走っている中で先に行かせるスペースが見つけられたら
停止したり スペースに車を寄せたりして 先に進ませます。
自分が事故の当事者にならないという事を心がける事が大切です。

煽り運転に遭遇した時は
事故を起こしたり、巻き込まれてしまわないよう冷静に対処しましょう。
そして 当たり前ですが決して「煽り運転」をしないことを肝に銘じて下さい。