第146回 2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー

2018/01/11

年末に「2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー」が発表されました。
選考対象は前年11月1日からの1年間に日本で発表された車種。
まずは60名の選考委員が それぞれ「10ベストカー」を投票。
得票数の多かった10台がカー・オブ・ザ・イヤー候補として残ります。
      
最終投票での各選考委員のもち点は25。
そのうちの10点を最も高く評価する1台につけて残りを他の4車に配分。
獲得点数のトップになった車種がカー・オブ・ザ・イヤーの称号を獲得します。

今回対象に輝いたのはボルボ XC60。
ボルボは初の栄冠でした。





38回を数える歴史の中でも?度目の外国車による受賞。
自動車評論家で日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴30年の菰田潔さんによると
ボルボXC60の受賞には流れがあったといいます。
遡ることその1年前に発売されたのがボルボXC90シリーズ。
これが莫大な資金をかけて開発された車でした。

ふつうメーカーが新しい車を作る時のコストは数千億円規模。
ところがボルボはXC90に1兆3千億円を投じました。
感じられるのは徹底的にいい車を作ろうという意思。

そのプラットフォームを使って製造したのが少し小さめのXC60です。
これもXC90の流れを受けてすごくいい車として完成したとのこと。

乗ってもいい。デザインもいい。質感も高い。安全性の装備も優れている。
その結果 最終投票でボルボCX60に10点を入れた選考委員は9人。
10点獲得人数では10台中4番目でしたが
ほぼ全ての選考委員がCX60を5番目までに選択。
ポイント0が他の車種と比べて圧倒的に少なかったそうです。
かくしてボルボCX60は最高点を獲得。
広く評価されるポテンシャルを持っていたことの証でしょう。

ところでボルボといえば かつてはボディの頑丈さがセールスポイントでした。
そうした安全面は 今はどうなのか菰田さんに尋ねたところ

固ければ固い方が良いと思われていた時代は変わったそうです。
車内の安全性だけを考えると攻撃性が強くなってしまう。
そこで今は丈夫な部分と衝撃吸収する部分が分けらています。
例えば 歩行者を撥ねてしまった時のため前方は柔らかく 
ボンネットに頭ぶつけても怪我しないようになってるのです。
そしてこれは既にに世界各国の車に共通のこと。

そして 菰田さん曰く「全ての車種の安全機能は洗練」されてきています。
前方をレーダー、レーザー、カメラを付けて認識。
後方もバック時に30m以内に近づく車がいるとドライバーに知らせるアラーム機能。

ADAS(advanced driver assistance system)」
と呼ばれる運転者支援システムが当たり前になっています。
古い車を大事に使う美徳はもちろんんあります。
しかし 安全性という観点だけから見れば
新しいほど良い車になってると言えそうです。

そして 2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー
イノベーション部門賞に輝いたのがトヨタ プリウスPHV。





菰田潔さんによると モータリゼーションは今 大きな転換期。
ハイブリッドよりも大きなバッテリーを積んで
家庭で充電できるプラグインハイブリッド車は
これから世界でさらに増えていくことでしょう。

自動車メーカーが可及的速やかに解決する必要があるCO2排出量。
2021年にはメーカー毎に95g/1km以下という基準が求められます
普通のエンジン車では どんなに頑張っても100gを切るのがやっと。
ところがPHVだと40g - 50g。

今回優勝したボルボも2020年の全車電動化を明らかにしていますが
2, 3年後には各社PHVが圧倒的に増加。
ハイブリッド、プラグインハイブリッド、EV、
10年後には販売台数の半分はそういう車になるのではないかと
菰田潔さんはおっしゃっていました。