第134回 ヒヤリ地図

2017/10/19

『ヒヤリ地図』を知っていましたか?
コミュニティに潜む交通事故の危険情報を共有。
時に危険な環境の改善提案まで行う施策。
これを契機にもっと全国に広まることを期待します。

発案者は千葉大学 名誉教授 鈴木春男さん。
長年 交通安全教育に携わっていらっしゃった方です。





鈴木先生によると 交通安全教育は教える側が一方的に
どうすれば安全かということを講義形式で教えても成果は上がりません。
学ぶ側が自分から参加、体験、実践する中で効果が現れるもの。
鈴木さんは以前からこのことを訴え
そうした交通安全教育が行われることに尽力してきました。

その中で20年前に生まれたのが「ヒヤリ地図」。
鈴木さんは交通の研究機関「国際交通安全学会」で
プロジェクトのリーダーとして「高齢者の生活と移動」を研究。
交通事故の危険から高齢者を守る施策として考案したのです。

「ヒヤリ地図」作成には地域の住民たちが参加します。
それぞれのヒヤリ体験を地図の上になんらかの形で表現。
例えば歩いていてヒヤリとした場所には赤いシールを貼る。
自転車に乗っていてヒヤリとした場所には黄色。
車を運転していてヒヤっとした場所には青というように。

すると地域の中でヒヤリ体験の多い場所が浮かび上がります。
この情報を地域で共有し対策を講じて安全なまちづくりを目指すのです。

時には「ヒヤリ体験」が多かった場について体験談を話し 聞く会合を開きます。
時には みんなで現場を見て どうすれば「ヒヤリ体験」が無くなるか話し合います。
その結論を警察や道路管理者に聞いてもらい改善に役立てます。

また出来上がったヒヤリ地図は公民館ような公共の場に展示。
地域住民が地図を見てどこが危ないか確認できるようにして
さらに自らのヒヤリ体験も地図に盛り込んでもらえるようにします。

街には少なからず交通事故が起きやすい場所が存在するもの。
事故にならなかった事象を収集することで 来たるべき危険を回避する。
「ヒヤリ地図」は間違いなく 地域の交通安全に有効な手段と言えるでしょう。