第175回 トリックアートで事故を防ぐ

2018/08/23

「トリックアート」を見たことはありますか?
本当は平面(二次元)なのに立体(三次元)的に見えてしまう。
あるいは見る角度で見え方が変わる、不思議で、楽しい創作物です。

例えば、下の写真。
道路に穴が空いていているように見えるでしょう。
でも、これは路面に描かれた絵。


 
このように時に人間の目は勘違いし、
トリックアートは視覚の錯覚を利用しているのです。

そして、トリックアートを生かして
交通事故を防ごうという道路環境が世界にはあります。
日本でも15年ほど前からお目見えしています。
それがこちら






イメージハンプといいます。
路面に描かれている絵は立体的に見えますよね?
ドライバーは危ない!?と感じてスピードを落とします。
その結果として事故の発生を防く可能性が高まります。

このトリックアート的な手法の交通安全施策、
いま海外の横断歩道でも増えています。

中国やインドには白の縞模様のまわりに着色して、
立体ブロックに見せる横断歩道があります。
最近はアイスランドや台湾でもこの技術が導入さました。





交通安全について、道路空間の安全性を高めるため、
錯覚効果を利用した路面表示のデザインを行っている
拓殖大学 工学部 デザイン学科
 永見 豊 准教授 が、
大学の構内にある横断歩道を立体的に見えるようペイントし、
ブロック正面に「歩行者優先」という文字を入れました。





大学の構内を運転するバスの運転手4名にヒヤリングしたところ
全員が横断歩道が目立ち「歩行者優先」の文字が読みやすいと高評価。
2名が「初見では驚いたが、すぐに慣れた」という回答だったそうです。

心配なのが、立体的に見える横断歩道に驚き
急ブレーキをかけたりアクセルをブレーキと間違えてしまう危険性。
      
ただ、特定の視点でトリックアート横断歩道を見た時には
写真で撮った時のように、とても立体的に見えるのですが、
その位置に入らなければ「なんだろう?」という感じに見える程度なので、
急ブレーキをかけるほど危険ではないとのこと。

永見准教授らは現在、こうしたものを逆走対策に適用できないか検討中。
逆走しているドライバーには立体的な障害物に見えて、
正常走行のドライバーには単なる平面のペイントに見えるというものです。

人間の目の錯覚を利用した交通安全システム。
安全に留意しつつ、さらに効果的な利用へと繋がるかもしれません。