第216回 2019年春の交通安全運動 後編

2019/05/17

5月20日(月)までは「春の全国交通安全運動」の期間。
先週に続き、大切なポイントを警察庁 交通局 
交通企画課 植垣 浩太朗さんにお聞きしました。
今回のテーマ4つある全国重点ポイントの残る2つ。

(3) 全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底

シートベルトの着用は、
後部座席での着用がまだまだ徹底されていません。

後部シートベルト非装着の場合に死亡事故になる比率は、
高速道路では約9.2倍、一般道路でも約3.5倍。
命を守るためにシートベルトは全席で必ず着用して下さい。

チャイルドシートは、
6歳未満の子どもを自動車に乗せる場合は使用義務があります。
ところが、JAFと警察庁の合同調査によると使用率は7割弱。
特に5歳児の使用率は4割程度と低くなっています。

また、使用していても、正しく取り付けていた割合は4割。
チャイルドシートを正しく使用しないと
事故に遭遇した時にシートが外れてしまう
子供がシートから飛び出してしまうなど
本来の機能が発揮できない恐れがあります。
正しく装着するよう注意しましょう。


(4) 飲酒運転の根絶

飲酒運転による死亡事故は20年前と比較して大幅に減りました。
しかし、いまだに約200件の死亡事故が毎年発生しています。
免許人口当たりでは特に30歳未満の若い世代の死亡事故が多く発生しています。

今回は植垣さんに飲酒運転で死亡事故を起こし、
刑務所に服役されている方の手記を持ってきていただきました。
以下に記しておきます。

ハンドルを握る人間として決してやってはいけない飲酒運転、
毎日のように新聞やニュースでもこぞって取り上げられているにも関わらず、
「自分だけは大丈夫」、「近いから、まだ時間が早いし」、
「そんな飲んでないし」、「酔ってないし」と自分勝手な理屈や判断、
行動が原因で一人の尊い命を奪ってしまったのです。

その時は、飲んで運転している後ろめたさもあったのか、
普段よりは慎重に運転していたつもりでした。
突然、車の左側に何かの気配を感じ、
「あっ」と思った時には「ガシャン」と音がして、
自転車と共に75歳の男性をはねてしまったのです。

被害者の方は緊急手術をしましたが、
意識は戻ることなく息を引き取ったと警察の方から知らされ、
私は人の命を奪ってしまった事の重大さに改めて気づき、
何日か食事を取ることもできず、
あの時の音(ガシャン)、状況が目を閉じると再現され、眠る事ができず、
私自身が死んでお詫びをしなければと何度も何度も考えていました。

しかし、私が死んだからといって何の解決にもならないと考え直し、
一生を掛け償い続けなければならないと思い直しました。
私は逮捕され拘置されていましたので、手紙で謝罪をし、
妻や両親が私の代わりに被害者ご家族に会い、謝罪をしてもらっていました。

土下座をして謝罪した事を面会の時に聞き、
妻や両親にまで辛い思いをさせてしまっている事に
本当に情けない気持ちで目を合わせることもできませんでした。

この手記を読まれた皆様にお願いです。
決して、飲酒運転を許さないでください。
もし身近でしている人がいるのならば、注意をし、止めさせてください。
私のような人間がこの世からいなくなって欲しいのです。

両親や妻、子どもたちにこんな辛い思いを与えないでください。
自分一人の命ではないのです。事故を起こしてから、
人の命を奪ってから気づいたのでは遅いのです。
命は二度と戻らないのです。
幸せな生活の日々は、戻ってこないのです。

読み終えるとなんとも言えない悲しく、無念な気持ちになる手記です。
お酒を飲んだら絶対に運転をしないこと。
また、周りにいる人も運転する人にお酒を飲ませない、
お酒を飲んだ人に運転させない、お酒を飲んだ人に車を提供しない、
飲酒運転のない社会を築いていきたいものです。