第221回 ハイドロプレーニング現象

2019/06/21

雨の季節になりました。
濡れた路面は車が滑りやすいもの。
状況によってはハンドルやブレーキが効かなくなることもあります。
今回のテーマは『ハイドロプレーニング現象』でした。





「雨で濡れた道路は乾燥している道路よりスリップしやすい」。
多くのドライバーは実感した経験があるのではないでしょうか。
    
全日本交通安全協会によると
雨の日の交通事故発生率は晴れの日の約5倍。
全てが路面の滑りやすさのせいではないものの
事故発生率が高くなる原因の1つにはなっています。

中でも気をつけたいのが「ハイドロプレーニング現象」。
hydroplaneは、水面を滑って走る水上飛行機。
クルマの運転でも同じようにタイヤが路面を滑って
コントロールが効かなくなることから名付けられました。
「アクアプレーニング現象」や「水膜現象」とも言われます。





クルマのタイヤの溝には走行している路面の水を排水する能力があります。
しかし、さまざまな条件が整ってしまうと排水が追いつかなくなります。

すると、路面とタイヤの間に水の膜ができて、車がその上に浮かんだ状態に。
タイヤは路面と接していないので、ハンドルを動かしても、
ブレーキを踏んでも、クルマを制御することはできません。
これが「ハイドロプレーニング現象」。





ハイドロプレーニング現象が起こりやすい条件は複数あります。


水が多い道路

タイヤの溝の排水能力が限界を超えるところで起こります


雨の降り始め

雨の降り始めは路面にほこりや泥が浮き上がり滑りやすくなるため


スピードの出し過ぎ

夏タイヤ 80キロ以上
スノータイヤ 60キロ以上で起こりやすいとされています
スピードを出しすぎないことが大切


タイヤの溝の磨耗

タイヤの溝がすり減れば排水能力も低くなります
新品タイヤの溝は8mm〜9mm
道路交通法の違反となるのはスリップサインが現れる1.6mmからですが
一般に溝が半減したぐらいでのタイヤ交換が推奨されています


タイヤの空気圧不足

空気圧が不足するとタイヤの路面をつかむ力が弱まって
「ハイドロプレーニング現象」が起きやすくなります。
タイヤの溝の減りと空気圧をチェックしましょう





続いて、どんなところで、
ハイドロプレーニング現象が起きやすいか? 
 
<高速道路> 

速いスピードで起こるので最も危険


<窪みのある路面> 

深い水たまりがあると排水が追いつかないため


<トンネルの出口> 

路面が乾いていたトンネルを抜けて路面に水が張っている状況に注意
急激に路面状況が変わるところで起こる傾向があるとされています


ハイドロプレーニング現象に見舞われたらどうすればいいのか? 
その対処法。

ハンドルもブレーキも効かない状態。
なかなか難しいかもしれませんが「何も操作しない」ことが基本。
クルマが徐々に減速してタイヤが路面をつかむのを待ちます。
急ハンドルや急ブレーキは、タイヤが路面をつかんだ瞬間、
クルマが高速スピンしてしまう危険を孕んでいます。

ハイドロプレーニング現象は起こってしまわないよう
タイヤの状態、環境、スピードに注意して運転する心がけが重要です。

ハイドロプレーニング現象がどんな減少なのか?
そして、その原因がわかったでしょうか。
雨の季節は十分に注意してハンドルを握って下さい