第345回 移動式オービス

2021/11/12
「自動速度取締装置」= 通称オービス。
この「オービス」という言葉を聴いて、
あまり快く思わないドライバーがいるかもしれませんが、
スピード超過していなければオービスに引っかかることはありません。





オービスには、いろいろなタイプがありますが、
最近、全国に増えているのが、
以前と比較して容易に持ち運びや設置が出来るようになった移動式のもの。
今週は交通問題を中心に執筆しているジャーナリスト 中島みなみ さんにお話を伺い
「移動式オービス」をテーマにお届けしました。





オービスはスピード違反を捕まえるための測定器とカメラを組み合わせた機材。
設置と広い場所と高額の費用がかかります。
しかし、いちど設置して場所を知られてしまうと
スピード違反の抑制効果が時間とともに薄れる問題点がありました。

また、最近の事故傾向を見ると幹線道路の事故よりも
通学路や生活道路での無謀運転による歩行者の被害が目立ちます。

国土交通省によるデータ「道路の種類別の交通事故件数の推移」を見ると
幹線道路は平成16年の72万件が令和2年には22万件と7割減。
生活道路は同じ期間で21万件が8万件、6割減と減少幅が小さいのです。





そこで、警察庁は速度に対する考え方を鮮明にしています。
高速道路の一部では最高速度が100キロが120キロに変更されたように
危険の少ないスピードを上げられる幹線道路では制限時速を引き上げる。
一方で生活道路でスピードを出すような危険行為を積極的に取り締まっていく。
そこで、小回りの利く速度取り締まり装置、
新しい移動式オービスが全国に登場しているのです。

警察庁の調査によると道路で車と衝突した際の歩行者の致死率は、
車が時速50キロ台だと16.6%ですが30キロ未満だと0.9%まで減少するからです。










警察庁「速度違反自動取締装置について」より



新しい移動式オービスは限りなくコンパクで少人数で扱えます。
1つは記念写真を撮影するような三脚の上に機材を取り付けるだけのもの。
生活道路など簡単にいろんなところに移動ができます。
そして、「持ち運び」という意味ではなく、
簡単に設置と取り外しができるというタイプもお目見えしました。
歩行者用信号のような形状で小学校につながるような横断歩道などに設置します。
単に三脚に立てるものだけではなく、いろんな形に変化を遂げています。

ドライバーの皆さん、
これから生活道路に移動式オービスが増えていくだろうということについて
どう受け止めたでしょうか。

万が一、ネガティブな感情を持った方がいるとしたら、
ハンドルを握る時の意識をあらためた方がいいでしょう。
スピードを取り締まるのは歩行者や自転車に乗る人の命を守るためなのです。