第367回 ロードキルに注意!

2022/04/15
全国を走る道路の多くの部分は山間部を切り拓いて整備されてきました。
一方で、最近は野生動物が増加。
クルマに衝突する、轢かれる機会が増えています。
今週は「ロードキルに注意!」をお送りしました。





動物がクルマに轢かれる「ロードキル」。
日本で問題視され始めたのは2000年頃のことです。
高速道路では2002年のおよそ3万6千件が2018年には4万7千件に増加。
平均換算すると1日に全国で130件です。

モータリングライターの藤田竜太さんによると
高速道路では約4割がタヌキ。
平成29年度には、一般道を含めてタヌキは最大34万頭が犠牲になっています。

次が猫。NPO法人 人と動物の共生センター調べでは2019年に約29万頭。
これは猫の年間殺処分数の約10倍です。
猫が関わる事故は山間部よりもむしろ街中。
都市部を走行する時も「ロードキル」を意識すべきです。

その他、ウサギ、イタチ、キツネ、シカ、イノシシ、クマ、カメなども報告されています。
また、そうした轢死した動物を食べようとしてカラスや鳶が轢かれるケースもあります。
高速道路だと鳥類が27%がロードキルの対象になってるというデータもあります。





いま多くの野生動物が数を増やしています。
2018年での40年間でシカの分布域は2.7倍、イノシシは1.9倍に拡大。

例えば北海道におけるシカが関係する交通事故の発生状況は
令和3年中に4009件で前年比プラス498件。
5年連続の最多記録更新しました。
ロードキルの危険性は高まっていることが伺えます。





それではロードキルは人間にどんな危険が伴うのか。
例えば前述の北海道の鹿に関わる交通事故を見てみると
幸いなことに死亡事故は起きていませんが人身事故は2件発生しています。
いずれも鹿の飛び出しで急ブレーキをかけたクルマに
後ろを走っていた後続車が追突するというケースでした。

また、跳ねた動物や鳥がフロントガラスに当たって視界を奪われたり、
飛び出した動物を避けようとして急ハンドルや急ブレーキをかけたことで
対向車線に車が飛び出したり、縁石に当たったり、側溝に落ちたり、
後続車に追突されたり、横転するなどの事故は多数報告されてます。

これは北海道に限ったことではありません。
全国のどこを走っていても「いつ動物が飛び出してくるかもしれない」
という意識を持ってハンドルを握ることが大切です。

そして「動物注意」の標識を見かけたらスピードを落とす。
多くの動物は夜行性なので夜は積極的にハイビームを活用する。
闇に光る動物の目を見つけた時は要注意。





ロードキルは頭にあったが、
急に、動物が走行する道路に飛び出してきた!!どんな対処をするべきか? 

モータリングライターの藤田竜太さんによると
高速道路など速いスピードで熊や鹿など大型の動物にぶつかりそうになった時は
同乗者が怪我をする衝突エネルギーになりかねないので急ブレーキをかける。
フルブレーキをかけてABSが効くまでブレーキを踏み込む。
逆に小さい動物の場合は急ハンドルや急ブレーキで追突や転倒などのリスクを生じるので
動物の方に避けて!と願いながらそのまま通過することが一番ということでした。





運悪く動物に衝突してしまった時の対応は?
他の事故と同じように警察に連絡することが必要。
道路緊急ダイヤル#9910に連絡して報告します。

動物を保護処置したいと思うかもしれませんが
野生動物は感染症の危険もあるので素手では触らない。
イノシシやクマなどは親子連れの可能性があり
先に通過してた親が戻ってくるということも考えられます。
さらに倒れている動物が近くに行ったら急に暴れ出すことも考えられます。
衝突した個体には無闇に近づかず、安全な場所に車を停めて、
警察などが到着するのを待つようにしましょう。

また、車が大きく損傷してしまった場合は、
JAFなどのロードサービスの手配も必要になります。
ロードキルは単独事故扱い。車両保険が使える場合もありますが
車対車の限定保険だと修理費が下りないこともあります。
そのあたりを保険会社に相談する場合も保険適用には警察への事故届けが必要。
覚えておいて下さい。