第372回 厳しくなった高齢者の免許更新

2022/05/20
先週金曜日、改正された道路交通法が施行。
75歳以上が運転免許証を更新する際の基準が厳しくなりました。

番組リスナーの中には、
いま現在、あるいは近い将来、75歳以上に該当する方、
また、家族に75歳以上のドライバーがいる方が、いらっしゃるでしょう。

今回は、何がどう変わったのか? 
自動車評論家 諸星陽一さんにお話を伺い、お伝えしました。





まず、間違って認識していただきたくないのは、
他の年齢層と同じように、高齢者が交通事故で最も責任が重い、
第一当事者になるケースは減っているということ。

以下は警視庁が出したデータ。
ここで言う“高齢運転者”は65歳以上ですが
2012年の6,600件が、2021年は4,370件になっています。

高齢化が進む日本。
10年前より65歳以上の人口が増えていることを考慮すると
減少しているという点については、評価されるべきでしょう。





このことをきちんと認識した上で、
高齢者が第一当事者の交通事故も無くなったわけではないので
ゼロに向けてさらに問題を解決していく必要があります。

今回の道交法改正は、その施策の1つですが、
ポイントは大きく3つあります。


1) 認知機能検査の検査方法の変更

2) 高齢者講習の一元化

3)運転技能検査の新設


1点目の認知機能検査は前からあったもの。
現行の「時計描画」が無くなり、「手がかり再生」と「時間の見当識」のみになります。
「手がかり再生」は16枚の絵を見て何が書かれていたのかを答える検査。
「時間の見当識」は、今日が何年何月何日で何曜日で何時かを答える検査です。

2点目の高齢者講習の一元化。
2時間講習と3時間講習の2つのプログラムがあった高齢者講習が2時間講習だけになります。
2時間の内容は主に視力を測る運転適性検査を 30 分、
座学の講義を 30 分、実車指導が60 分です。

3点目の「運転技能検査の新設」。これが大きな点。
75歳以上のドライバーが免許を更新する際、
過去3年間に「一定の違反歴」がある人は、実車による運転技能検査を受検し、
合格しないと免許の更新ができなくなります。
「一定の違反」とは信号無視、速度超過、踏切不停止、横断歩行者等妨害、
安全運転義務違反、携帯電話使用など。





以上、3点のポイントを覚えておく、
もしくは家族や近親者に伝えてください。

最後に諸星さんからのアドバイスです。

運転することで他人に被害を及ぼしてしまう危険がある人は運転はやめましょう。
ただ、運転できるのであれば、運転をしていた方がより健康に生活できます。
自動ブレーキや誤発進の防止装置がついた「サポカー」という選択肢もあります。

どうしても免許を返納しなければいけない方は、
返した後の生活を自分の中できちんと計画を立てましょう。
移動はどうするのか。病院に行くにはどうしたらいいのか。
車しか移動手段がないような地域もあるので
そういう地域にお住まいの方は行政に相談することも大切です。