第427回 理想的なブレーキの使い方

2023/06/08
見通しの悪い交差点や車の死角ができる場所を
車で走行中に「危ない!」と思った時、
事故を未然に防ぐ最大の手段がブレーキです。

運転をしている時は常にブレーキを意識して、
すぐに踏めるようにしているのが優れたドライバーの条件。

今回は『理想的なブレーキの使い方』と題して、
運転を科学する株式会社 ディ・クリエイト 代表取締役
上西 一美さんに話を聞き「構えブレーキ」と「予測ブレーキ」について伝えました。





まずは「構えブレーキ」。
これはプロの運転手の業界で足をアクセルから離して、
ブレーキペダルを踏まずにいつでも踏めるようにしておく動作のこと。

上西さんによるとアクセルを踏み込んだ状態から
ブレーキに踏み替えるまでは一般に0.2秒とされています。

0.2秒はわずかな時間ではありますが、
40km/hで走っていると1秒で11メートル進むので
0.2秒だと2メートルから3メートルほどとなります。

この違いで接触事故になるかならないかという状況が出てきます。
1cm手前で止まれたら事故にならないかもしれません。
だから、プロ運転手の業界では、その0.2秒をとても大事にしています。





この「構えブレーキ」を特に使うべきところは信号がない交差点、
特に道路幅5.5メートル以下の、いわゆる「生活道路」。

生活道路の交差点には信号がなく
交差する道路の一方が一時停止になっていることが多いもの。
そして、そうした交差点は往々にして見通しが悪い。
そのため徐行指示がありますが、徐行ではブレーキが間に合わないかもしれません。
だから「構えブレーキ」の必要性があるのです。

さらに、人は想定せずに運転していた場合
咄嗟にブレーキを踏んだつもりが、アクセルを踏んでしまうことも多い。
その意味で「構えブレーキ」は、踏み間違えないという効果もあります。





続いては「予測ブレーキ」。
これは経験上「なんだか危ないな」と思ったら、とりあえず軽くブレーキを踏む運転行為。
そうすれば本当に危険が目の前に現れても、さらにブレーキを踏めばいいわけですし、
万が一、事故になってしまった場合でも、より小さな事故で済む可能性も生まれます。





「もしもの時はハンドルで事故を避けられる」と思っている方もいるかもしれません。
でも、上西さんによると、ハンドル操作で事故を回避しようというのは、
「このままだったらぶつかってしまう」っていう時の緊急対処。
もしも、ハンドル操作でその事故が回避されたとしても
後続車と当たってしまったり、他のリスクが生じます。
つまり、その最終手段を使わなくて済む運転を心がける必要があります。

それが足をブレーキペダルに置いて、
いつでも踏める状態にしておく「構えブレーキ」と
危険な匂いを察知したら、とりあえず軽く踏む「予測ブレーキ」。
この2つを日頃の運転に取り入れて、事故を呼び込まないカーライフを続けましょう!