明日9月21日から30日 月曜日までの10日間は、
「令和元年 秋の全国交通安全運動」実施期間。

今週と来週は、警察庁 交通局 交通企画課
熊谷 優子さんをお迎えして重点ポイントをお伝えします。

2019年の交通事故発生状況は7月末現在の死者数1,647人。
前年の同時期から約13%減っています。
しかし、高齢運転者による交通事故、
幼い子供が被害に遭う事故が社会問題となっています。

今回の「秋の全国交通安全運動」。
重点ポイントは5つあります。

?子供と高齢者の安全な通行の確保

?高齢運転者の交通事故防止

?夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止

?全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底

?飲酒運転の根絶



?の「子供と高齢者の安全な通行の確保」については来週に譲り、
今週はそれに続く4つのポイントを解説していただきました。


【高齢者運転の交通事故防止】

頻繁に報道される高齢者運転の事故。
防ぐためにはどうすればいいのかということは大きな問題です。

熊谷さんによると、今年の7月末現在で、
75歳以上の高齢運転者による死亡事故は205件。
前年同時期比べて49件減少しているものの長期的には横ばい状態。
御家族に安全な運転に不安のある方がいる場合は、
安全な運転や運転免許証の自主返納について、
話し合う機会を持ってほしいとのこと。
万が一、大きな事故を起こしてしまってからでは取り返しがつきません。
話し合いの機会をぜひ持って下さい。


【夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗車中の交通事故防止】

夕暮れ時や夜間は、交通事故に遭う歩行者・自転車運転者が多くなります。
特にこれからのこれから10月〜12月は、
日没前後の1時間に起こる交通事故件数が急激に増えてきます。
ドライバーは早めのヘッドライト点灯を心がけましょう。
対向車や先行車がいない時はハイビームを活用して下さい。
歩行者や自転車は反射材やライトを使用しましょう。
自転車は死者の約6割が頭部を損傷していることから、
ヘルメットを着用するようにして下さい。


【全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底】

シートベルトは後部座席での着用が、まだ徹底されていないとのこと。
後部座席は運転席と助手席のシートが目前にあるので比較的安全と思われがちです。
しかし、後部座席同乗者のシートベルト非装着時に死亡する比率は、
着用時と比較して高速道路では9.2倍、一般道路でも3.5倍。
命を守るためにシートベルトは全席で必ず着用して下さい。

そして、チャイルドシートは
警察庁とJAFの合同調査によると使用率は約7割。
特に5歳児は半分以上が使用していなかったそうです。
また、使用していても車に正しく取り付けていた割合は半分未満。
さらにチャイルドシートに正しく座っていた子供は4割だけ。
子どもの命を守るために保護者の立場にある方は、
チャイルドシートを正しく使用するひょうにしましょう。
正しく使用していなければ、事故に遭遇してしまった時に、
本来の機能が発揮できないことがあります。


【飲酒運転の根絶】

飲酒運転による死亡事故は、未だに毎年約200件発生しています。
「少しなら大丈夫だろう」という気持ちの緩みと
自分勝手な考え方が飲酒運転に繋がっているのでしょう。

お酒を飲んだら絶対に運転をしない。
また、周りにいる人も運転する人にお酒を飲ませない、
お酒を飲んだ人に運転させない、お酒を飲んだ人に車を提供しない。
こうしたことを徹底してください。

来週は、この続き。
「令和元年 秋の交通安全運動」後編です。



心理学の1つの分野に「交通心理学」という分野があります。
これは、さまざまな交通のシーンにおける人間の行動特性を解明し、
交通事故の防止を目指す研究領域。

その見地からすると、人は性質・性格によって、
交通事故を起こしやすいタイプ、起こしにくいタイプがあります。

今週は、みなさんが「自分はどちらの部類に入るのか?」
ある程度の確認が出来る「交通心理テスト」をいくつかやってみました。
ここでは、そのおさらいをしましょう。
YESか? NOか? 自問してください


<第1問>【些細なことで、意外とすぐに「イラっと」するほうだ】 


<第2問>【特に急いでいなくてもエスカレーターは右側を歩いて進む】


<第3問>【大切な持ち物でも、どこかに忘れたり、失くしたりする性格だ



上の設問からわかることは自分が「短気」かどうか。
また「そそっかしかどうか」かどうか。
YESが多い人ほど事故を起こしやすいタイプに分類されます。
せっかちな人、そそっかしい人は、
基本的に余裕のない運転をすることが多いからです。

「一時停止しない」「スピードを出し過ぎる」「車間距離をつめて走る」。
先を急ぐ運転を日常的にしている場合も多く、
前を走る車との接触などの事故も起きやすくなります。

また、質問?の【些細なことで、意外とすぐに「イラっと」するほうだ】。
YESの人は社会問題になっている「煽り運転」の危険を秘めています。
ちょっとしたことでイラつき、運転が荒くなる、無謀な行動に出る、
といったことがないようにして下さい。
「周囲に当てはまるタイプの人がいるな」と心当たりがある方は、
機会があるごとに、注意を促しましょう。


<第4問>【イヤな事や悩み事が頭から離れず眠れないことがある】


<第5問>【人の反応が気になって 自分の意見をハッキリ言えない】



上の2つは「神経的」な部分についての設問でした。
アメリカでは離婚前後は交通事故が増えるという研究報告があるそうです。
大きな考え事があると、そちらに思考がいき、運転がおろそかになるのです。

より、その傾向が強いとみられる神経質な人は要注意です。
自分の性質を認識してハンドルを握る時は運転に集中するようにしましょう。
悩み事や心配事がある時は、運転はしないという姿勢も大切です。

また第5問の「他人が気になって自分の意見を言えない人」。
気持ちの弱さは、とっさの時に躊躇して、
必要なアクションをとれないことに繋がってしまいます。
ゆったりと落ち着いた気分で運転することを心がけて下さい。


<第6問>【正直に言って 異性にモテようと思って振舞っている】


これは「虚栄心」や「自己顕示欲」をチェックする質問。
YESの方は気をつけましょう。自分の運転能力を過信する。
自分の能力以上のことをやろうとする可能性があります。

ドライバーのみなさんは、いちどご自身の性質・性格を見つめて、
運転に関して注意するべき点を自覚しておく。
そうしたことが、事故回避に繋がるはずです。


「交通安全少年団」という存在をご存知ですか? 
野外訓練や交通安全活動を通して交通ルールやマナーを身につけ、
学んだことを社会に伝え、将来は優しさと思いやりをもつ大人を目指す子供たち。
今週は、東京を例に、その活動を紹介しました。

東京都内では、98の交通安全協会が、
管轄地域で交通少年団を結成し、活動を行なっています。
団員数は3千人ほど。その集合体が「東京交通少年団」です。

高度経済成長期まっただ中の昭和40年代前半。
交通事故死者数は東京都内だけで毎年700人 から 800人にもいました。
子どもの死者数も100人以上。

そんな状況の中、昭和45年、
全国で初めて東京の小松川で「交通少年団」が結成されました。

子どもの交通事故をなくすため、子どもたち自身を主体とした組織を結成。
活動を通じて、子どもに交通ルールや交通マナーを身につけてもらい、
交通安全意識が高まることを、目指したのです。

翌年、小松川地域では、子どもの交通事故が激減。
このことが注目され、全国で交通少年団が結成されていきます。

そして、東京では4年後の昭和49年、
地域交通少年団の連合体「東京交通少年団」が誕生しました。


それから45年。
今では夏休み中に「東京交通少年団」はリーダー研修会を開催しています。
今年も8月19 日と20日に1泊2日で行われました。
その目的は参加している子どもたちが、
各地域にある交通少年団のリーダー的な団員になること。

川奈副団長にお話を伺ったところ
こうした経験を踏まえて団員同士が親睦を深めるとともに
規律を守ることを身につけ、大人になった時に、
交通ルールに対する責任を持って成長していれば未来の事故防止に繋がる。
同時に友達との交流を深めることはいじめがない社会づくりに繋がる。
そう話して下さいました。

真面目な交通ルールの講習ばかりでは
さすがに子どもたちも飽きてしまいます。
そこで、楽しみながら、真剣に交通安全の知識を習得できるよう、
考えて、カリキュラムも作られているのだとか。
    
リーダー候補の研修会なので、もともとは知らない子どもたちの集まり。
少しずつ打ち解けていって、最後には泣きながらお別れする子もいるとか(笑)

参加している子どもたちに話を聞いたところ
いろんな感想を聞かせてくれました。

・自転車でヘルメットを被らなかったとしたら、
 交通事故に遭った時に命を落とす危険性があることなどを学んだ

・これから全国にこのような活動があることを広めていきたい

・安全第一の事故を起こさないドライバーになりたい

・周りにある危険性
 例えばカーブで左右をきちんと確認せずに命を落とした子どももいるので、
 ちゃんと学習して気をつけていきたい。
 そして、リーダーとして習ったことを身の回りの人に伝えたい


こうした意識を持って大人になる人が増えるほど交通事故は減っていくことでしょう。
でも、 最近は「交通少年団」に参加する子どもは少なくなっています。

「交通安全教育は小さい頃から教える必要があります。
守らせるのも大人の責任。それが自己抑止に一番つながっていくと思います。
交通戦争と言われている時代に子供の事故をいかに減らしていくかということで
発足したのが交通少年団。その趣旨は今も引き継いでやっている」とは新田団長の弁。

名称はかつてからのもので「東京交通少年団」となっていますが、
4年前からキャッチフレーズ「BAGS(バッグス)」を打ち出しています。
これは「Boys And Girls for Safety」の頭文字からつくった造語。
「あらゆる安全のために活動・行動する少年少女たち」という意味です。

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