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REPORT

第144回 7月19日「扇子」前編
2026.07.19
扇子が生まれた国として有力なのは日本。
折り畳まない団扇のようなものは、古代文明の頃からありました。
中国では、高貴な人が顔を隠すための「翳(さしば)」という道具。
これが古墳時代の日本にも伝わり、翳をかたどった埴輪も発見されています。

その翳から扇子が考案されたと考えられているのが8世紀頃。
奈良時代の終わりから平安時代にかけて。

当初は、文字を書き記すための薄い木の札「木管」の端に穴を開け、
こよりでまとめて紐で繋いだ「檜扇(ひおうぎ)」と呼ばれるものでした。
これもあおいで涼をとる道具ではなく、男性貴族のメモ帳だったようです。

やがて、「檜扇」の装飾性は高まり、おしゃれアイテムとして宮中の女性にも広まります。
彼女たちは、とっさに他人の視線を遮る道具としても使ったようです。
やがて、檜扇は貴族が正装する時の必需品となり
贈答品やコミュニケーションツールにもなりました。
和歌を書いて贈ったり、花をのせて贈ったりしたことが、当時の文献に記されています。

檜扇に続いて登場したのが「蝙蝠扇(かわほりおうぎ)』。
これは、片面だけに紙を張りつけたもの。
名称は広げた形が蝙蝠に似ているからとも「紙貼り」の音が変化したとも言われています。

鎌倉時代になると、扇子は中国へ輸出されます。
続く室町時代に、中国産が「唐扇」として逆輸入され、
両面に紙を貼った扇子が完成しました。
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