2021.12.31
◆ラグビー日本代表が強くなった理由
丸山:まずは大畑さんのプロフィールを紹介させていただければと。1975年生まれで、小学3年生からラグビーを始め、関西のラグビー強豪校で活躍。大学在学中に日本代表に選出され、大学卒業後は神戸製鋼に入社。1998年から10年以上にわたり日本代表メンバーとして活躍。海外チームでも活躍し、日本代表のキャプテンをつとめ、ワールドカップにも2度の出場を果たしました。そして、2011年1月に現役引退と。体がぶつかり合うスポーツですから、(現役として)長年できることはないですよね?
大畑:オフシーズンは、毎年のようにオペをしていました。
丸山:えっ!?
大畑:けっこう(体が)ボロボロになっていましたね。
丸山:後遺症はあるんですか?
大畑:一番気にしているのが寝るときですね。寝返りで肩がはずれるんですよ。
丸山:えっ!? 肩がはずれる?
大畑:寝方によるんですけど、手が上にいってしまうと寝返りをした瞬間に“カクン”って何度かはずれたことがあって。
丸山:安眠できないですね。
大畑:怖いです。起きた瞬間にポジションが悪いとドキッとします。
丸山:ラグビーを観ていて一番怖いのは、不意をつかれたところから(タックルで)飛び込んでこられるとき。あの衝撃ってヤバくないのかなって。
大畑:状況によってはすごい衝撃を受けるんですけど、よくアメリカンフットボールと比較されるんです。アメリカンフットボールの場合、ボールを持っていなくてもぶつかられることがあるんですけど、僕らは基本的にボールを持つ機会に衝撃があるので、そこは慣れていて、“こられるな”という準備ができるんですよね。
丸山:なるほど。
大畑:どこから入られるのか、感覚のなかである程度受け身はできるようになりますね。
丸山:さすが。それがなかったら代表で69トライもね。世界記録じゃないですか。
大畑:数だけです(苦笑)。今は2015年、2019年のワールドカップでラグビーをみなさんに知ってもらえたと思うんですけど、僕の頃はちょうど間というか、松尾雄治さんや平尾誠二さんがおられた国内のラグビーが盛り上がっていた時代でしたから。
丸山:そうですね。
大畑:ワールドカップでなかなか結果が残せなくて少し人気が落ちていた時代に僕はプレーをしていたので、(69トライの記録は)ラグビー選手のなかにはこんなヤツもいるんだよという名刺代わりですね。
丸山:うん。
大畑:(現役時代に)自分のなかでずっと課題にしていたのが、野球選手やサッカー選手、ゴルファーなどプロと言われる競技、もしくはオリンピアンというカテゴリーのなかに僕らは入らないんですよね。プロスポーツでもなくオリンピック競技でもなく……。
丸山:ちょっと宙ぶらりんのところにいた感じですかね。
大畑:そうした競技にすごく憧れを持っていつつ、他の競技に対しての嫉妬ですよね。頑張っているけど、なかなか日の目に当たらない。なにかタイトルを獲らないと外に発信できないので、世界記録が近くなってきたときには“絶対に獲らなきゃいけない”と思いましたね。
丸山:今はみんな世界に出てすごいですよね。
大畑:今の選手たちはすごいです。
丸山:なにがそんなに変わったんですか?
大畑:やっぱり自信を持ちましたね。あと情報もありますね。自分たちが今どの位置にいて、どういうことをすればどうなるのかというのをしっかりと導いてもらって、そこでしっかり伴った結果が出たことによって、大きな自信につながりましたよね。
丸山:なるほど。
大畑:自信が持てたことによって、自分たちがやるべき方向性が見えた。そして2019年、自国開催のワールドカップということで、個人がどうしたいというよりも日本のラグビーを自分たちが変えるんだという利己より利他になったことが非常に大きいのかなと思います。
丸山:今はラグビーを観ていて楽しいですよね。(海外選手に)力負けしなくなってきているし。
大畑:後輩が頑張ってくれているから、「僕も元日本代表なんだよ」って言える(笑)。
◆ラグビーを始めたきっかけ
丸山:大畑さんがラグビーから学んで、一番大事にしていることはなんですか?
大畑:ラグビーは、多様性や認め合う精神ってよく言われると思うんですけど、僕が小学生のときにラグビーを始めたきっかけは、ラグビーを観て“かっこいい”、“やりたい”って心躍ったわけじゃないんです。
丸山:はい。
大畑:僕は大阪生まれ大阪育ちで、公立の小学校に通っていたんですけど、当時、大阪の男の子が最初に始めるスポーツは大体が野球で、応援するのは阪神タイガースなんですよ。
丸山:そうですね。
大畑:僕はその環境がたまらなく気持ち悪くて、そこに入れなかったんです。でも子どもなので友達がほしいじゃないですか。
丸山:うん。
大畑:普通の感覚だと、友達になりたいならみんなが興味あることに入っていけばなれるけど、僕はそれができないんですよ。でも友達がほしいという矛盾した子で。どうやったら友達ができるかなと考えたときに、みんなに興味を抱けないのならみんなに興味を抱かれる人になればいいと思って、ベクトルの方向を変えようと。
丸山:ほぉ。
大畑:よく学校で、筆箱のなかに1つだけ変な鉛筆や変な消しゴムを持っていたら「これなに?」ってみんななるじゃないですか。だから自分がそういう変な鉛筆や消しゴムになればいいと思ったんですよ。
丸山:なるほど(笑)。
大畑:だからみんながやっていないもので“あいつ、すごい”って思わせられれば、否が応でも自分のことを見てもらえると思って、自分になにができるか考えたら、足だけは速かったんですよ。
丸山:うん。
大畑:だから、みんながやっていないスポーツがいいと思って。父が高校時代にラグビーをしていたので、テレビでラグビーを観ていたんです。(父から)「ラグビーしろよ」と言われたのではなく、父が観ていたスポーツがラグビーで、(まわりの)誰もやっていなかったのがラグビーだったので、ちょっとやってみようかなと思って、やり始めたんです。
丸山:うん。
大畑:大阪のなかで一番老舗のラグビースクールを紹介してもらったんですけど、家から1時間ぐらいかかるところで。
丸山:遠いですね。
大畑: 学校の友達とも仲良くなれない子だったので、自分の町よりもさらに外のコミュニティに初心者で入っていくとなると、(みんなの輪のなかへ)入っていき方がわからなくて。うじうじしていたんですけど、最初にやったのが「よーいどん」で走る練習で。走った瞬間に、チームで今まで一番足が速いヤツよりも速かったので、みんな振り向いてくれて話しかけてくれたんです。
丸山:へぇ~。
大畑:ラグビーを始めた瞬間に、みんなのベクトルがこっちを向いたのを感じたので、自分のなかで“これや!”と思ったんですよ。足が速いというだけですぐにポジションを与えてもらえたんです。
丸山:うん。
大畑:今まで学校で自分の居場所が見つけられなかった子がラグビーをしたおかげでポジションを与えてもらえて“自分の居場所が見つかった”と思えたんですよ。だからラグビーというのは、自分の特性によって自分の居場所があるんだなと感じたことが、(当時の)自分にとって一番大きな出来事でしたね。
次回2022年1月1日(土・祝)の放送も、引き続き大畑さんをゲストに迎え、お届けします。どうぞお楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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聴取期限 2022年1月2日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/
ラグビー日本代表が強くなった理由は? W杯を機に「利己より利他になった」大畑大介が解説
プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」。2021年12月25日(土)の放送は、元ラグビー日本代表の大畑大介さんをゲストに迎え、お届けしました。
◆ラグビー日本代表が強くなった理由
丸山:まずは大畑さんのプロフィールを紹介させていただければと。1975年生まれで、小学3年生からラグビーを始め、関西のラグビー強豪校で活躍。大学在学中に日本代表に選出され、大学卒業後は神戸製鋼に入社。1998年から10年以上にわたり日本代表メンバーとして活躍。海外チームでも活躍し、日本代表のキャプテンをつとめ、ワールドカップにも2度の出場を果たしました。そして、2011年1月に現役引退と。体がぶつかり合うスポーツですから、(現役として)長年できることはないですよね?
大畑:オフシーズンは、毎年のようにオペをしていました。
丸山:えっ!?
大畑:けっこう(体が)ボロボロになっていましたね。
丸山:後遺症はあるんですか?
大畑:一番気にしているのが寝るときですね。寝返りで肩がはずれるんですよ。
丸山:えっ!? 肩がはずれる?
大畑:寝方によるんですけど、手が上にいってしまうと寝返りをした瞬間に“カクン”って何度かはずれたことがあって。
丸山:安眠できないですね。
大畑:怖いです。起きた瞬間にポジションが悪いとドキッとします。
丸山:ラグビーを観ていて一番怖いのは、不意をつかれたところから(タックルで)飛び込んでこられるとき。あの衝撃ってヤバくないのかなって。
大畑:状況によってはすごい衝撃を受けるんですけど、よくアメリカンフットボールと比較されるんです。アメリカンフットボールの場合、ボールを持っていなくてもぶつかられることがあるんですけど、僕らは基本的にボールを持つ機会に衝撃があるので、そこは慣れていて、“こられるな”という準備ができるんですよね。
丸山:なるほど。
大畑:どこから入られるのか、感覚のなかである程度受け身はできるようになりますね。
丸山:さすが。それがなかったら代表で69トライもね。世界記録じゃないですか。
大畑:数だけです(苦笑)。今は2015年、2019年のワールドカップでラグビーをみなさんに知ってもらえたと思うんですけど、僕の頃はちょうど間というか、松尾雄治さんや平尾誠二さんがおられた国内のラグビーが盛り上がっていた時代でしたから。
丸山:そうですね。
大畑:ワールドカップでなかなか結果が残せなくて少し人気が落ちていた時代に僕はプレーをしていたので、(69トライの記録は)ラグビー選手のなかにはこんなヤツもいるんだよという名刺代わりですね。
丸山:うん。
大畑:(現役時代に)自分のなかでずっと課題にしていたのが、野球選手やサッカー選手、ゴルファーなどプロと言われる競技、もしくはオリンピアンというカテゴリーのなかに僕らは入らないんですよね。プロスポーツでもなくオリンピック競技でもなく……。
丸山:ちょっと宙ぶらりんのところにいた感じですかね。
大畑:そうした競技にすごく憧れを持っていつつ、他の競技に対しての嫉妬ですよね。頑張っているけど、なかなか日の目に当たらない。なにかタイトルを獲らないと外に発信できないので、世界記録が近くなってきたときには“絶対に獲らなきゃいけない”と思いましたね。
丸山:今はみんな世界に出てすごいですよね。
大畑:今の選手たちはすごいです。
丸山:なにがそんなに変わったんですか?
大畑:やっぱり自信を持ちましたね。あと情報もありますね。自分たちが今どの位置にいて、どういうことをすればどうなるのかというのをしっかりと導いてもらって、そこでしっかり伴った結果が出たことによって、大きな自信につながりましたよね。
丸山:なるほど。
大畑:自信が持てたことによって、自分たちがやるべき方向性が見えた。そして2019年、自国開催のワールドカップということで、個人がどうしたいというよりも日本のラグビーを自分たちが変えるんだという利己より利他になったことが非常に大きいのかなと思います。
丸山:今はラグビーを観ていて楽しいですよね。(海外選手に)力負けしなくなってきているし。
大畑:後輩が頑張ってくれているから、「僕も元日本代表なんだよ」って言える(笑)。
◆ラグビーを始めたきっかけ
丸山:大畑さんがラグビーから学んで、一番大事にしていることはなんですか?
大畑:ラグビーは、多様性や認め合う精神ってよく言われると思うんですけど、僕が小学生のときにラグビーを始めたきっかけは、ラグビーを観て“かっこいい”、“やりたい”って心躍ったわけじゃないんです。
丸山:はい。
大畑:僕は大阪生まれ大阪育ちで、公立の小学校に通っていたんですけど、当時、大阪の男の子が最初に始めるスポーツは大体が野球で、応援するのは阪神タイガースなんですよ。
丸山:そうですね。
大畑:僕はその環境がたまらなく気持ち悪くて、そこに入れなかったんです。でも子どもなので友達がほしいじゃないですか。
丸山:うん。
大畑:普通の感覚だと、友達になりたいならみんなが興味あることに入っていけばなれるけど、僕はそれができないんですよ。でも友達がほしいという矛盾した子で。どうやったら友達ができるかなと考えたときに、みんなに興味を抱けないのならみんなに興味を抱かれる人になればいいと思って、ベクトルの方向を変えようと。
丸山:ほぉ。
大畑:よく学校で、筆箱のなかに1つだけ変な鉛筆や変な消しゴムを持っていたら「これなに?」ってみんななるじゃないですか。だから自分がそういう変な鉛筆や消しゴムになればいいと思ったんですよ。
丸山:なるほど(笑)。
大畑:だからみんながやっていないもので“あいつ、すごい”って思わせられれば、否が応でも自分のことを見てもらえると思って、自分になにができるか考えたら、足だけは速かったんですよ。
丸山:うん。
大畑:だから、みんながやっていないスポーツがいいと思って。父が高校時代にラグビーをしていたので、テレビでラグビーを観ていたんです。(父から)「ラグビーしろよ」と言われたのではなく、父が観ていたスポーツがラグビーで、(まわりの)誰もやっていなかったのがラグビーだったので、ちょっとやってみようかなと思って、やり始めたんです。
丸山:うん。
大畑:大阪のなかで一番老舗のラグビースクールを紹介してもらったんですけど、家から1時間ぐらいかかるところで。
丸山:遠いですね。
大畑: 学校の友達とも仲良くなれない子だったので、自分の町よりもさらに外のコミュニティに初心者で入っていくとなると、(みんなの輪のなかへ)入っていき方がわからなくて。うじうじしていたんですけど、最初にやったのが「よーいどん」で走る練習で。走った瞬間に、チームで今まで一番足が速いヤツよりも速かったので、みんな振り向いてくれて話しかけてくれたんです。
丸山:へぇ~。
大畑:ラグビーを始めた瞬間に、みんなのベクトルがこっちを向いたのを感じたので、自分のなかで“これや!”と思ったんですよ。足が速いというだけですぐにポジションを与えてもらえたんです。
丸山:うん。
大畑:今まで学校で自分の居場所が見つけられなかった子がラグビーをしたおかげでポジションを与えてもらえて“自分の居場所が見つかった”と思えたんですよ。だからラグビーというのは、自分の特性によって自分の居場所があるんだなと感じたことが、(当時の)自分にとって一番大きな出来事でしたね。
次回2022年1月1日(土・祝)の放送も、引き続き大畑さんをゲストに迎え、お届けします。どうぞお楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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聴取期限 2022年1月2日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/