⚫心躍る瞬間「まだ5時半くらいの瞬間」
松下:今月お迎えするゲストは、引き続きシンガーソングライターの高橋優さんです。よろしくお願いいたします。
高橋:よろしくお願いします。
松下:先週は「たまたまテレビをつけたら古畑任三郎の再放送が始まっている瞬間」という、高橋さんならでは、独自の視点で心躍る瞬間をお話いただきました。
高橋:共感してくれる人はいたみたいですね。
松下:いますよ! 私もでした。
今週も高橋さんの“心躍る瞬間”について伺っていきます。今週はどんな瞬間でしょうか?
高橋:僕が“心躍る瞬間”は、「まだ5時半くらいの瞬間」です。
松下:それでは時計の針をその瞬間にしていきましょう。
これは朝ですか? 夕方ですか?
高橋:これは僕にとっての話なんですけれども、どちらにも当てはまるんです。例えば、朝目が覚めて時計を見た時に、まだ5時半だったら……わかりますか?
松下:“もうちょっと寝れる”。
高橋:“まだ5時半か。もうちょっと寝れるなぁ”って。
松下:わかります。
高橋:この時期だとまだ外が暗いから(時計を見ないと時間が)わからないじゃないですか。そして夕方の場合は、例えば仕事が終わってまだ5時半だったら、お店もやっているし、友達を今から誘っても来るかもしれないし、とか。
松下:良い時間帯ですね。これは午前も午後も共通していけますね。
高橋:松下さんにとって“何時頃”というのはありますか?
松下:そういう意味で言うと、私は8時かな。
私は、朝の8時だと大体お腹が空いて起きるんです。“お腹が空いた”と思いながら起きるのも幸せなんですけれども、“二度寝もしたいけど、とりあえず1回ご飯を食べてから寝よう”と思えるのが(この時間)。完全にオフの日の話ですけれど。
高橋:なるほど。
松下:お休みの日は早めにご飯を食べるので、夜の8時は夜ご飯を食べてお腹いっぱいになってお風呂も入って、“さあ、映画でも観ようかな”とか“ドラマでも観ようかな”とか思う頃で、ドラマだと2~3本、映画だと1本観られるので、ちょっと得した気分になるんですよね。
高橋:そこですよね。“ちょっと得した気分になる時間”。リスナーの皆さんもそれぞれの時間があって良いと思うんですけれど、僕にとっては5時半かなと。
松下:5時じゃなくて、5時半なんですね。
高橋:5時だとちょっと早いんですよね。面白いのが、多分、(普段)時間に追われているからこそ、この気持ちを感じられるんだと思うんです。
松下:なるほど。
高橋:だから、完全にフリーになって何にもしなくても良くなったら、僕にとっての5時半みたいな時間が永遠に続くわけじゃないですか。今から何でも出来るし、今から何にもしなくてもいい、みたいな。
松下:1か月くらいずっと時間が自由にあるとしたら、何をしますか?
高橋:スコットランドに行くかな。
松下:スコットランド?
高橋:昨年の夏に行ってきたんです。
松下:良かったですか?
高橋:良かったです。エディンバラというところへ行ってきたんですが、「エディンバラ・フェスティバル」というフェスが毎年8月に開催されているんです。
日本で「野外フェス」というと、“ロックフェス”みたいなイメージがあるじゃないですか。でもこの「エディンバラ・フェスティバル」は老若男女いろんな人達が楽しめるフェスで、「これからの日本のフェスの形のヒントになるんじゃないか」と言っている方がいまして、僕も一応秋田でフェスをやらせてもらっているので、「見に行ってもいいのでは」と提案していただいて、「じゃあ、行こう」ということで、1泊4日の弾丸で行ってきたんです。
松下:え!
高橋:1泊4日だったんですよ。片道16時間ぐらい。
松下:そのぐらいかかりますよね。時差ボケは大丈夫でしたか?
高橋:ボケている場合じゃなかったです。眠いながらも(フェスを)見て、ちょっと寝てまた起きて…みたいな、いつ寝ているかもわからない感じで、とにかくエディンバラ・フェスを見てきました。あと、スコッチをいただいて。
松下:いいですね!
高橋:滞在時間が24時間もないくらい凝縮して行ってきたので、1か月も休みがあればもうちょっとゆっくり(行きたい)。
松下:そうですね。
高橋:松下さんだったらどうしますか?
松下:私もどこかへ行きたいです。クロアチアとか、エストニアとか。タイミングを見ているんですけれども、1か月あればバルト三国とか、そういうところへ行ってみたいです。
高橋:ヨーロッパはいいですよね。
松下:音楽もそうですし、エンターテイメントも楽しいですし、時間はかかるけど行く価値はあるかなと思います。
⚫クロニクル・プレイリスト「現下の喝采 / 高橋優」
松下:この番組では、ゲストの方の“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲やその時代の印象深い1曲を“音楽の年代記”=「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。さて、今日はどんな曲でしょうか?
高橋:今日は「現下の喝采」という楽曲を聴いていただきたいです。
「現下」というのは、ビジネスのプレゼンなどで「現状は」みたいな意味で使われたりする言葉なんです。
現代に生きる社会人の方々の…要するに“今”なんですよ。例えば、会議中のあなたでも、運転中のあなたでも、何もせずにボケっとしているあなたでも、どんなあなたでも、今そこにいることで喝采が送られるべきだ、と。そこにいるだけで「ワーッ!」とスタンディングオベーションが起こっているべきなんだ、という曲を書きたいと思ったんです。
小さい時は、生まれただけで「ワーッ」と言われたじゃないですか。
松下:そうですね。
高橋:初めて笑ったら「笑った!」みたいな。「立った!」「歩いた!」ってあったでしょう?
松下:ありました。
高橋:いつからか、何をやっても褒められなくなりませんでしたか?
松下:そうです(笑)。大人になると、“そんな簡単には褒めてもらえない”ということは実感しますよね。
高橋:実感しますよね。僕はそこに対して“なんで?”と思うんです。皆、昔は褒めてもらっていたことをやっているだけなんですよ。前は褒めてもらったのに褒めてもらえなくなっちゃった。場合によっては、前に褒めてもらったことをやったら怒られた。
松下:ああ…。
高橋:“お前の思い通りにはいかないんだぞ”とか、いろんな辛い気持ちになることがあると思うんです。でも、心の中ではきっとどこかで、“いや、ちゃんと自分が覚えたことをやったんだ”というあなたがいるはずなんだと、僕は思っていて。
例えば、嫌な人とか、“ちょっと合わないなぁ”と思うような人が周りにいませんか? そういう人がいても、“合わないなぁ”という態度はそうそう取らないでしょう?
松下:そうですね。
高橋:取っちゃう時もあるけれど(笑)。
松下:あるけれど、大体それを隠して接するというのが。
高橋:他の人と同じように笑顔で接したり、その人にもちゃんと差し入れを持って行ったりしても、多分、誰も褒めてくれないんですよ。
松下:そうですね。
高橋:そういう時に、あなたの頭の中で、“苦手だということは誰もが知っているのに差し入れを渡しました。素晴らしい!”みたいな…。
松下:喝采!
高橋:大学生くらいの時から、そういう妄想をよくやって生きているんです。「誰にも褒めてもらえなくても、頭の中で喝采が鳴り響いている」ということを時々取材などで言ってきたんですが、それを曲にしたことがなかった。それを初めて曲にしたのがこの曲です。
松下:なるほど。そういう想いでもう1度この曲を聴いてみたくなりました。
「現下の喝采」もそうですけれども、高橋さんの曲には、応援してくれたり何かを気付かせてくれるようなメッセージがあるなと感じているんです。
高橋:ありがとうございます。
松下:そういう曲を意図して書いていらっしゃるんですか?
高橋:全然。それは気付いてくれた人の手柄ですよね。だからありがたいと思います。
例えば、ライブが終わってから観に来てくれた方と直接お会いする「ミート&グリート」というものを時々やらせてもらっているんですが、思いもよらない感想をもらったりするんです。「あの歌詞はこういう意味ですよね。だから僕は就活を頑張れました」みたいな。嬉しいけれど、そういう意味のところはご自身の曲になっているんですよね。
僕が思うのは、応援歌と思って受け取ってくださる方は、きっと“応援されたい”という状況下にある方なので、“頑張ろう”としている方だと思うんです。
松下:そういう瞬間にタイミングが合って、(高橋さんの曲を)聴いて“頑張ろう”と思える。
高橋:そうです。多分、“頑張ろう”と思っていない時に高橋優の曲を聴いても、“うるせぇ!”と思うかもしれないです(笑)。
松下:そんなことはないですよ(笑)。
高橋:“今はいいって”ってみたいな時もあると思いますよ。でも今回のアルバム「HAPPY」は、そんな時にも聴けるアルバムになっていますので。
松下:じゃあ、グラデーションのようにいろんな度合いがあるんですね。
高橋:薄味のコンソメスープみたいな曲もありますし、濃厚とんこつみたいな曲もあります。
松下:それも、聴いてくださる方の受け取り方でいかようにも変化出来るということですよね。
高橋:“受け取り手ありき”で、音楽、というか芸術は成立していると思っているので、聴いてもらえて嬉しいんです。
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<松下さん衣装>
ブラウス:キャストコロン / CAST: 0120-340-460
スタイリスト:大沼こずえ
ヘアメイク:土橋大輔
ゲストが語る“心躍る瞬間”や“エピソード” その時に刻まれた思い出の1曲。 または、その時代の印象的な楽曲。