⚫心躍る瞬間「出産後からの新しい日々」

松下：今月は、いきものがかりの吉岡聖恵さんをお迎えしています。3週に渡って吉岡さんの“心躍った瞬間”をお伺いしてきました。1月最後の土曜日は、どんな“心躍る瞬間”なのでしょうか？

吉岡：「出産後からの新しい日々」です。

松下：吉岡さんは2022年にお子さんを出産されました。ということで、時計の針を2022年に戻していきましょう。
お子さんとの日々はいかがですか？

吉岡：両親もそうですし、家族もそうですし、近くに住んでいる親友まで駆り出して…いろんな人に教わって助けてもらいながら子供と向き合っています。やっぱり（子供が）可愛いので。

松下：自分の子供ですものね。可愛くないわけがない。

吉岡：そうなんです。今まで出会ったことのない存在なので。この大切な存在がいることで、“守らなきゃ”という心配な瞬間もあるんですけれど。
もちろん、“仕事と歌”という自分の場所と、“家”という（家族との）場所と両方あるので、てんてこ舞いにはなるんですが、レコーディングに入っている時や、まさに今、喋っている時とかは、自分の時間がより楽しめるようになりました。
（気持ちが）切り替わっているんでしょうね。“歌える楽しさ”というものも濃くなったなと感じています。

松下：もちろん大変な時もあったと思いますけれども、そういう時間をうまく楽しみに変えていっていらっしゃるように思います。

吉岡：嬉しい。

松下：大変な時は“全部大変！”と思ってしまうじゃないですか。

吉岡：もちろんそういう時もあります。（子供を）育てている方は、皆さん、そうじゃないでしょうか。「大変なんだよ〜」みたいになったりしますし。そこを、いきものがかりのリーダー（水野良樹さん）も一児の父なので、現場で「こうだよね」って教えてくれたり、スタッフさん達がスケジュールを調整してくれたり。
本当に助けられながら、励まされながら、アドバイスをもらいながら活動しています。

松下：良いチームワークなんでしょうね。

吉岡：本当にありがたいです。

松下：家事と育児、そしてお仕事の両立は大変な時もおありだと思いますが、どういう息抜きをされていますか？ 今、何が一番楽しいですか？

吉岡：（忙しくて）バタバタしていて食べられなかった、日本に上陸して何年も経ってしまったハンバーガー屋さんに、散歩がてら行ったりすることとか…。“（日本に上陸してから）何年経ったんだ！”みたいな（笑）。

松下：（笑）。

吉岡：あと、憧れのものを食べたりとか…。ほとんど食べてますね（笑）。

松下：そういう何気ない日常って一番幸せじゃないですか。美味しいものを食べられるとか、行きたい場所へ行けるとか。

吉岡：あとは、緑の中に行って（自然の空気を）浴びるというのが、田舎っ子としては非常に気持ち良いリフレッシュになります。

松下：お話を聞いていると、お子さんを産まれて、特別なことではなく、ちょっとしたことで本当の幸せを実感されているんだろうなと。すごくキラキラしたお顔でお話されているので、とても充実されていらっしゃるんだなと感じました。

吉岡：ありがとうございます。本当に、小さな幸せだと思っていたことがすごく大きく感じるということが嬉しいですね。

⚫クロニクル・プレイリスト「Another Day of Sun / La La Land Cast」

松下：この番組では、今日お話しした“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲やその時代の印象深い１曲を“音楽の年代記”＝「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。吉岡さん、今週はどんな曲でしょうか。

吉岡：映画『ラ・ラ・ランド（La La Land）』より、「Another Day of Sun」という、映画の一番最初にかかる曲ですね。
出産直後で（子供の世話で）バタバタしている中で、ずっと家にいて外（の世界）との隔たりを感じたりしていた時期に、ああいう、色鮮やかで華やかな、主人公がスターダムにのし上がっていく映画を観ると、外の世界を感じるんです。
開放的な世界を感じつつ、子供と一緒に聴いても耳がハッピーになるような…。

松下：ちょっとアップテンポで、心が高揚するような曲ですものね。

吉岡：明るくて、賑やかな…そして色鮮やかな曲なので、赤ちゃんにも良いかなという想いで。自分もこの子もきっと楽しいだろうなと思って聴いていました。

⚫12年振りの全国ホールツアー

松下：吉岡さんにとって環境の変化がいろいろと大きかった数年ですが、今年はいきものがかりさんは結成25周年を迎えるということで、おめでとうございます！

吉岡：ありがとうございます。ビックリです。

松下：25周年ですね、4半世紀ですよ。これからどんな時を刻んでいかれたいですか？

吉岡：楽しんで歌っていく！

松下：シンプル！ それが一番聞きたかった言葉かもしれません。
そして今年の2月からは、12年振り、2人体制では初となる全国ホールツアー「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2024 〜あなたと！わたしと！みんなで！歌いまSHOW!!〜」が開催されますね。こちらはどんなツアーになりますか？

吉岡：こちらはですね、“いきものがかりと言えば”という時に浮かぶ曲もやりたいですし、NEWアルバム「◯」の曲も届けたいですし、2人体制ならではの形でも届けたいと思っています。
コロナ禍でツアーが中止になったりして、本当に久しぶりに行く地域もあるので、皆さんに歌を丁寧に届けたいなと思っております。

松下：ツアータイトルにも「みんなで！歌いまSHOW!!」とあるじゃないですか。これは、お客さんと歌ったりする時間もあるんですか？

吉岡：そういうところをいつもよりちょっと多めに作れたらな、と、今考えていて。

松下：では、今、いろんなアイデアが浮かんでいるところですね。

吉岡：はい。

松下：そしてツアーは、いきものがかりさんの地元、海老名市からスタートですよね。

吉岡：そうですね。よく地元でライブをやらせてもらっているので、とても楽しみです。

松下：いきものがかりさんの全国ホールツアー「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2024 〜あなたと！わたしと！みんなで！歌いまSHOW!!〜」。2月から全国19都市で開催です。詳しい情報は、いきものがかりさんのホームページをご覧ください。

吉岡：松下さん、追加公演が決まったのでお知らせしてもよろしいですか？

松下：ぜひお願いいたします！

吉岡：ありがとうございます。追加公演は、「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! 2024 あなたと！わたしと！みんなで！歌いまSHOW!! 横浜にじゅうまる公演」です。日時は2024年5月25日・土曜日、そして5月26日・日曜日に、ぴあアリーナMMでやります。地元神奈川ですので、ぜひご家族で、友達と、ひとりでも参加をお待ちしています。

松下：「みんなで！歌いまSHOW!!」ということで、楽しみにしております。

吉岡：はい！

＜吉岡さん衣装＞
シャツワンピース、ジレ、スカート：RE SYU RYU / リシュリュ 089-927-2288
ネックレス： temtem / テムテム
イヤリング：in or U / インオアユー
共に、03-6427-3260
スタイリスト：沓澤りさ

＜松下さん衣装＞
ブラウス：Couture Brooch / クチュール ブローチ 03-6851-4604
イヤリング：TAKE-UP / テイクアップ 03-3462-4771
スタイリスト：大沼こずえ
ヘアメイク：山科美佳

⚫心躍る瞬間「放牧期間中の自分ゆるめタイム」

松下：今月は、いきものがかりの吉岡聖恵さんをお迎えして、“心躍る瞬間”についてお伺いしています。さて、今週はどんな“心躍る瞬間”でしょうか？

吉岡：「放牧期間中の自分ゆるめタイム」です。

松下：「放牧期間」とは、いきものがかりさんが活動をお休みされていた2017年1月からおよそ2年間のことですね。

吉岡：はい。

松下：ということで、時計の針を「放牧期間」の2017年頃に戻していきましょう。
「放牧期間」と聞いて、ビックリしました。“放牧ってどういうことだろう？”って。

吉岡：まあ、そうですよね（笑）。

松下：“活動休止するということですか？”と。でも、はっきり「活動休止します」と言われるよりは、いきものがかりさんらしいお休みの仕方だなと思いました。

吉岡：ありがたいです。グループとしては休んでいたんですが、リーダー（水野良樹さん）はずっと曲を書いていたんです。（活動休止を）あまり深刻に伝えると心配されてしまうし、リーダーに「ダジャレじゃないけど、楽しげな言い方はないの？」と言われて、「放牧期間とかね」（と言ったら）「それ！」となって。

松下：実際はお休みの期間でしたけれども、それまではずっと休みなく？

吉岡：そうですね、ほとんど（休みはなかった）。

松下：お休みに入って、まず何をされましたか？

吉岡：“何にもしない”と決めていたんです。それこそ「目覚ましをかけずに寝る」とか。

松下：それまで、目覚ましをかけずに寝たことがなかったんですか？

吉岡：そこまで「全く休みがない」というわけではなかったんですが、（活動休止期間は）ダラダラ過ごそうと思って。（それまでは）“レコーディングに向かう”“ライブに向かう”“テレビに向かう”とか、いつも何かに向かっていたので…。
真面目なところもあるので（笑）、この機会に喉を整えようと思ったんです。ずっと歌っているので、“めっちゃ歌いたい！”という衝動が湧くまで歌わないでみようと思って、本当に歌わずに、“今までやったことがないことをやろう”と、友達とご飯に行く機会を増やして。（それまでは）本番があると喉がガサガサするのが嫌でお酒を飲む機会があまりなかったので、よくお酒を飲みに行ってました。

松下：良いですね。時間を決めず、朝もゆっくり。それまでは、目の前にあるものを優先させてしまっていた？

吉岡：ライブの方が大事なので。なので、“自分、（お酒がこんなに）飲めたんだ”って（笑）。

松下：初めて知ったんですか？

吉岡：そうなんです。あまり気付いていなくて。あとは、スイスに放牧を見に行ったりとか（笑）。

松下：“リアル放牧”じゃないですか（笑）。

吉岡：海外旅行も好きだったので。あとは沖縄へ行ったり、長野へは2回行きました。

松下：いろんな牧場巡りを。

吉岡：竹富島に行ってまた牛を見て、長野へ行ってまた牛を見て、スイスでも牛を見て、結果、すごく牛を見ちゃいました（笑）。

松下：では、放牧期間中はいろんな牛に出会った時期だったんですね。

吉岡：そうこうしているうちに、ベテランディレクターさんから「本当に歌いたいんだったら何かやらない？」と声がかかって。ソロでカバーのお話があったので、吉岡聖恵名義で「夢で逢えたら」とか「糸」とかを歌わせていただいて。
それでソロのアルバムを出して、そしてグループへも戻っていく、という。

松下：純粋に、“歌が好き”と思える瞬間は、放牧期間中にありましたか？

吉岡：（元の活動に）戻っていった時は、“歌って体に合っているな”と思ったんです。なぜかと言うと、友達と遊んでいたり、味の濃い物を食べておつまみを食べて歌わないでいると、体の調子が微妙だなと。
言い方が合っているか分からないのですが、歌うことで、気持ちとしても体としても巡っていって、いろんな意味でスッキリしていくというか。
戻った時に、“（歌は自分に）必要だな”と思いました。今、更にそう思っています。

松下：なるほど。緩めることで、“歌って大事だな”と改めて感じられる瞬間があったんでしょうね。

吉岡：そうですね。だから、お休みも大事だなと思いました。

⚫クロニクル・プレイリスト「今夜このまま / あいみょん」

松下：この番組では、今日お話しした“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲やその時代の印象深い１曲を“音楽の年代記”＝「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。今週はどんな曲でしょうか。

吉岡：あいみょんさんの「今夜このまま」という曲です。
「自分ゆるめタイム」で、夕方頃に出て行って友達と会う前とか、ちょっとほろ酔いの時に、あいみょんさんの、透き通っているけれど芯のある、夜に溶け込んでいくような歌声で自分をリラックスさせていたので、この曲を聴いていただきたいと思います。

＜吉岡さん衣装＞
シャツワンピース、ジレ、スカート：RE SYU RYU/リシュリュ 089-927-2288
ネックレス： temtem / テムテム
イヤリング：in or U / インオアユー
共に、03-6427-3260
スタイリスト：沓澤りさ

＜松下さん衣装＞
ブラウス：Couture Brooch / クチュール ブローチ 03-6851-4604
イヤリング：TAKE-UP / テイクアップ 03-3462-4771
スタイリスト：大沼こずえ
ヘアメイク：山科美佳

⚫心躍る瞬間「初めての路上ライブ」

松下：今月は、いきものがかりの吉岡聖恵さんをお迎えしております。

吉岡：よろしくお願いします。

松下：今週も“心躍る瞬間”についてお伺いしていきたいと思います。先週は「J-POPに初めてときめいた時」のお話でしたが、今週はどんな“心躍った瞬間”でしょうか？

吉岡：「初めての路上ライブ」です。

松下：いきものがかりさんの原点ですよね。それでは、時計の針をその瞬間に戻していきましょう。
いきものがかりさんは、路上ライブがスタートだったんですよね。どういうきっかけで、路上ライブを？

吉岡：ちょうど私が中学生の頃だったかと思いますが、ゆずさんが路上ライブ出身で、“良いなぁ”と憧れて、“私も駅前で歌ってみたい”と…。

松下：“駅前で歌ってみたい”と思っても、なかなか簡単には実現出来ませんよね。

吉岡：出来なかったんです。楽器も弾けませんでしたし、中学生なので、親の許可も必要だし…というようなこともあって。

松下：ありますよね。

吉岡：私が路上ライブに加わったきっかけは、高校1年生になった時に、1つ上の兄が（当時のいきものがかりの）メンバーと音楽友達だったこともあって、「いきものがかりが女性ボーカルを募集しているよ」と教えてくれたんです。

松下：なるほど。

吉岡：私は「路上ライブがやりたい、バンドがやりたい」と言って家で歌っていたんですが、そうしたら、兄のバンド仲間が「おまえの妹、ちょっと良くない？」みたいに言ってくれて。私は「（バンドを）やりたい」、向こうも「女性ボーカルを探している」ということで。

松下：みんながハッピーな。

吉岡：需要と供給が（笑）。

松下：そこで一致したわけですね（笑）。

吉岡：「じゃあ、行ってみよう」ということになりまして、突如2人のところへ飛び入り参加したんです。小田急線沿いの海老名から近いところの相模大野という駅で、1999年11月3日に、最初に（路上ライブに）参加させてもらったのがきっかけで、私が（いきものがかりに）加わりました。

松下：ちなみに、その時は何を歌われたんですか？

吉岡：やっぱり、ゆずさんです。リハーサルとかもないので、キーだけ合わせて、「夏色」という曲を。

松下：その時が初めての路上ライブになるわけですが、どんなお気持ちでしたか？

吉岡：もう、興奮しちゃって（笑）。（いきものがかりは元々）男子メンバー2人で、女子校がある駅で（路上ライブを）やっていたんですよ（笑）。

松下：（笑）。高校生の頃って、楽器が出来たり音楽が出来ると“カッコいい”って思いますよね。

吉岡：そうですよね。そういうモテたい気持ちもあったみたいです（笑）。既に（いきものがかりには）女子高生のお客さんもいたんですが、（自分を見て）“誰、この子？”みたいな感じの中登場して、緊張もしていたと思いますが、ドヤ顔で楽しんで歌っちゃいました。

松下：良い経験として思い出にあるんですね。

吉岡：図々しいけれど、良い経験ですね。やっぱり楽しかったです。

松下：その頃の、“人前で歌う”とか、“ライブをして興奮する”という経験は、今に通じている部分はありますか？

吉岡：すごくあります。路上ライブもやっていたんですけれど、JUDY AND MARYさんに憧れて、高校ではコピーバンドをやっていました。でもなぜか、（通常のライブより）路上ライブの方が緊張しなかったんです。

松下：なぜでしょう…屋外だからですか？

吉岡：両方好きだったんですが、路上ライブというのは分かりやすくて、（観客の反応が）「（歌が）良かったら立ち止まってくれる」だけなので。

松下：なるほど。

吉岡：ということは、立ち止まってくれているうちは“（自分たちの演奏を）気に入ってくれている”という印なので、安心しますし、人がいなかったらいなかったで“誰も聴いていないから歌おう”みたいなところもあって、どちらにしろ、意外とプレッシャーが少ないんです。

松下：当時、ライバルというか、横で違う路上ライブをしているバンドはいましたか？

吉岡：小田急線沿線のいろんな駅をまわって（路上ライブに）チャレンジしていたんですが、新百合ヶ丘駅は人がビュンビュン通り過ぎてしまうところで、いつも全然人が止まらなくて、ずごく落ち込んでいたんです。
でもそこで、小さなライブハウスみたいに人を集めているグループがいて、悔しいけれど、“完全に負けている”と思う人たちがいたんです。数年前に知ったんですけれど、それは狩野英孝さんのグループだったんですって。

松下：ええ！

吉岡：それを人伝に聞いて。“私たちは（新百合ヶ丘駅では）どんどん人が通り過ぎちゃっているのに、あのグループ、すごいなあ”と思っていたのが、実は狩野英孝さんのグループだったという。

⚫クロニクル・プレイリスト「夏色 / ゆず」

松下：この番組では、今日お話しした“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲や、その時代の印象深い１曲を“音楽の年代記”＝「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。今週はどんな曲でしょうか。

吉岡：男子2人のいきものがかりに私が初めて加わった時に、（路上ライブで）初めて3人で合わせた曲です。ゆずさんで「夏色」。

松下：路上ライブは、吉岡さんにとってどういう存在ですか？

吉岡：スタートであり、原点です。

松下：今も路上ライブの時の気持ちを忘れていない部分はありますか？

吉岡：ライブなどをやっていて、“最前列の人にも、そして最後列の一番右端、左端の人にも（歌を）届かせたい”と思う気持ちは、路上（ライブ）と変わらないのかなということは、最近、よく思いますね。

松下：吉岡さんのお話を伺っていると、場所や環境が変わっても“伝えたい”という気持ちは変わってはいけないのかなと思います。

吉岡：そうですね。“遠くまで、皆に届けばいいな”という気持ちは変わらないですね。

＜吉岡さん衣装＞
シャツワンピース、ジレ、スカート：RE SYU RYU / リシュリュ 089-927-2288
ネックレス： temtem / テムテム
イヤリング：in or U / インオアユー
共に、03-6427-3260
スタイリスト：沓澤りさ

＜松下さん衣装＞
ブラウス：Couture Brooch / クチュール ブローチ 03-6851-4604
イヤリング：TAKE-UP / テイクアップ 03-3462-4771
スタイリスト：大沼こずえ
ヘアメイク：山科美佳

⚫心躍る瞬間「J-POPに初めてときめいた時」

松下：今月お迎えするゲストは、いきものがかりの吉岡聖恵さんです。お久しぶりです。

吉岡：お久しぶりです。

松下：よろしくお願いいたします。何度かお会いしたことはありますけれども、ちゃんとお話をさせていただくのは、実はこのラジオが初めてでしょうか。

吉岡：そうなんですよ。

松下：今日はいろいろ、根掘り葉掘り聞かせていただいても良いですか？

吉岡：機会を作っていただいてありがとうございます。いろいろご縁があるので、今回もすごく嬉しいです。

松下：私としては、映画『砂時計』（2008年）の主題歌「帰りたくなったよ」にはじまり、何と言っても大事な1曲がありまして。NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』（2010年）の主題歌である「ありがとう」という名曲を歌っていただいています。

吉岡：恐縮です。

松下：あの時はお世話になりました。

吉岡：こちらこそお世話になりました。いきものがかりを全国の方に知っていただくきっかけとなった曲がこの「ありがとう」なので、良い機会をありがとうございます。

松下：私も、撮影中は何度も（聴いて）心の支えになりました。今も大事に聴いております。
さて、これから4週に渡って吉岡さんの“心躍る瞬間”を伺っていきます。それは一体どんな時でしょうか？

吉岡：私が“心躍った瞬間”は「J-POPに初めてときめいた時」です。

松下：それでは、時計の針をその瞬間に戻していきましょう。
まさに吉岡さんは、J-POPのど真ん中にいらっしゃいますよね。

吉岡：ありがとうございます。

松下：その吉岡さんが、J-POPのどのような時にときめいたのでしょうか？

吉岡：私自身は大家族の中で育ったんですが、母もそうなんですけれど、ずっと、曾祖母や祖母に童謡を教え込まれていたんです。雨が降ったら雨の歌、赤い靴を買ったら「“赤い靴 はいてた～”って歌ってみな」という感じで。
朝ドラ（NHK連続テレビ小説）繋がりになってしまうんですけど、家族で観ていた『ひらり』（1992年）という作品があって。

松下：ありましたね！

吉岡：うちの家族はずっと朝ドラを観ていたので、初めてJ-POPに触れたのが、『ひらり』の主題歌の「晴れたらいいね」という、DREAMS COME TRUEさんの曲だったんです。
童謡の場合は、自分が知っている世界を思い描きながら、“赤い靴だな”とか、“カラスの歌だな”とか、分かる範囲で見えているものを歌う、という感じなんですが、J-POPでは（童謡と違って）、知らない大人の世界だったり、“これってどういう意味なんだろう？”と思うような難しい言葉を、自分の知らないバンドサウンドに乗せてと歌う、という感じだったので、それが初めての経験で、（「晴れたらいいね」は）“この世界もすごく楽しい。好きだな”と思わせてくれました。

松下：では、歌詞に注目して聴いていらしたんですか？

吉岡：もしかすると、そうかもしれないです。

松下：童謡と（J-POP）の違いは、そこが大きいですよね。
メロディに乗るとすんなり心には入ってくるけれど、いざ歌詞カードを見てみると、すごく難しいことを歌に乗せていたり、想像力を掻き立てられますよね。

吉岡：そうなんです。子供ながらに、“これは大人のことを表現しているな”と思うような感じもあって、すごく興味を惹かれていました。

松下：当時小学生の吉岡さんからすると、“ちょっと背伸びした世界”みたいな、憧れのようなものがあったのかもしれませんね。

吉岡：まさに、ですね。“大人ってこうなのかな？”とか、“恋愛は難しいもので、何かを犠牲にして（恋を）しているのかな？”とか。何にも分からなくて混乱しているけれど、メロディはキャッチーじゃないですか。

松下：そうですね。

吉岡：なので、ずっと歌詞の意味を想像していました。

松下：では、当時からいろんなJ-POPを聴いていらしたんですね。

吉岡：そうですね。興味を持ち始めて、カラオケにどんどんハマっていきましたね。

松下：（カラオケは）流行っていましたしね。

吉岡：ちょうど、世代的に流行っていました。

⚫クロニクル・プレイリスト「晴れたらいいね / DREAMS COME TRUE」

松下：この番組では、今日お話しした“心躍る瞬間”にまつわる思い出深い曲やその時代の印象深い１曲を“音楽の年代記”＝「クロニクル・プレイリスト」としてお届けしています。吉岡さん、それでは曲紹介をお願いいたします。

吉岡：先程もお話に上がりました、DREAMS COME TRUEさんの「晴れたらいいね」なんですが、童謡少女が初めてJ-POPに触れて感激して、“自分もこういう曲を歌ってみたいな”と思った曲です。

⚫“肯定”がテーマ…オリジナルアルバム「〇」

松下：ここからは、昨年12月13日にリリースされました、いきものがかり2人体制初となります、オリジナルアルバム「〇」(まる)について伺っていきたいと思います。
かなりインパクトのあるタイトルで、ジャケットも可愛いですね。

吉岡：ありがとうございます。

松下：綺麗なまん丸というより、ちょっと手書き感があるような感じがほっこりして良いなと思いました。
このアルバムの想いとシンクロしている部分があるんでしょうか？

吉岡：アルバムの中で最初に録った曲が「ときめき」という曲なんですけれど、この曲は、自分自身のことを肯定する、“私が私で幸せになることを決める”“私が私で私を信じる”というような、自分自身に対してすごく強いメッセージや決意を込めた曲で、“肯定”ということをテーマに、リーダーが書いてくれたんです。

そこから、他の曲も、“自分のことを肯定する、自分を認めるって良いよね”という（メッセージが込められた）曲が増えていったので、（アルバム全体に）“肯定”というイメージが広がったんです。
それで、アルバムのタイトルを決める会議で、リーダー（水野良樹さん）がホワイトボードに大きく「○」と書いて、「肯定」というテーマから「○」というタイトルが導き出されて。「これは良いね、インパクトもあるし、肯定という意味が優しく伝わるね」ということで決まりました。

松下：「肯定」というタイトルより、「○」の方が “どういう世界なんだろう”と想像が膨らみますね。先程のDREAMS COME TRUEさんの話のように、聴く側の方たちが曲のストーリーを想像するじゃないですか。そういう意味では、ギフトボックスのようなアルバムですよね。

吉岡：嬉しい。ありがとうございます。

松下：新体制になられて、そしてお2人とも父親、母親になられて、環境の変化もあったと思いますが、楽曲やアルバム制作で“今までと違うな”と感じられたことはありましたか？

吉岡：環境の変化というより、“このアルバムの中で新しいことに挑戦してみよう”というところが少しずつ盛り込まれていまして。
リーダーが、曲を作っていく過程で、“自分のソロ活動で出会った方々のアレンジと吉岡の歌を結びつけたらどうか”と想像を膨らませたうえで曲を書いていったり…。

松下：なるほど。

吉岡：表に出る作品としては初めて、リーダーがディレクションをして私の歌を録ってくれたんです。

松下：（リーダーの）水野さんのディレクションはどのような感じですか？

吉岡：“ちゃんとリスペクトを持ってやってくれているな”というところが有り難いです。

松下：安心感がありますよね。「いきものがかり」として約25年ずっと活動されてきたので、お2人だけのやり取りには誰も入れないのではないかなと。
お2人だからこそ言えること、注文出来ることがあったりしますか？

吉岡：私が高校1年、リーダーが高校2年の時から、約25年間ずっと私の歌声を知り尽くした中で（意見を）言ってくれるので、そこが他には無いところですね。
あとは、私自身も、（曲を）作った本人に「ここはちょっと強めでいこうか」と言われると、“こういう歌なんだ”という納得があって。それでより理解が深まって、良い曲、良い歌になっているのかなと思います。

松下：（アルバム「○」）には、より「いきものがかり」を凝縮したものが感じられる曲が沢山詰まっているということですね。

吉岡：その通りです。

＜吉岡さん衣装＞
シャツワンピース、ジレ、スカート：RE SYU RYU / リシュリュ 089-927-2288
ネックレス： temtem / テムテム
イヤリング：in or U / インオアユー
共に、03-6427-3260
スタイリスト：沓澤りさ

＜松下さん衣装＞
ブラウス：Couture Brooch / クチュール ブローチ 03-6851-4604
イヤリング：TAKE-UP / テイクアップ 03-3462-4771
スタイリスト：大沼こずえ
ヘアメイク：山科美佳

今月は、いきものがかりの吉岡聖恵さんをゲストにお迎えします。