土壌学者の藤井一至さんと「土」のお話!
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- 2025/07/20
土壌学者の藤井一至さんをお迎えして
宇賀「薫堂さん、大さじ1杯の土の中には、いくつの細菌がいると思いますか?」小山「これ、きっと多いんですよね。何億、何十億とか……じゃあ、1億にしておきましょう」
宇賀「私も答えは知らないので、後半でうかがっていきましょう!」
今回はスタジオに、土壌学者の藤井一至(ふじいかずみち)さんをお迎えしました。宇賀「まずは藤井さんの簡単なプロフィールをご紹介しますね。1981年富山県立山町生まれ。現在は福島国際研究教育機構土壌ホメオスタシス研究ユニットリーダーとして、スコップ片手に世界各地、日本の津々浦々を飛び回って土壌研究をされています。土壌研究家になったきっかけは、ジブリ映画『天空の城ラピュタ』だったそうです」
小山「なぜラピュタなんですか?」
藤井「『風の谷のナウシカ』もかなり影響を受けているんですけど、あの2つはどっちも土がすごく出てくるんですね。ナウシカは『汚れているのは土なんです』と言ったり、(ラピュタの)シータが『人は土から離れては生きられないのよ』と言っていて。それに『そうだそうだ』みたいな感じですね。私はもともと子どもの時、岩が好きだったんです。土って岩からできるから、岩に詳しかったからすぐにプロになれるんじゃないかという甘い見通しで始めました。実際にはダメでした。岩と土って全然違うものだったので、役に立っていないですね」宇賀「土は誰もが知っているものでありながら、実は何も知らないものの代表かなとも思うのですが、土の定義があるんですよね?」
藤井「何だと思います?」
小山「僕、以前同じ疑問を持ったことがあって。土と砂って何が違うんだろうなと考えたんです。砂場には、細菌はいないんじゃないかなって。土にはよくワインを作る時に『土壌が〜』と言いますけど、いろんな微生物がいて。それの違いか、あとは砂の粉が土に変わるのかな? と思ったんですけど」藤井「もともと岩石があって、岩石が土になる瞬間が何かというと、岩石が細かく砕けて、砂とかさらにそれが細かくなって粘土になったりして。ただそれだけじゃなくて、そこに植物の根っこか、微生物か何かが定着した、生き物の活動が始まった瞬間、土になるんです」
小山「じゃあ命がない時は砂なんですか?」
藤井「難しいですね。公園の砂場は子どもたちが遊んでいたら生き物がいますからね(笑)。基本的には生き物の働きがなければ、ただの砂という感じになります。たとえば火星とか月とかも砂。生物活動がないから、あれは砂で土じゃない」
宇賀「地球には最初からずっと土があったわけではないんですか?」藤井「火星とか月みたいに、地球も最初は生き物がいなかった時、さらにもっと言うと陸地がなかった時は土がなかった。陸地ができても紫外線がずっと降り注ぐ危険な場所だったと言われていて、地球46億年のなかでオゾン層ができたのが最近、8から6億年前と言われていて」
小山「つい最近(笑)」
藤井「最近です。そこで植物が上陸できて定着したのが5億年前くらいと言われていて。その時に苔が上がってきて、それからようやく土が作られ始めるので、5億年と言われています」
宇賀「土は人工的に作れるんですか?」藤井「それがですね、わりかしできないと言われていて。土は生物と生物じゃないものが関わり合ってできるという時点で、やっかいなんですよね。化学反応式とかがわかっているわけじゃないんです。私たちが工場で作れるものというのは、化学反応式がはっきりしていて、微生物を使うにしても微生物に大豆をふかしたものをあげて納豆を作るとか1種類の微生物を使うのはできるんですけど、土を作ろうとすると無数の微生物が関わり合って作るので。そういう複雑なものを作るのは人間あんまり得意じゃないんですよね」
小山「よく食べ物、野菜もそうですしワインを作る葡萄もそうですけど、土壌によって味が変わるというじゃないですか。あれはどういうことなんですか?」
藤井「フランスとかは土の違いを生かして、それぞれ味が違いますよって言うんですけど。たとえば砂だとあったかくなりやすくて、土が。粘土だとあったかくなりにくい。あたたかいところで同じ葡萄を育てたら、あったかいところの方がすぐ育つ。そうすると単純な甘いワインになってあんまり値打ちが高くならないんですよね。単純な味わいになる。たぶんワインが好きな方は、大体骨格がある深みのあるワインが好きだ、と。それはポリフェノール量で決まるんですけど、ポリフェノールは葡萄からするとストレスがかかるとたくさん作る。ストレスがなければ、ただただ甘いわかりやすいワインになる。土を悪くしておいて、むしろ葡萄をいじめ抜くとポリフェノールを溜めるので、そうすると苦味とかがあって1杯飲んでも飽きない。酸化して飲みやすくなっていくような、深みのあるワインになって、1本3万円とかになるんですよね。土の違いでちょっとずつ違う」小山「なるほど。土に対して植物がストレスを感じるとそういう味わいになってくるんですね」
宇賀「先ほど、クイズがありましたよね」小山「大さじ1杯の土の中に何個の細菌がいるか。1億と僕は言いましたけど、ちょっと不安になってきました。さすがにあの中に1億もいないだろうなと思えてきました」
藤井「正解は100億個」小山「えー!」
藤井「大さじ1杯で世界人口を超えるだけの微生物が共存しているというか。ケンカも共生も含めて共存している。すごい数なんですね」
宇賀「藤井さんは現在、福島で新たな試みをされているんですね」藤井「そうなんです。前は森林の研究をしていたんですけど、これから田んぼの問題が深刻だと思って、田んぼの研究をしたくて異動をしたんですけど。その時に、福島が放射線物質でいちばん汚染された場所を一通りきれいにしたんだけど、そこに山砂だけを入れていて。山砂を入れるとそこから田んぼを作らなきゃいけない。そうすると、さっき人間にはなかなか土は作れませんと言いましたが、実際はそれをやらないといけない。頑張っても30年かかりますよと私たちの成果だと出ているんですけど、そうじゃなくて30年も待てないよ、という場合に、何が今まで30年にしてきたのか? と。もしかして微生物が足りないのか、堆肥が足りないのか、粘土が足りないんじゃないかとか、そういったものを追加してやって30年と言われたものを5年とかにできないか、もっと早くできないかという研究をやるために福島に異動しました」
小山「我々が生きている人生の視点とまったく違いますよね」藤井「基本的に土の研究って私たちの時間スケールが追いつかないんですよね。一代でなかなか完成しなかったりとかして。自分一代でやろうと思うとやっぱり30年待てない。30年待てないというのは、農家の問題でもあるけど私自身が30年待ちたくない。なんとか5年で土をもう1回再生したい。そういう悩みがずっとありますね」
宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、藤井さんはいろいろなところに行かれていると思いますが、お手紙が書きたくなるような場所ってどこかありますか?」藤井「私は結構筆まめなんですけど、夜中に自分の部屋で静かになったところで書きますね。雑音が入ると無理ですね。次の日の朝に見て『何だこりゃ』となることがあります(笑)」
小山「どういう方に書くことが多いんですか?」藤井「研究でお世話になった外国の方とかですかね。感謝の気持ちとかをあふれさせて書かないとなかなか筆が進まなかったりして。ずいぶん感情的な文章を書いているなと、次の日の朝にびっくりすることがあります」
宇賀「そして今日は、『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきてくださったんですよね」
藤井「人じゃなくてもいいとのことだったので、田んぼの土に書きました」
小山「田んぼの土!」
藤井「今、令和の米騒動で大変だから、そういうことで書いてきました」
藤井さんから、田んぼの土へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。(*7月27日まで聴取可能)
宇賀「今日の放送を聞いて、藤井さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 藤井一至さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
藤井一至さん、ありがとうございました!
藤井さんの著書『土と生命の46億年史 土の進化と謎に迫る』(講談社ブルーバックス)もぜひお手に取ってみてください。
『土と生命の46億年史 土の進化と謎に迫る』
今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。
「SUNDAY’S POST」Xのアカウントはこちらから。
日本郵政グループ女子陸上部にまつわるお手紙
日本郵政グループ女子陸上部の監督である?橋昌彦さんからこんなお手紙が届きました。〈毎週日曜の午後3時、自宅で過ごす休日や、移動中の車の中、そして試合や合宿の宿泊先で番組を楽しく聴かせていただいています。
早速ですが、日本郵政グループに女子陸上部があることをご存知でしょうか?
2014年にゼロからチームを立ち上げ、2016年創部3年目にクイーンズ駅伝で女子駅伝日本一を達成。「奇跡のチーム」とまで評され、その後も昨年までに計4度の日本一を達成。
個人ではオリンピックや世界選手権での入賞など、数々の輝かしい成績を挙げてきたチームです。
この春、わたしたち女子陸上部は創部10周年を記念して、選手たちの努力の軌跡のほか、チームスタッフや社員たちが、いかにチームを支え、成功に導いたかなど、チームのこれまでを振り返り、1冊の本にまとめました。
是非リスナーの皆さんにもお読みいただければと思います。
それでは、小山さん、宇賀さんの益々のご活躍と、番組の益々の成功をお祈りしています。〉
小山「3年目にして日本一! すごい」宇賀「日本郵政グループ女子陸上部のこれまでのあゆみをまとめた書籍『つなぐプライド』。気になる方は郵便局のネットショップで『女子陸上部』と検索をしていただければ、出てきますとのことです。読んでみたいですね!」
小山「どうやったらゼロから立ち上げて、わずか3年でそんなランクまでいけるんですかね」
宇賀「これからもますます楽しみになりますね」
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆「文風」をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
沖縄郵便局のみなさん
今回のメッセージは、沖縄県〈沖縄郵便局〉真玉橋 朱莉亜さんでした!
「私の姉が県外に出てから、姉と手紙のやり取りをしており、誕生日のメッセージカードやクリスマスカードが毎年届きます。カードの横に一言、近況報告や、沖縄に帰ってきた時の思い出と、『楽しかったね』などのメッセージが添えてあり、とても気持ちが伝わってきます。中でも、私の20歳の誕生日に送られてきた手紙が嬉しくて、印象に残っています。携帯のメッセージでも嬉しいですが、手紙だとさらに気持ちが伝わってきて、とても温かい気持ちになります。手紙をもらった人はもちろんですが、もらった人が喜ぶと送った人も幸せな気持ちになれるので、手紙は幸せを運ぶアイテムだと思います。」
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
〒102-8080 東京都千代田区麹町1−7
SUNDAY'S POST宛








